映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑩スーパーヒーロー

映画『亜人』ネタバレなしの感想。稀に見るポンコツ

投稿日:4月 25, 2019 更新日:

■評価:★☆☆☆☆1.5

「ポンコツオールスターズ映画」

【映画】亜人のネタバレなしの感想、レビュー、批評、評価

26年前、アフリカで「亜人」という命を落とすことのない人間が発見される。26歳で研修医の永井圭はある日、トラックに轢かれるがその場で生き返り、亜人であることが判明する。彼はその日から極秘の研究所で残酷な人体実験を強制されることに。数日後、佐藤と名乗る亜人が研究所に侵入し、圭を救いに来るが……。

映画に限らず、面白い物語というのは序盤からその世界観に引き込まれ、些細な矛盾点などがあったとしても、気にならなくなってしまうほどに時間を忘れて見入ってしまう。
一方で、集中力が途切れるどころか粗ばかり気になってしまい、むしろ探すことに意識が向いてしまう物語が退屈なそれと言える。
残念ながらこの映画は後者であった。

この物語は、圭が絶叫もむなしく、回転鋸を当てられ、腕を切断されるシーンから始まる。
残酷な実験の様子を研究者ならまだしも、取り囲むように観察する政府の人間たちはみんな真顔だ。
この時点で違和感が奔流のごとく襲ってくる。
なぜ麻酔をしないのだろうか。痛覚の確認なら別の手段でもできるはず。何故あえて非人道感の強い手段を取るのか。何故観察者は誰一人として顔をしかめないのか。
観客を没入させる気が全く伝わってこない、先行きを不安にさせるオープニングだ。

直後、圭を救いにやってくる同じく亜人の佐藤のアクションはユニークで面白い。
命を落とさないという設定ならではの、ダイナミックで破滅的なアクションが見ごたえがある。
圭と佐藤は意見の食い違いにより、対立することになるのだが、
亜人には永遠の命以外に、黒い幽霊を出現させる能力があり、この幽霊同士のバトルが展開されることもある。
ハードな戦闘シーンのあと、圭は世間から身を隠すのだが、
幽霊を自在にコントロールするために修行するシーンは、ベタだが癒される。
日常描写が挿入されるとメリハリがあって一息つけるし、幽霊の知られざる一面が見られる喜びもある。

しかしその後、佐藤は特殊部隊のSATと戦うことになるのだが、この映画の中でもっともひどい出来栄えであった。
佐藤は乗っ取った飛行機で9.11ばりにとあるビルに突っ込む。
彼を捕えるため、20~30人くらいのSAT集団が現れて発砲し、彼を倒す。
そして彼が蘇る前に定期的に発砲して倒し続けて自由を奪い、搬送する。
すると前もって配備していた、佐藤の仲間の亜人である田中君がSATをスナイパーライフルを撃ちまくり、 彼らがパニックになっている間に佐藤は復活して戦闘に参加するといった流れ。
おかしくないか?
政府は20年もの長い歳月をかけて、佐藤を人体実験してるんだから、
もっと効率的に亜人を無力化する手段は得られなかったのだろうか?
ちなみにこう思ったあとの展開で、政府の人間は催眠弾で亜人を眠らせといった描写を平然とやってのけるから驚きだ。
さらに亜人は一度命を落としたら、復活するのに何秒かのタイムラグを必要とする。
バトルものを描くなら、復活する数秒の攻防戦を描いたりしてもいいのでは?
しかし、アホの佐藤は、敵のど真ん中で自らやられに行ったりするから意味がわからない。
制作者はポンコツvsポンコツを見せられるこっちの気持ちを一ミリでも考えたのだろうか。

その後のバトルでは亜人粒子なるもので、敵をかく乱する描写もあるのだが、
この能力は前フリもなく唐突に出てくるので、例えこれで逆転したとしても何の爽快感も得られない。
そもそも亜人の能力や制約などは全然説明されないため、ひたすらご都合主義の連続を見せられている気分だ。

敵はいいが、主人公も命を落とすというリスクがないため、何の緊張感もない。
何らかの呪い要素を与えた方がよかったのでは?
強いだけではなく、弱点があった方がキャラへの愛着はわくし、戦略による見せ所だって盛り込める。
ワンピースなら悪魔の実の能力者かなづちになるし、ターミネーター2ではシュワちゃんは強いが、敵より旧型のマシンで、やられ過ぎると故障する。
主人公だけ半亜人とかにしても良かったと思う。

亜人をマイノリティの苦悩として描いているのなら、
政府側の亜人である下村は同胞である彼らの人体実験を、何とも思わなかったのだろうか?
というか、なぜ身近にいる亜人の下村を被験者にしない?
それどころか、圭の妹と仲良くなっちゃったりしていて、もはや何のこっちゃ、である。

この穴だらけの脚本を、誰もチェックしなかったのだろうか。
キングダムで味わえたヒリヒリ感が一ミリも感じられない。
大味や薄っぺらいといった形容がしっくりくる映画。観客も舐められたものだ。
ディティールが甘いどころではない。子供騙しもいいところ。
アクションや敵役の佐藤は面白かっただけに残念だ。もっと本気出して真剣に作りこんでほしかった。

亜人の作品情報

■監督:本広克行
■出演者:佐藤健 浜辺美波 玉山鉄二 川栄李奈 綾野剛
■Wikipedia:亜人
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家): –
AUDIENCE SCORE(観客):79%

亜人を見れる配信サイト

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※2019年5月現在

関連性の高いおすすめ映画

亜人の裏ジャンルである【スーパーヒーロー】に分類されるおすすめ映画。

『霊幻道士』★★★★☆4
道士のカオは富豪であるヤンの父の改葬を頼まれる。掘りおこしてみると、埋葬から20年が経つにも関わらず一切の腐敗がみられなかった。彼は生前に恨みを買っており、風水的に間違った方法で埋葬されていた。キョンシー化が避けられないため、カオが預かって処置を施すことに。
キョンシーブームを日本に巻き起こしたホラーアクションコメディ映画。
子供の頃はテンテンが大活躍する幽幻道士が好きだったが、大人になった今はこちらに軍配が上がる。
ユニークなキャラたちが繰り出す、本格的なアクションは見ごたえ抜群だ。
ぜひ日本語吹き替えで観てもらいたい。

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『ターミネーター2』★★★★☆4.5
ある日、時空を超えて2体のターミネーターがロサンゼルスに出現する。1体は未来に起こる人類と機械との核戦争で、人類サイドのリーダーとなるジョンを始末するために。もう一体は未来のジョンが、過去の自分を守るために送り込んだターミネーターだった。

エンタメの王様、ジェームズ・キャメロンの初期の名作。
シュワちゃんのショットガンや重火器の扱いが様になりすぎてて笑える。敵の液体金属のターミネーターは絶望的な強さだが、こいつに捨て身で立ち向かうシュワちゃんが物凄くかっこいい。
見所の多すぎる映画の中の映画だ。

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Netflix:-
※2019年5月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。