■評価:★★★☆☆3
「売れるためには犯罪者になることもいとわない」
【映画】私がやりましたのレビュー、批評、評価
『焼け石に水』『8人の女たち』『危険なプロット』『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』『Summer of 85』のフランソワ・オゾン監督による2023年11月3日公開のコメディ映画。
【あらすじ】パリの大豪邸で有名映画プロデューサーが殺害され、新人女優マドレーヌが容疑者として連行された。マドレーヌはプロデューサーに襲われて自分の身を守るために撃ったと供述し、親友である弁護士ポーリーヌとともに法廷に立つ。正当防衛を訴える鮮やかな弁論と感動的なスピーチは裁判官や大衆の心をつかみ、マドレーヌは無罪を勝ち取ったのみならず、悲劇のヒロインとしてスターの座を手に入れる。そんな彼女たちの前にかつての大女優オデットが現れ、プロデューサー殺しの真犯人は自分だと主張する。(映画.com引用)
フランス人監督のフランソワ・オゾンの作品は、映画ファンから一定の評価を得ている印象がある。
私は長らく映画好きをやっているが、彼の作品を今まで一度も鑑賞したことがなかった。
『Summer of 85』 など、耳にしたことのタイトルはあったので、期待を持って鑑賞に至った。
第1印象としては、めちゃくちゃオシャレ。
さすがはアパレルのハイブランドを多く輩出するフランスだ。
冒頭、主人公で売れない新人女優のマドレーヌは、フランス映画界の有名なプロデューサー・モンフェランの豪邸から走って逃げ出すシーンから物語は始まる。
マドレーヌは家に帰り、同居人である新人弁護士ポーリーヌに、モンフェランから大人な関係を求められて逃げ帰ってきたと憤慨混じりに愚痴る。
物語の内容よりも、マドレーヌの服装がオシャレ過ぎて、そっちに目が行った。
ベージュ系の淡いトーンの暖色系の服装でコーディネートが洗練されている。
コートの下は水色の、シャツだけど、グレー混じりのくすんだ色使いで、大人っぽいいいアイテム。
ファッションにあまり興味がない人が選びがちなパキッとした白とか黒、あるいはビビッドな原色は一切使われない。
いかにもファッションがフランス!って感じで、見た目から目の保養になる。
また、主人公のマドレーヌを立てるため、ポーリーヌは一歩引いて濃いめの地味な服装。
でも、控えめながらも色使いは抜群でステキ。
部屋の装飾とかもセンスが良いし、フランス映画を観てるって感じがいい。
大雑把大国、アメリカとは大違いの繊細さを画面に押し出しで来る。
(もちろんハリウッド映画にもハリウッドならではの良さがある。下品極まりない『ハングオーバー!』とか最高)
本作はコメディに全振り。
そのため、だいぶフィクションレベルが低くて漫画的な空気感が漂う。
だって、マドレーヌはやってもいない人の命を奪う行為を、知名度を獲得して女優として売れる私利私欲のために裁判で認めて無罪になって、世間から支持されて人気者になるのだから。
現実では考えられないハチャメチャ展開。
リアリティに欠けるので好みはわかれそう。
あとネタバレでもないので言うが、ファッションもルックスも美しいマドレーヌがさらっと上半身を晒すシーンがあって驚いた。
おバカなコメディ作品でこんな自らの価値をあっさり晒して良いのだろうか。
監督が有名なので、女優自体はノリノリだったしれないが。
まあおっさんの私は美しい肉体に鼻息をフンフン鳴らして画面に釘付けになったが。
結論、私はそこまで好みではなかった。
個人的にはもう少しシリアス寄りな作品のが好み。
話もだいぶ無茶苦茶に展開されていくので、『そんなバカな』とツッコミ続けながら観るに至った。
ただこの手のおバカコメディ自体は嫌いではないので、殺伐とした日常を忘れるちょっとした息抜きになった気がする。
あと、女優として世間から注目を集めるため、自ら冤罪を作る展開は鮮度があって良かった。
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■コンクリート・ユートピア
■裏世界ピクニック
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■横浜駅SF
私がやりましたの作品情報
■監督:私がやりました
■出演者:ナディア・テレスキウィッツ
レベッカ・マルデール
イザベル・ユペール
ファブリス・ルキーニ
ダニー・ブーン
アンドレ・デュソリエ
■Wikipedia:私がやりました(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):98%
AUDIENCE SCORE(観客):91%
私がやりましたを見れる配信サイト
Hulu:○(有料)
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)、○(Blu-ray)
Netflix:-
※2024年12月現在
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