映画『アイ,ロボット』ネタバレなしの感想。ロボット工学の博士が不審に命を落とす

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■評価:★★★☆☆3.5

「ロボットと付き合う便利さ、困難さ」

【映画】アイ,ロボットのレビュー、批評、評価

『クロウ/飛翔伝説』『ダークシティ』『ノウイング』のアレックス・プロヤス監督による2004年9月18日公開のSFミステリー映画。

【あらすじ】2035年、家庭用ロボットは人間の日常生活に溶け込んでいた。そんな中、シカゴの大企業で働くロボット工学の専門家が不審な死を遂げる。担当刑事の男は、あるロボットに疑いの目を向ける。事件の裏には、驚くべき真実が隠されていた。

最近、SFにハマっているため、未鑑賞の旧作である本作を鑑賞するに至った。

本作は著名なSF作家アイザック・アシモフの『われはロボット』の短編集を原作としている。
私も読んだことのあるめちゃくちゃ人気のある古典SF小説で、作品内のルールとして提示される『ロボット三原則』が非常に有名。

ロボットは人間に危害を加えてはいけない〜的な内容で、単独でWikipediaのページが作成されているくらい、後の作品に多く影響を与えたオリジナルの概念。

またロボット三原則を用いたミステリー長編『鋼鉄都市』や、『はだかの太陽』『ロボットの時代』等が発表されている。

本作は『われはロボット』の内容はなく、本作でクレジットされている脚本家のオリジナルで、ロボット三原則をベースとしたストーリーが描かれる。

結論からいうと、かなり面白かった。
本作は20年近く前の古い映画。
『2001年、宇宙の旅』など、SFファンから圧倒的な支持を得ているほどでもないので、衝撃的な展開があるとか、そういった特徴的な見せ場はなかった。
でも、キャラクターはしっかり描かれているので、興味深く鑑賞できた。

ウィル・スミス扮する主人公スプーナーのロボット嫌いになった理由が良い。
詳細については伏せるが、良く聞かれるトロッコ問題をモチーフとしている。
トロッコ問題は複数の人間を救うため、一人の人間を犠牲にできるか。
といった功利主義と義務論の対立を扱った倫理学の問題となる。
スプーナーはまさにトロッコ問題にぶち当たり、悲劇を体験しているので、ロボットを信用できなくなった。

実際、現実になりうる自動運転車もトロッコ問題について課題となっており、私は、購入してまだ未読だが、日本のSF小説『サーキットスイッチャー』でも題材となっている。

実際の社会問題が盛り込まれていると、フィクションであろうと、リアリティーは感じられるし、ついつい観客の思考を突き動かすフックになるので、個人的には好き。

キャラクターも魅力的。
冒頭でスプーナーと交流のあった博士が命を落とす。
本作のメインキャラクターとなるロボット嫌いのスプーナーと、スプーナーに博士の命を奪った容疑をかけられているロボット、サニーの2人が特に魅力的。
スプーナーは演じるウィル・スミスのいつものコミカルなキャラクターかつ、辛い過去を持つシリアスさがいい塩梅で折衷していて、感情移入もできるので観客はすぐに好きになるし、応援したくなる。

サニーは、表面上は人間に好意的な態度を示す。
だが、何か隠していそうな不審な言動を度々見せ、スプーナーを通して観客は疑念を湧くようになる。
「本当はこいつ、ロボット三原則に逆らい、人間を支配しようとしているのでは?」と。
掴みどころのないミステリアスな雰囲気が良かった。
またロボットに貼られている顔も人間に似すぎていない独特なデザインで、不穏さに拍車をかけている。
個人的には、もっと大胆に怪しまれる行動を採っても面白かったように思える。

二人の関係性の変化も良かった。
ストーリーはターミネーター2を彷彿とさせるシンプルな展開だけど、後半に向けて胸熱な良い展開を見せてくれるので見応えがあった。

個人的には思わぬ掘り出し物だった。
ストーリーはシンプルなので、炸裂するどんでん返しに思わず腰が浮くような驚きは皆無。
でもキャラも世界観も魅力的なので、万人向けする佳作。

魅力的な謎がエンジンとなるおすすめ作品はこちら。

■近畿地方のある場所について

アイ,ロボットの作品情報

■監督:アレックス・プロヤス
■出演者:ウィル・スミス
ブリジット・モイナハン
ブルース・グリーンウッド
シャイ・マクブライド
アラン・テュディック
ジェームズ・クロムウェル
■Wikipedia:アイ,ロボット(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):57%
AUDIENCE SCORE(観客):70%

【h4】アイ,ロボットを見れる配信サイト

Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)○(Blu-ray)
Netflix:-
※2024年7月現在

この記事書いた人
柴田

子供の頃は大の活字嫌い。18歳で初めて自分で購入した小説『バトルロワイアル』に初期衝動を食らう。実写映画版も30回くらい観て、映画と小説に開花する。スリラー、SF、ホラー、青春、コメディ、ゾンビ、ノンフィクション辺りが好き。休みの日は映画、読書を楽しみつつ、エンタメ小説を書いています。腹括って執筆しているので、応募した新人賞に落ちると絶望してます。

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