■評価:★★★☆☆3
「家族の面白さ」
【配信ドラマ】ダークのレビュー、批評、評価
『ピエロがお前を嘲笑う』のバラン・ボー・オダー監督による2017年12月1日配信開始のミステリーSFドラマ。
【あらすじ】ドイツの小さな町で起こった子供の失踪事件をきっかけに、ほころび始める4家族の絆と暴かれる暗い秘密。3世代にわたる奇怪な謎の真相が、今明らかになる。(Netflix引用)
2024年の今でこそ、Netflix制作の映画やドラマはクオリティが高く面白い、といった認知が世間に広まっている。
日本のNetflixドラマだと『全裸監督』『今際の国のアリス』『サンクチュアリ−聖域−』『実写版ONE PIECE』『実写版幽☆遊☆白書』『地面師たち』『トークサバイバー(ドラマではあるが、バラエティ寄りの構造)』はあまりに面白くて思わず一気見した。
海外作品でも『梨泰院クラス』『クイーンズ・ギャンビット』『イカゲーム』などが面白かったし、世界的にも評価されている。
個人的には普通だったが、『ストレンジャー・シングス』も評判は良い。
ざっと作品名を挙げてみたが、どれも名作ばかりで、Netflixのエンタメを作るパワーの強さを実感させられる。
本作『ダーク』は、まだNetflixオリジナル作品の凄みが世間に届いていない2017年に配信された作品で、ドイツ制作ドラマとなる。
Season3で完結していて、全26話で構成されるSFミステリー。
もともと評判の良さは聞いていたが、Season3とはいえ、長さはあるので、なかなか鑑賞する機会がなかった。
今回、2024/9に『トークサバイバー シーズン3』や『極悪女王』が配信されるとのことだったので、併せて鑑賞しようと思った。
【ダーク Season1 ネタバレなしの感想】
今回鑑賞に至ったのは、以前からの評判に併せて下記のYouTube動画でのプレゼンに興味を惹かれたため。
『めちゃくちゃ面白いがNetflix最難関ドラマ』という表現にチャレンジ精神が刺激されて、ついつい1話を再生してしまった。
冒頭から、不穏な空気感が最高だった。
主人公のヨナスは、原発によって栄えた田舎町に住む平凡な男子学生(たぶん高校生か大学生くらい)。
母ハンナは、近所に住む友人夫婦の夫の刑事ウルリッヒといけない情事に耽ったりしていたり、父ミハエルは自ら命を落としている。
面倒な家庭ではあるが、ヨナスとハンナの関係は良好。
しかし、町では昔から子供の失踪事件が発生していた。
33年前にはウルリッヒの弟が、そして今回もまた、主人公の同級生が姿を消した。
更にウルリッヒの子供ミッケル(次男)が突如として姿を消す。
ウルリッヒは死に物狂いでミッケルを探しつつ、多くのミステリアスな情報が、視聴者に小出しで提示される。
果たしてミッケルは生きているのか、あるいは命を落としたのか。
ウルリッヒはミッケルを見つけることができるのか、といった内容。
4つの家族の誰もが秘密、隠し事による謎を生んでいるので、物語のいいエンジンとなってくれる。
確かに、YouTube動画の指摘の通り、難易度の高さは序盤から匂いつつある。
本作は登場人物が異様に多い。
4つの家族にまつわるドラマになっているので、あなたが今から観始めるなら、鑑賞しながらキャラクター表を作ることをおすすめする。
また、4つの家族の過去が平行して描かれ、Season1では3つの時間軸が交互に切り替わるので、なかなか理解が追いつくのも大変。
ロケーションが良かった。
壮大な森のど真ん中に町のエネルギーを担う原発が作られていており、町も隣接している。
森の中にある洞窟が本作のキーとなり、頻繁に深い緑が茂る森が映るので、都会に住む私からすると、目の保養になる。
Season1では、あまり謎が解けないが、不穏な空気感が持続しており、最後までむちゃくちゃ興味深く鑑賞できた。
【ダーク Season2 ネタバレなしの感想。※シーズン1のネタバレあり】
本作は四つの家族を2019年、1986年、1953年の三つの時代で描いていく。
一つの家族につき5人くらいいて、単純計算で×3なので、実質、60人のキャラの特徴、目的、今何をしているのかを把握し続ける必要がある。
Netflix最難関ドラマに、ふさわしいヤケクソみたいな情報量の暴力に襲われる。
それでも面白くて観進められるのは、やっぱり一部のキャラと謎の魅力にある。
個人的には、主人公のかーちゃん、ハンナの言動が一番、目を光らせて観ていた。
近所に住むニールセン家の大黒柱で、刑事のウルリッヒと浮気しているのだ。
しかも冒頭、浮気シーンから始まるのが面白い。
主人公より、主人公の母から見せるということは、ハンナには何か重要な役割を担っていると推測される。
更にはハンナの執着心のエグさである。
浮気相手のウルリッヒは大事な息子のミッケルの失踪について自暴自棄的に捜索している。
そのため、ハンナとの情事を楽しむヒマなんてなく、振られてしまう。
だが、ハンナは「絶対に諦めないから」と、異常な執念を光らせ、視聴者に恐怖を与えてくる。
ハンナがどのように物語をかき乱してくるのか、胸を躍らされ、先の展開が気にならせてくれる。
また、これだけ多くの登場人物がいるが、多くのキャラが何かしらの重要な役割を持っているので、捨てキャラになっていないのも良かった。
(それでもニールセン家の長男のマグナスとか、ドップラー家の長女のフランツィスカなど、Season2の時点で存在意義が不明なキャラもいるはいる)
多くのキャラがそれぞれの時代にタイムスリップするため、今が何の時代かは分かりづらい。
また、各々のキャラが何の目的で行動しているのか、分かりづらいときもある。
だが、物語が醸す不穏な空気感は中毒性がある。
シナリオも良くて、新しいキャラが別の時代に行ったときは、どんな言動で、今後の展開にどんな影響を与えるのかはワクワクさせれる。
特に別の時代の自分との遭遇はとても興奮する。
また、運命は変えられないことの残酷さを突きつけられる。
ホント何度も絶望させられた印象だった。
気になる点としては、物語の目的がいまいち不明。
主人公ヨナスも根本的には何のためにタイムスリップを続けるのかは良く分からない。
【ダーク Season3 ネタバレなしの感想。※シーズン2までのネタバレあり】
最終シーズンに突入するのだが、物語の複雑さは加速して、正直、完璧に理解したとは言い難い状態で結末を迎えた。
Season2になり、パラレルワールドの別世界が追加された。
正直、この時点でやり過ぎだと思った。
凡庸な知能を持つ私からしたら、もはや、今、映されている映画が、どっちの世界の何年なのか、このキャラは誰で両親は誰だっけ?
といった現状把握に多くの脳内メモリが割り当てられ、ドラマを楽しむ余裕はなくなっていた。
更に鬼畜なのがSeason3になってもう一つ、新しい世界が追加される。
様々な世界、年代のマルタが同じ場に4人登場するというバカげた映像を見せつけられ、何を見せられているのか良く分からず、Season3では一気に気持ちが離れた。
最終2話で怒涛の伏線回収劇が行われるので、最後の最後はちょっと盛り返して楽しめた。
でも、もう二度と鑑賞することはない。
そもそも、製作陣がエンタメの本質のはずである視聴者(書籍なら読者)を楽しませる感覚が抜け落ちてる。
複雑過ぎるシナリオを完璧に乗りこなして最後、キレイにまとめてやったぜ!すごいだろ!
といった自己顕示欲を満たす目的に作られたとしか思えない内容だった。
シーンごとの5W1Hをメモしながら理解を進めて行ったけど、途中からバカらしくなって、なんのために観ていたのか分からなくなった。
キャラやシナリオの魅力は、私が理解に費やした労力とまるで見合っていない。
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■でぃすぺる
■近畿地方のある場所について
ダークの作品情報
■監督:バラン・ボー・オダー
■出演者:ルイス・ホフマン
リサ・ヴィカリ
■Wikipedia:ダーク
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア(ダーク Season 3)
TOMATOMETER(批評家):97%
AUDIENCE SCORE(観客):94%
ダークを見れる配信サイト
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-
Netflix:○(見放題)
※2024年9月現在
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