映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

②金の羊毛

映画『search/サーチ』ネタバレなしの感想。フェイクドキュメンタリーの進化系

投稿日:6月 7, 2019 更新日:

■評価:★★★★☆4

「現代版フェイクドキュメンタリー」

【映画】search/サーチのネタバレなしの感想、レビュー、批評、評価

デビッド・キムは最愛の妻をガンで亡くしてから、娘のマーゴットとの間に距離が生じていた。ある日、マーゴットは友人との勉強会のために外泊をすることに。翌朝デビッドは目を覚ますと、彼女から3度の着信があったことに気づくが、帰宅した形跡もなかったので、そのまま学校に行き、ピアノ教室に行ったものだと思いこんでいた。しかし、彼女がピアノ教室を半年前に黙って辞めていたことを知り……。

ほぼ全編、パソコンの画面上で展開されるという斬新な発想の映画だ。
主人公デビッドは基本的にパソコンを操作しており、誰かと話すときもパソコンのテレビ電話を使うので、彼の顔が画面上に常に表示されている。

いわゆるフェイクドキュメンタリーと呼ばれる演出だ。
フェイクドキュメンタリーとは、ノンフィクションのドキュメンタリーというていを取った演出の名称で、あくまでカメラは必然的に回っているという設定となっている。

この演出の目的はリアリティの獲得である。
その代償として、相当な制約が課せられてしまう。
例えば今回の『search/サーチ』のケースだと、主人公がパソコンの画面外で勝手に行動することは、ほぼ禁止行為だ。
パソコンの画面外で物語を進展させてしまったら、この演出を採用した意味がなくなり、観客は「何でもありやんけ」と思ってしまって一気に興ざめしてしまうため。

厳しいルールの遵守を強いられるのがこの演出の特徴だ。もちろん成功すれば、観客はまるで実際の出来事であるかのように画面に釘づけになる。

この演出を用いて脚光を浴びた映画といったら1999年に公開された「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」だろう。
(ブレア・ウィッチ・プロジェクト:魔女が出没するという噂のある森に、大学生サークルのメンバーがビデオカメラを持って撮影を試みる物語)
私は高校生の頃、何となくレンタルして夕方に見ていたのだが、あまりの怖さに森がトラウマになりかけた。世の中にこんな怖い映画が存在するのかと。私は未だに二度目の視聴は控えている。絶対に観ない。
臨場感が格段にアップする演出のため、ホラー映画との相性が抜群なのだ。
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」以降も「パラノーマルアクティビティ」や「REC」、日本でも白石晃士監督による「ノロイ」が有名である。

にしても今回はパソコンの画面という斬新さがあり、こういった試みは結果的に良いか悪いかを抜きにして、チャレンジ精神そのものに好感が持てる。(面白かったので大満足)
新しい発想からの切り口こそが、その業界の発展につながるものだ。

余談だが、私がこの映画を知った経緯は少し特殊だった。
私は前に英会話をやっていたのだが、この映画が日本で公開される前にアメリカ人講師から勧められていた。その時は「YouTuberが作った映画」と紹介された。
このアニーシュ・チャガンティという名前のインド人監督は、グーグルグラスのみで2分半の短編映画「Google Glass: Seeds」というタイトルのものをYOUTUBEにアップし、24時間以内に100万回再生を達成しているとのこと。もし気になったら観てみるといい。

この映画自体は、アメリカの10~20代からは相当ウケが良かったらしい。
パソコン上ではテレビ電話以外にも、FACEBOOKやYOUTUBE、ライブ配信サイトなどを用いて人と繋がり、マーゴットを捜索していく。若者たちが実際に使っているアプリケーションを用いて娘を捜査するといった流れにワクワクしたのだろう。

話を映画に戻し、主人公のデビッドはチャットで登場人物たちと会話をするのだが、動揺しているときは何度も打ち直したりする。
制約上、キーボードを入力しているときは、主人公の顔は画面上に出てこないので、感情をこういう形で表現していたりして面白い。

更にヴィック刑事から「マーゴットの交遊関係を探って欲しい」と頼まれ、彼は娘のFacebookにアクセスし、一人ずつ友人たちに電話し、関係性や前日のその人の行動を聞き出してExcelのような表計算ソフトにまとめる。刑事に見せると、「このファイルをシェアして欲しい」と頼まれるのだ。
このシーンこそ、パソコン1つで物語が展開していく真骨頂であり、恐らく監督はこの辺りのイメージが浮かび、このようなコンセプトの企画を立ち上げたのだろう。
パソコン1つあれば今の時代は失踪人も捜索もできると。逆に言えば個人情報がすべてクラウド上に存在するという警鐘ともとれる。

徐々に浮き彫りとなる娘の実態。
娘はこういう人間だと思っていたら、実は違う面を持っていて……といった形で二転三転していく。
こういった人間の多面性の発覚により事態が進展していくのは、前回の記事でアップした「スリー・ビルボード」にも通ずるものがある。斜め上の展開はやはり面白い。

シナリオはシンプルな謎解きものだが、キャラクターの変化もしっかりと描いており、後味もいい。
最初はパソコン上という制約がかなり厳しく、無理があるかなって思いながら観てはいたが杞憂で済んだ。的確にネットのツールを駆使して真相に近づいていく流れは非常に楽しめた。
恐らくあなたも、このような新しいタイプの映画を観たら「映画好きでよかった」と思うだろう。ぜひ観てもらいたい一作だ。タイムリーさが味でもあるので、早いうちに鑑賞することをおすすめする。

search/サーチのスタッフ、キャスト

■監督: アニーシュ・チャガンティ
■出演者:ジョン・チョー デブラ・メッシング ミシェル・ラー
■Wikipedia:search/サーチ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):92%
AUDIENCE SCORE(観客):88%

search/サーチを見れる配信サイト

U-NEXT:
Hulu:-
Amazonビデオ:○(吹替)○(字幕)
ビデオパス:
TSUTAYA TV:
Netflix:-
※2019年6月現在

search/サーチと関連性の高いおすすめ映画

search/サーチの裏ジャンルである【金の羊毛】に分類される映画。

『ブロウ』★★★★☆4
貧乏な家庭で育ったジョージ・ユングは、金のことでいつもケンカをしている両親にうんざりしていた。そして「金が何よりも大事だ」と子どもながら学ぶ。大学生になり、マンハッタンに移住したジョージは手っ取り早く、楽して稼ぐため、ビーチでマリファナの小売をすることに。

こちらも親子愛を描いており、実在の麻薬王を描いた映画である。
断言する。ジョニーデップの最高傑作だ。
私はジョニーデップの様々な映画を観てきているが、この映画ほど輝いている彼を観たことがない。
ジョニーデップの怪演に震えろ。

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonビデオ:○(字幕)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:
Netflix:
※2019年6月現在

-②金の羊毛

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。