映画の海

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⑩スーパーヒーロー

映画『エル ELLE』ネタバレなしの感想。強い女性像の提示

投稿日:4月 29, 2019 更新日:

■評価:★★☆☆☆2.5

「自尊心を大切にしたい女性に向けた女性賛美映画」

【映画】エル ELLEのネタバレなしの感想、レビュー、批評、評価

ゲーム会社を経営している49歳のミシェルはある日、自宅に侵入してきたマスクを被った男に強姦される。しかし彼女は男が去ったあと、何事もなかったように割れた食器を片し、風呂に入り、寿司を注文する。その後、食事をすることになった友人たちにそのことを明かすと警察を通報するように勧めてくる。彼女は過去のある事件がきっかけで警察を信用しておらず、自分で犯人探しをすることに。

ポスターにでかでかと書かれた「衝撃」の文字。rotten tomatoesによるポイントの高さ。
前々からちらほらとこの映画の評判を聞いていており、
意味深なあらすじも相俟って、どんなとんでもないどんでん返しを見せてくれるのか?
と期待して見たのだが、中身は女性の気高さを描いたヒューマンドラマ映画であった。

「強姦に遭ったが、平然と過ごす」といった斜め上を行く行動を序盤から主人公ミシェルが取るため、
てっきり何かとんでもないどんでん返しがあるミステリー映画だと思って最後まで観てしまった。
例えば、強姦はプレイの一環で、そこにはとんでもない理由があるとか、
あるいは強姦されることは主人公の計算で、誰かを陥れるためにわざとやられた、など。
確かに犯人探しといった謎解き要素もあるのだが、この映画を推進させる程度の一要素にしかすぎず、本質は新しい女性としての在り方を描いた映画だ。
ただただ私がアホだった。決めつけて観てしまったことを反省したい。

ただエンターテイメントとしてはちょっとわかりづらい。
例えばミシェルが、強姦されたあとに平然とした態度を取ることは
自尊心を大切し、自己主張の強い女性を描くための行動なのだが、
だとしても強姦されたときは一人で家にいるので、
悔しくて食器を壁に投げつけるとか、警察に電話しおうと思うがやっぱりやめるとか、「くそ!」と叫ぶといった態度を見せるなど、もう少し自然に描いてほしかった。

それと、ミシェルが元夫リシャールと、親友のアンナ、彼女の夫のロベールと4人でレストランに行くのだが、
なぜかリシャールの車にバックからぶつけて、バンパーを破壊してから店に入る。
こういった行動も意味がわからないし、理由が明かされることもない。
恐らく彼のことを気に入らないんだろうが、だからといってアラフィフのおばさんがすることにしては幼稚すぎる。
高嶋ちさ子でもさすがにここまでしなそう。DSは折るけども。

あと、主人公ミシェルが最先端のゲームを作っているようなキャラには思えない。
女性的で色気のある身なりを意識している主人公なので、ゲームといったオタク属性と直結しないというのはあるのだが、
だとしたら、家にゲームが関連するものをもっと置いてもいいと思う。
なので、この家にも何らかの秘密があるように思えた。
あるいは仕事は何かの隠れ蓑など。

主人公ミシェルは親友アンナの夫ロベールと浮気をしているのだが、
後半ミシェルは、アンナにある発言をする。これも理解できない。
この行動は、ただ自分が楽になりたいからだけで相手ファーストの行動ではないので、一番最後の展開には繋がらないと思う。違和感を覚える。

とにかく、展開もキャラ性も突飛すぎて私はついていけなかった。
かと言ってつまらないわけでもない。
どのキャラクターも何かしらのエラーを抱えており、
動機や、どういった形で変化を迎えるのか、気になって見入ってしまうところはある。
事件やヒント、解決も次々と展開されていくので飽きずに見れる作劇力はさすがベテラン作家だ。
実は脆く、女性に依存している男性キャラも多く登場させ、相対的に女性を逞しく見せているところも特徴的。
批評家ウケのいい、エンタメ性よりもテーマに特化して作られた映画といった印象である。
余談だが、当初はニコール・キッドマン、ダイアン・レイン、シャロン・ストーン、ジュリアン・ムーア、シャーリーズ・セロンらがミシェル役として構想されていたが全員に断られ、イザベル・ユペールに決まったとのこと。

エル ELLEの作品情報

■監督:ポール・バーホーベン
■出演者:イザベル・ユペール クリスチャン・ベルケル
■Wikipedia:エル ELLE
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):91%
AUDIENCE SCORE(観客):72%

エル ELLEを見れる配信サイト

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※2019年5月現在

関連性の高いおすすめ映画

エル ELLEと同じ、たくましい女性を描いた映画のおすすめ。

『キャロル』★★★★☆4
クリスマスを目前に控えたデパートにて、おもちゃ売り場で働くテレーズはキャロルという美しさと気品に満ちた女性に心を奪われる。彼女が置き忘れた手袋をテレーズは届けると昼食に誘われ、そのことがきっかけで二人の仲は縮まっていく。キャロルはテレーズに夫ハージと娘の養育権問題でもめていることを明かす。

百合もの映画。
吹替のソフトがないのはちょっと残念。
ケイト・ブランシェット扮するキャロルのそこらの男よりもたくましく芯の通った性格は魅力的。

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Hulu:○(2019/6/7まで)
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dTV:○
ビデオパス:-
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Netflix:
※2019年5月現在

『百円の恋』★★★★☆4
32歳の一子は、実家でひきこもりゲームやお菓子にまみれた堕落した毎日を過ごしていた。実家は弁当屋を経営しているが手伝う素振りも見せない。ある日、実家に出戻ってきた妹の二三子と揉め、家を追い出されることに。一子は一人暮らしをしながら百円コンビニでバイトするようになるが、その店に客としてバナナを買いに来るボクサーの狩野祐二に惹かれるようになり……。

そのケイト・ブランシェットに演技をべた惚れされている安藤サクラ主演の映画。一子があり得ないくらい変化を見せるのが好き。
やはり物語は変化を描くものだなあと実感させられる映画だ。
もっと魅力的なタイトルにしてたら売れただろう。「モンキーパンチ」「バナナ・ミーツ・ガール」「逆襲のバナナ」とかどうだろうか?

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ビデオパス:
TSUTAYA TV:
Netflix:
※2019年5月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。