■評価:★★★☆☆3.5
「母賛美」
【映画】ミッシングのレビュー、批評、評価
『純喫茶磯辺』『さんかく』『銀の匙 Silver Spoon』『ヒメアノ~ル』『愛しのアイリーン』『犬猿』『BLUE/ブルー』『空白』『神は見返りを求める』の吉田恵輔監督による2024年5月17日公開の社会派ドラマ映画。
【あらすじ】ある日、街で幼女失踪事件が発生する。母親の沙織里はあらゆる手段で娘・美羽を捜すが、有力な手がかりも見つからないまま3カ月が経ってしまう。世間の関心も薄れていき、事件に対して冷静な夫・豊とは感情の温度差からケンカが絶えなくなる。地元テレビ局の記者・砂田だけは誠実に取材を続け、家族とも寄り添う姿勢を見せてくれており、沙織里が何かと頼りにしている。そんな中、美羽の失踪時に沙織里が推しのアイドルのライブに行っていたことがSNSで知れ渡り「育児放棄の母」と誹謗中傷の的になってしまう。(wikipedia引用)
元々、私は本作の監督である吉田恵輔さんのファンなので、新作が発表されたら必ず鑑賞している。
彼の作風は、人の不幸を滑稽に描くコメディ演出を特徴とする。
バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』と同様に人が根底に持つ悪意をくすぐってくるところが個人的にはツボ。
例えば『さんかく』では彼女の妹に夢中になる浮気男を、『愛しのアイリーン』では田舎に住む非モテを、『犬猿』では兄弟姉妹の格差を、『神は見返りを求めない』では良い人止まりの非モテを面白おかしくおちょくっている。
だが、本作はそんな彼の特徴が封印され、コメディ要素が控えめの社会派ドラマとなる。
冒頭から、30代半ばの夫婦が駅前で一生懸命、ビラを配っている。
2人の子供が失踪したらしく、情報提供を求めている様子。
個人的には失踪ものには飽きている。
サスペンスやホラーで、もうすでにこすり尽くされた印象があり、正直、失踪ものだと事前にわかったら、世間で話題になっていない限り、鑑賞することはない。
今回は吉田恵輔作品なので鑑賞に至ったが、それでも冷めた思いで見進めることになった。
妻の沙織里に扮する石原さとみの演技がやかましい。
沙織里は最愛の娘が姿を消したことで情緒がおかしくなっている。
いちいち奇声を発したり、オーバーリアクションをするので、観ていて耳をふさぎたくなる。
そもそも、本当にショッキングな出来事に遭遇されたら、こんなうるさくなるだろうか。
元気を失い、うつ状態になって無気力になりそうなイメージがある。
娘が失踪する設定といい、石原さとみのうるさい演技といい、あざとさを感じる。
つまり、安い感動を押し付けてくるようなタイプの映画に思えて、どうも冒頭から入り込めない。
以前にも吉田恵輔は、交通事故で娘を失った父が暴走する『空白』という、いかにも『いい映画でしょ?感動するでしょ』的な作品を作っていてうんざりした覚えがある。
『空白』は本当に苦手で、本作も似たような匂いを感じて、距離を取ってしまった。
感動させたいなら丁寧かつ、意表をつくキャラの変化や成長を描いて、観客の心を揺さぶってもらいたいもの。
と、言いつつも、中盤以降、意表を突かれる沙織里の言動に心を動かされた。
娘と似たような年齢の子、宇野さくらという女の子が失踪したニュースを見て、「娘と、同じところにいるのかも!」と、いつもの暴走で、さくらちゃんを探すビラを配り始まる。
(沙織里は娘が誰かに連れ去られていると信じ込んでいる)
すると、さくらちゃんの失踪事件は思わぬ結末を迎え、その時の沙織里のリアクションには心を打たれる。
旦那の豊もこの出来事には驚き、その後、心境の変化を遂げたので、心に残るシーンとなった。
何なら、これまでの石原さとみの大げさ演技はフリになっているともいえる。(恐らく監督は狙っていたかと思われる)
また本作は、失踪を題材に、ネットの誹謗中傷をテーマとする意外性もあった。
鑑賞後は割と満足度の高い鑑賞体験となった。
ただ、やっぱり失踪ものがお腹いっぱいなのは変わりはない。
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■近畿地方のある場所について
ミッシングの作品情報
■監督:吉田恵輔
■出演者:石原さとみ
青木崇高
森優作
有田麗未
小野花梨
小松和重
細川岳
カトウシンスケ
山本直寛
柳憂怜
美保純
中村倫也
■Wikipedia:ミッシング
ミッシングを見れる配信サイト
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-
Netflix:○(見放題)
※2024年9月現在
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