映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑥バディとの友情

映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』ネタバレなしの感想。主婦が描いた女性のための変態的ラブストーリー

投稿日:5月 15, 2019 更新日:

■評価:★★★☆☆3

「愛する相手の人間性が障害となる、変わった形の恋愛映画」

【映画】フィフティ・シェイズ・オブ・グレイのネタバレなしの感想、レビュー、批評、評価

アナスタシア・スティールは英文学を専攻する平凡な女子大生。ある日、彼女は体調不良となった友人キャサリンの代わりに大企業グレイ・エンタープライズ・ホールディングスのCEOで27歳のクリスチャン・グレイに学生新聞のインタビューをすることになる。アナは彼の洗練された振る舞いに関心を持ち、クリスチャンもまた彼女に興味を抱くようになるが……

幼少期の暗い過去を持ち、嗜虐的で歪んだ愛情表現しか知らない男と、平凡な文学女子との恋愛ストーリーだ。
普通の恋愛を望むアナに対し、偏執的な関係を望むクリス。これがメインの対立軸となるユニークな設定である。
性描写もあり、R指定も食らっているので見るときは注意が必要。
原作は主婦が女性向けのエロティックな恋愛物語としてネットに投稿し、書籍化されて全世界で1億2500万部以上の売り上げを記録した大ヒット小説である。

第一印象は映像美だ。
全編に渡ってぬかりなく美しい。
女性監督ならではの美的感覚のなせる業なのだろうか。
脚本や演技がどうとかではなく、映像で一気にこの世界に引き込まれてしまう。
映画やドラマなどの物語が好きな人は、日常から離れ、非日常世界に没入する目的を持つ印象があるのだが、
そういう意味でも、画で魅了するこの作品は、映画として理想の形の一つだ。

個人的にはキャラクターの設定が、お気に入りポイントの1つだ。
妄想が趣味の奥手な文学女子が、サディスティックなイケメン社長に惚れるという構図が妙にツボにハマった。
彼女は彼にどんどん惹かれていき、二人きりでいい雰囲気になったとき、何度もキスの受け入れ体制のサインとして目をつぶるのだが、その都度おあづけされる。
もんもんとする彼女。
それからのエレベーターのシーンは思わず吹いてしまった。
このシーン、マジメに撮られているのだが笑わずに観られる人はいるのだろうか?

彼女は中盤で、ちょっとした秘密が明かす。
これも、この先の波乱を予感させるいい要素であり、物語のエンジンとしての役割を果たしている。

彼女の住む田舎町の自然豊かな風景と、洗練された都会シアトルのコントラストもよかった。
さながら現実と非現実といったところ。

アナの親友ケイト(キャサリン)はやたらと情熱的で普遍的な恋愛楽しんでいるシーンも意図的に多く挿入されている。
アナとは対照的に。彼女にとって、ケイトがうらやましく映ってるんだろうなと思う。
このシーン、地味に切ない。

音楽の良さも捨てられない。
特に私のお気に入りは飛行機のシーンだ。
空から眺める美しい田舎町と、ロマンチックな音楽の融合はこの映画一番の見せ場である。
サントラも手にしたくなる。レンタルもあるので気になる人はチェックするといい。
第73回ゴールデングローブ賞では主題歌賞として「Love Me Like You Do」が、
第88回アカデミー賞では歌曲賞として「Earned It」がノミネートされている。

官能小説と紹介されていることもあり、
確かに刺激的なシーンはたびたび見られるが、観客の性欲を刺激するより、二人の人間性のごく一面を見せているに過ぎず、
恋愛映画として観た方が、物語としては受け入れやすい。
性描写自体もアート的に美しく描いているのでこの世界観によく馴染んでいる。

不満な点をあげるとしたら、彼女が彼に惹かれる過程を丁寧に描いてほしかった。
彼の見た目とステータスのみに心を奪われた印象を受けるので、
実は彼にはお茶目なところがあったりなど、性癖以外の隙があったら彼女が彼に惹かれる理由が納得できる。
あるいは彼女の過去をもう少し深掘りして、自分には持っていないがずっと欲しかったものを彼が持っていて、など。

あと、目立った事件が少ない印象も受ける。
三角関係とか、もっとわかりやすく対立を挿入して起伏があった方が楽しみやすい。

この映画の一番残念なところは、終わり方だ。
完結せず、中途半端なところで幕を閉じる。
なのでエンドロールが流れた時、「もう終わり?」と思ってしまう。もちろん悪い意味で。
回収されない伏線もあり、多くのもやもやが残る。
続編として、「フィフティ・シェイズ・ダーカー」「フィフティ・シェイズ・フリード」の2作があるが、
最初から3部作構想だったとしても、せめて1部目は完結させてもらいたい。

やたらとクリスチャンが「アナスタシア」「アナスタシア」と連呼するので、アナスタシアという名前がしばらく頭にこびりつくこと必至。

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイの作品情報

■監督:サム・テイラー=ジョンソン
■出演者:ダコタ・ジョンソン ジェイミー・ドーナン
■Wikipedia:フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):25%
AUDIENCE SCORE(観客):41%

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonビデオ:○(吹替)○(字幕)
dTV:○
ビデオパス:○(R18+完全無修正バージョン)
TSUTAYA TV:
Netflix:-
※2019年5月現在

関連性の高いおすすめ映画

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイの裏ジャンルである【バディとの友情】に分類される映画。

『とらわれて夏』★★★☆☆3.5
1987年、レイバー・デー(労働者の日、アメリカでは夏の終わりを象徴する)の週末。夫に先立たれ、精神疾患を抱える母アデルは一人息子の13歳ヘンリーとスーパーへ買い物に出かける。そこで、腹から血を流す脱獄犯フランクに声をかけられ、二人は仕方なく彼を家に匿うこととなる。

世界観が良く、夏になるたびに見たくなる一本。
アデルとフランクの恋愛映画なのだが、息子のヘンリーの存在がポイントとなる。

U-NEXT:
Hulu:-
Amazonビデオ:○(字幕)
dTV:○
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:
Netflix:-
※2019年5月現在

『猟奇的な彼女』★★★★☆4
平凡な大学生キョヌは、ある日地下鉄で美しい女性を見つける。しかし彼女は泥酔しており、車内で倒れてしまう。キョヌは仕方なく介抱し、それがきっかけで二人は仲良くなる。彼女はやたらと凶暴で、本心を見せようとしない。それでもキョヌは彼女に惹かれていき……。

「この映画と出会えてよかった」と思わせる素晴らしいラストを迎える。
一番好きな韓国映画かもしれない。
「猟奇的な彼女 in NY」というタイトルでハリウッドリメイクされている。
評判はそんなに良くないが原作に忠実に作っていることもあって、物語単体としては普通に見れる映画だ。

U-NEXT:-
Hulu:
Amazonビデオ:○(字幕)
dTV:○
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:
※2019年5月現在

-⑥バディとの友情

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。