映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑧バカの勝利

映画『アメリ』ネタバレなしの感想。女性向けの不思議ちゃんムービー

投稿日:4月 11, 2019 更新日:

■評価:★★☆☆☆2.5

「女性のための現実逃避映画」

【映画】アメリのネタバレなしの感想、レビュー、批評、評価

両親にあまり構ってもらえず、コミュニケーションの上手く取れないアメリ。ある日、一人暮らしをしている自宅マンションに前の住人の物と思われる小さな箱を発見する。持ち主を見つけ出して渡すと非常に喜ばれる。これに快感を覚えた彼女は人を幸せにするために、ささやかないたずらを仕掛けていくことに。

こういった筋の物語なのだが、ストーリーが非常に追いにくい映画であることに、見始めてすぐに気づく。
例えば、必要以上とも思える脇役キャラたちの掘り下げ。
アメリの職場であるカフェのオーナーの好きなものは負けて泣くスポーツ選手、キライなもの、子どもの前で侮辱されて泣く親。常連客の男の好きなことはぷちぷちを潰すこと、など。
キャラたちの物語の筋とは無関係なセリフも多い。比喩表現が多いので、うんざりすることもある。
登場キャラのほとんどがぶっ飛んでいるため、よくわからない動機に基づいた不思議な行動で物語が進展していく。

これらの演出がコミカルに、カラフルな絵で早いテンポよく描かれる。
フランス映画独特のノスタルジーな黄色みがかかった映像と赤と緑を基調としたカラフルな画で。

この映画はストーリーの筋を楽しむのではなく、感性で楽しむ映画といった印象が強い。
アメリは人を幸せにすることに喜びを覚えて、いたずらを仕掛けるようになるのだが、
時には、嫌いな奴の家に勝手に侵入し、飲み物に異物を混入させたり、電源コードに針金を刺したり(コンセントに差したら爆発する)といった意地悪もする。
こういったサイコな行動の数々を笑って見れるかどうかがこの映画を楽しめる人だろう。

もちろん笑ってみれる人をサイコ扱いしているのではなく、、
アメリ独特のぶっとんだ世界観を楽しんで没入できるかどうか、ということである。
開始10分で楽しめる人とそうではない人をふるい分ける作家性の強い、攻撃的な演出とも言える。

村上春樹は、こういった世界観に近いようにも思える。
村上春樹はプロット(ストーリーの骨組み、あらすじみたいなもの。漫画ではネームを指す)を作らずに作品作りに取り掛かるという。
本来、作家はある程度プロットを練り、面白いと思えるレベルまで練り込んでから書き始めるケースが多い。
村上春樹の場合、ある程度キーワードなどが溜まってきた段階で、プロットを作らすに書き出して、一気に第一稿を仕上げる。
彼が意識しているところは読者を不思議な世界へ連れていくためのドアを必ず登場させること。
ダンスダンスダンスの「いるかホテルの一室」、騎士団長殺しでは「井戸の穴」など。
読者を物語の世界へ飛び込ませるためのドアである。
これは筋を楽しませるというか、世界観を楽しませる、といったところ。

話は剃れたが、アメリもそんな印象を受ける。
アメリにおける異世界へのドアは、小さな箱が置かれているバスルームの穴。

アメリがコミュニケーションをほとんど取らずに、ニノとの関係が縮んでいくさまは違和感をぬぐえないし、
私は男なせいか、話を筋の面白さを求めがちではあるが
それでも★3にしたのは、独特な世界観に嫌悪感は抱かない。
こういったものにどっぷりつかりたくなる気持ちは理解できる。
海外旅行に行って非日常に飛び込みたいが、
手間がかかるから映画で我慢するか、ってな時に最適な1本だ。

rotten tomatoesで、批評家よりも観客によるスコアが高いのは、
映画オタクである批評家の好きそうなテーマの考察やストーリーの構成の巧みさなどではなく、感覚で楽しむ映画だからだろうか。

アメリの作品情報

■監督:ジャン=ピエール・ジュネ
■出演:オドレイ・トトゥマチュー・カソヴィッツ
■Wikipedia:アメリ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):89%
AUDIENCE SCORE(観客):95%

アメリを見れる配信サイト

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※2019年5月現在

関連性の高いおすすめ映画

アメリと同じ不思議な世界観を持つ映画のおすすめ。

『リップヴァンウィンクルの花嫁』★★★★☆4
弱気で生徒にバカにされがちな派遣教師の皆川七海は、SNSで知り合った男と結婚し、退職する。しかし彼の浮気が発覚する。嫌われている夫の母から浮気の罪をかぶせられ、家を追い出される。すべてを失った七海は「なんでも屋」の安室から月100万で豪邸のメイドのバイトを依頼される。

地獄から天国に舞い降りたかのような豪邸での幸せな暮らしがたまらない。
日々の生活に消耗したとき、この世界観に逃避したくなる。

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※2019年5月現在

『ノルウェイの森』★★★☆☆3.5
ワタナベは高校三年のとき、親友のキズキが自ら命を絶ってしまう。その後、東京の大学に進学。電車の中で偶然、キズキの恋人だった直子と1年振りに再会する。彼女とデートを重ねるようになる。

村上春樹の中ではファンタジー演出のないリアリズム小説ではあるが、
独特の世界観は健在だし、私は彼の著作の中で一番好きである。
あまりアマゾンの口コミなどは良くないが、映画も雰囲気を楽しむものとしては非常におすすめ。
村上春樹独特のセリフ回しが、映画の世界観とよくマッチしていていい。

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dTV:○
ビデオパス:
TSUTAYA TV:
Netflix:-
※2019年5月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。