映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑨組織のなかで

映画『ウィンターズ・ボーン』ネタバレなしの感想。ヒルビリーの生活を描いたジェニファー・ローレンス出世作

投稿日:5月 16, 2019 更新日:

■評価:★★★☆☆3

「閉鎖的な村で孤軍奮闘する女性の物語」

【映画】ウィンターズ・ボーンのネタバレなしの感想、レビュー、批評、評価

17歳の少女リーはミズーリ州オサーク高原の村に妹、弟、病気がちの母と3人で暮らしていた。ある日麻薬の密造で逮捕された父が保釈後に姿を消してしまい、裁判に出廷しないと保釈金の担保にしていた家と土地を没収されることとなる。家族を守るため、リーは親戚や知人に父の行方を尋ねるが、誰もが非協力的な態度を示し……。

この物語はヒルビリーと呼ばれる田舎に住む、スコットランド系アメリカ人の生活を背景としている。
19世紀のじゃがいも飢饉により、アメリカにやってきたスコットランド人だが、農業の出来るような場所は残っておらず、仕方なく人里離れた山奥に入植することとなる。
この土地は岩だらけで農業に適しておらず、とうもろこしや養豚、養鶏程度の仕事しかできず、全米で最も貧困な地域として知られている。
平均年収でいうと200万程度しかなく、麻薬の密造、密売に手を染めてしまう村民も後を絶たない。
彼らは血縁と姻戚関係によって強い結びつきがあり、全ての村民が家族(一族)といった関係性となっている。

掟が法律よりも重んじられており、
この物語で面白いのは、警察がまともに機能していないところだ。
そもそも一族は警察を外敵扱いしており、父を探すリーも一族の女なので、警察に頼ることなく一人で父の行方を追う。
だが、一族との対立軸がこの映画の見せどころである。
つまりリーは、父が行方不明になったことで家族を守るために半分一族といった属性となり、ここから物語が始まる。
これを念頭に置いて見ると、この物語は楽しみやすい。
彼女は一族と戦い、一体どのような変化をもたらすのか。

日本ではこういった閉鎖された村というモチーフを扱うとき、超自然系のホラー映画にしがちだが、
この映画の原作者ダニエル・ウッドレルは、実際にミズーリ州スプリングフィールド生まれのヒルビリーのため、こういったリアルな物語が誕生している。

この映画、暗いトーンの画に、生活に疲れたような希望のかけらも感じられない村民たちと、
雰囲気が良くて先の展開が気になるのだが、不満点も多い。
そもそも主人公の敵である一族があまり怖くない。
もっとも敵の強さ・恐ろしさを印象付ける必要のある序盤では、ただ誰も協力しないだけなので、もっと見せしめ的な描写が欲しい。
弟は明らかに義務教育の年齢だが、ずっと家にいるので生活感がなく違和感を覚える。学校には行かないのだろうか。
何なら学校に行って、先生から「父の捜索をやめろ」的な警告を受けるなどの描写があると、味方の象徴である先生すらも敵なのか、といった印象を受けたりして面白くなりそう。

主人公の成長・変化が見られないのがちょっと残念。
能動的に行動はしているものの、結局、自分の成長ではなく、他力によって展開されていくのでカタルシスは感じられない。
内面の変化・成長によって下された決断で、クライマックスへの橋渡しをしてほしい。それが例え悪い結果になろうとも。
じゃないと観客の感情が動かない。

後に大女優となるジェニファー・ローレンスの出世作であり、彼女の胆が座ったような精神性の強い演技は見応えがある。
第83回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、主演女優賞、助演男優賞にノミネートされている。
サンダンス映画祭では、ドラマ部門のグランプリ受賞。

ウィンターズ・ボーンの作品情報

■監督:デブラ・グラニク
■出演者:ジェニファー・ローレンス ジョン・ホークス
■Wikipedia:ウィンターズ・ボーン
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):94%
AUDIENCE SCORE(観客):76%

ウィンターズ・ボーンを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonビデオ:○(字幕)
dTV:○
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年5月現在

関連性の高いおすすめ映画

ウィンターズ・ボーンの裏ジャンルである【組織のなかで】に分類される映画。

『それでもボクはやってない』★★★★☆4
フリーターの金子徹平は就活のため、朝の満員電車に乗り込む。その時、女子中学生に痴漢と間違われてしまい、駅員室に連れて行かれてしまう。無実の罪を認め示談をするようにと促されるが、それを拒んだ徹平は警察に連れていかれ逮捕されてしまう。

社会派ドラマで堅い内容と思いきや、色んな角度から畳みかけるように展開が繰り返されるため、
エンタメ性が高くてビックリさせられる。
終り方が印象的。考えさせられるものがある。

U-NEXT:
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dTV:○
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Netflix:-
※2019年5月現在

『プラダを着た悪魔』★★★☆☆3.5
ジャーナリストを目指すためニューヨークにやってきた田舎娘のアンドレアは、多くの女性が憧れるファッション雑誌「ランウェイ」の編集部に就職する。しかし編集長であるミランダは悪魔的に横暴で高圧的な上司であり、多くの社員が辞めていってしまっていた。彼女は目標とする文芸誌への足掛かりとして、戦う覚悟を決める。

メリル・ストロープ扮するミランダのキャラ立ちがエグい。
かなり好きな結末。

U-NEXT:
Hulu:
Amazonビデオ:○(吹替)○(字幕)
dTV:○
ビデオパス:
TSUTAYA TV:
Netflix:-
※2019年5月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。