映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑥バディとの友情

映画『美女と野獣(実写版)』ネタバレなしの感想。ベルの魅力について

投稿日:5月 23, 2019 更新日:

■評価:★★★☆☆3.5

「平凡で文学大好きな村娘にエネルギーを与えられる普遍的ラブストーリー」

【映画】美女と野獣(実写版)のネタバレなしの感想、レビュー、批評、評価

18世紀のフランス。嵐の夜、傲慢な王子が舞踏会で踊りを楽しんでいると、一人の一輪の薔薇を持った女の乞食が突然城を訪れ「道に迷ったので一晩泊めて欲しい」と申し出をする。醜いルックスに思わず嫌悪感を持った王子は、彼女を嘲笑したあげくに追い出してしまう。彼女は魔女である正体を明かし、王子は呪いをかけられ、醜い野獣へと変身させられてしまった。家来たちも家具に変えられ「薔薇の花びらがすべて落ちるまで本当の愛を学ばなければ、呪いは永遠に解かれない」と魔女に告げられる。数年後、城の近くの村ではベルという美しい女性がおり……。

美女と野獣といったら煌びやかなディズニー・プリンセスが前面に押し出されたラブストーリーという印象が強く、私に限らず、男は敬遠しやすいタイプの物語だ。
いざ、蓋を開けてみると思った以上に楽しめたというのが率直な感想だ。
仲の悪い二人の距離が少しずつ縮まるところに心地よさを覚えるし、普遍的なラブストーリーであると同時に、キャラの行動を決定付ける原始的動機の「死」が含まれているところもあり、万人が観ても感情移入できる作品となっている。

観る前はてっきり傲慢王子の呪いは「野獣化」のみかと思ったんだが、四重苦であることを知ってビックリした。
①醜いルックスの野獣化
②王子の言いなりとなっていた家来たちは家具に姿を変えられる
③町の人々から王子たちの記憶を消し去ってしまう
④薔薇の花びらがすべて落ちると呪いは永遠に解けない

確かに王子は傲慢で、人を見た目で判断する悪いやつだが、
ここまでひどい仕打ちを食らうと、観客としてはイヤでも彼に救われて欲しいと思ってしまう。

面白かったの1つに、序盤に本好きのベルが村の図書館らしき施設に本を借りに行くのだが、蔵書数が十冊くらいしかないのだ。思わず心の中で「少なっ」と突っ込んでしまった。
ちなみにこのシーンは、ちょっとした伏線となっている。
にしても、あまりに少なすぎて笑える。極端すぎてコントのように見えるので、個人的には結構好きなシーンだ。

ベルが城で初めて取る食事シーンもすごかった。
一度の食事で、ここまで本気を出すのかっていうくらい家来たちが歌って踊ってベルをもてなしてくれる。
その直後「なぜここまで良くしてくれるの?」とベルが彼らに尋ねるのだが、まさにその通りだ。私の思っていたことをそのまま口にしてくれたので笑ってしまった。
家来たちからしたら、人間に戻るにはベルに城に滞在して王子と愛を交わしてもらわないと困るので、楽しませるのは当然の行為だ。私も家来の立場だったら全力で踊り狂うだろう。

野獣は野獣で、あのイカつい風貌なのに弱気なところがあり、隙があって可愛らしい。
端正なルックスが奪われ、醜い野獣になってしまったことでメンタルがやられてしまっている。
まるで若い頃はモテて自信があったが、年を取ることで自信を失ってしまった年配女性のよう。そう考えると、ベルと王子の立場が逆転しているように見えてくる。
男らしいサバサバしたベルと、自信が失われた女々しい王子。

これは不満というワケではないのだが、絢爛な服や装飾による映像は豪華に見えるのだが人工感が否めない。
アニメ版は未視聴だが、こういう強烈なファンタジー設定はアニメの方がフィットするし、実写は実写ならではの世界観でやるべきだなって改めて実感した。
実写のベルと、CGである背景の融合が自然とは言い難い箇所もいくつかあり、この世界観を作るために無理しているように見える。

アニメ版のベルはぽってりとした唇に胸の谷間があるセクシーな印象があったんだが、
原作設定では、ベルは自由奔放な性格らしく、それを色気のあるルックスで表現したのがアニメ版だろう。
エマ・ワトソンはたしかに美人なんだが、色気に乏しくユーモアがあまり通じなそうな顔つきで優等生感が強い。
スキャンダルのあるような、奔放な印象がある女優が演じた方が適任だったのではないかと私は思う。

しかし、ベルがなぜ女子に魅了されるのかよくわかった。
抑圧する村人にも流されずに、自分を貫く自立心のある性格。イヤなことはイヤだとはっきりと口にする裏表のない素直さ。
村の英雄・ガストンをあまりに粗雑に扱うのでかわいそうになってくるくらいだが、彼には畑を踏み荒らすという生理的嫌悪感のある行動をさらっと取らせて、観客が一瞬にしてベルに同調するように仕向けているところがディズニーらしい。
細部にもきっちり気を配って観客の感情をコントロールする腕はさすがである。

美女と野獣の作品情報

■監督:ビル・コンドン
■出演者:エマ・ワトソン ダン・スティーヴンス
■Wikipedia:美女と野獣
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):71%
AUDIENCE SCORE(観客):80%

美女と野獣を見れる配信サイト

U-NEXT:
Hulu:-
Amazonビデオ:○(吹替)○(字幕)
dTV:○
ビデオパス:○
TSUTAYA TV:
Netflix:-
※2019年5月現在

関連性の高いおすすめ映画

美女と野獣の裏ジャンルである【バディとの友情】に分類される映画。

君の名は。』★★★★★5
東京に住む男子高校生の立花瀧は、ある日、目が覚めると岐阜県飛騨地方の田舎町、糸守町に住む女子高生、宮水三葉になっていた。三葉の方は瀧の体に入れ替わっており、二人は奇妙な夢だと思いながらも知らない相手の1日を過ごすことに。その後も週に数回の頻度で二人は入れ替わり、周囲の反応から、現実の現象であることを理解し……。

観終わったあと幸せな気持ちになれる最高のラブストーリーだ。
三葉を演じた上白石萌音の岐阜弁は可愛いし、入れ替わりならではのトラブルの数々も笑える。
映像も美しいし、音楽もいい。良くもまあこんな化け物みたいな映画が作れたもんだ。

U-NEXT:
Hulu:-
Amazonビデオ:
dTV:○
ビデオパス:○
TSUTAYA TV:
Netflix:-
※2019年5月現在

『天然コケッコー』★★★☆☆3.5
天真爛漫で純粋な中学生の右田そよは、山と田んぼに囲まれた田舎町に暮らしていた。全校生徒合せて6人しかいない彼女も通う分校にある日、同い年の中学生、大沢広海という男子が転校してくる。ルックスのいい彼に一目惚れするも、田舎町をバカにする舐めた態度を取る彼に対して気持ちが少しずつ冷めてしまい……。

田舎町が舞台の日常系映画。
この映画の一番のポイントは、右田そよを演じた当時10代だった夏帆の瑞々しさだ。
田舎物丸出しの三つ編みヘアでありながらも快活で負けず嫌い。それでいて純粋ですぐ傷つく。そして自分のことを「わし」と言う。キャラクターの魅力が尋常ではない。

U-NEXT:
Hulu:-
Amazonビデオ:
dTV:-
ビデオパス:○
TSUTAYA TV:-
Netflix:
※2019年5月現在

-⑥バディとの友情

執筆者:

名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。