映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

①家のなかのモンスター

映画『クワイエット・プレイス』ネタバレなしの感想。音を出したら怪物に食われてしまう分かりやすい設定のスリラー

投稿日:6月 10, 2019 更新日:

■評価:★★★☆☆3

「抑制型スリラー」

【映画】クワイエット・プレイスのネタバレなしの感想、レビュー、批評、評価

2020年、突如宇宙から飛来した怪物により、地球は絶滅の危機に瀕していた。盲目である怪物は代わりに聴覚が異常発達しており、生き残った人間は音を立てられない生活を強いられることに。そんな中、アボット一家は手話を活用し、音を立てないように人里離れたところでひっそりと暮らしていた。ある日、物資を補充した帰り、末っ子のビューが音を立てたことで怪物に食われてしまう。それから一年後、アボット一家は今もなお密やかな生活を過ごしているのだが……。

非常に分かりやすいハイ・コンセプト映画だ。
「音を出したら命を奪われる」といったシンプルなルールのため、観客はこの映画を観ていると「もし自分がその場にいたらどうするだろう」と思ってしまう。

こういった抑制型のスリラーは最近の流行りなのだろうか。つまり言動、感情の制限を強いられるということ。破れば即、お陀仏だ。
類似作品でいうと「ドント・ブリーズ」「バード・ボックス」などが挙げられる。
(ドント・ブリーズ:強盗に入った家が盲目の退役軍人の家で、侵入者を容赦なく命を奪おうとする彼から逃げる話)
(バード・ボックス:“それ”を観たら自傷行為に走って命を落としてしまう世界の話)

もう1つの大きな特徴は、昔無声映画なんてものがあったが、この作品はまさに無音映画だ。
怪物に見つからないようにとキャラクターたちは手話で会話をするのだが、そういったシーンではBGMや環境音も一切排した無音演出が行われる。この試みは非常に新鮮で面白い。登場人物の緊張感がこちらにも伝わってくる。
ただ、画面があまり変わらず、テンポが遅くなってしまう弊害もあるので、元気がいいときに観ることをおすすめする。私は寝不足のときに観たため、睡魔が一番の敵となった。

無音をいいことに、急に大きな音を出して脅かしてくるのはカンペンして欲しい。一体いつになったらこの手の使い古された演出は廃れてくれるのだろうか。「時代は令和だぞ」とあなたは観ていて強く思うことだろう。
なので、音量に気つけることも忘れずに。

序盤に息子が食われてしまい、そこから一年後がこの映画の本番である。
相変わらず家族以外の登場人物は出てくることはなく、奥さんは何と、こんな世界なのに腹が大きく膨れている。
「他に生きている人間はいるのだろうか?」
「奥さんは妊娠しているけど、子供は産めるのか」
この2点を意識しながら、観客は先の展開を予想しながら観ることとなる。

このように設定は分かりやすいせいなのか、脚本の甘さも目立ってしまう点もある。
1つは能動性の欠如。
主人公らの世界と戦っている感が希薄に感じるのだ。
ひたすら、モンスターとの猛攻に対して守りに転じているといった印象。
実際に、主人公はあることをこっそりと行っているので、能動的な行動を取っているとは言えるのだが、伏線として演出してしまっているため、あまりそういった印象を感じられないのと、それ自体が受動的なものなので、もっとこちらから責めるような作りにしていいと思う。弱肉強食の世界を「家族」で生きぬくといった見応えに繋がる。

もう一つはキャラクターの変化の描写が乏しいということ。
これも、厳密には描かれている。
序盤で息子が命を落とし、1年後になったとき、妻が妊娠している。
恐らく息子が絶命したとき、家族はひどく落ち込んだのだろう。
そして立ち直り、この残酷な世界に立ち向かうと決めて、子供を作ることを選んだ。
だとしたら「立ち直り」のきっかけを描いて欲しい。キャラクターが変化していくさまを観客は見届けたいのだから。

この苦悩から立ち上がるさまをドラマチックに描いたら、後に訪れるある展開で、より観客は大きく心を揺さぶられる。

面白そうな雰囲気は漂いつつも、ディティールの甘さが目立つ結果となった。
監督はホラー映画に馴染みがなく、この映画を製作するにあたっていろいろと勉強したみたいだが、その経験値不足が原因なのかもしれない。

好きな点を挙げるとしたら、夫婦役を演じた主演のエミリー・ブラントとジョン・クラシンスキーは現実でもパートナーであるところ。
個人的にはバード・ボックスのが好みだったが、あなたはどうだろうか。
続編が2020年に公開されるということなので期待したい。

クワイエット・プレイスのスタッフ、キャスト

■監督:ジョン・クラシンスキー
■出演者:エミリー・ブラント ジョン・クラシンスキー
■Wikipedia:クワイエット・プレイス
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):95%
AUDIENCE SCORE(観客):83%

クワイエット・プレイスを見れる配信サイト

U-NEXT:
Hulu:-
Amazonビデオ:○(吹替)○(字幕)
ビデオパス:
TSUTAYA TV:
Netflix:-
※2019年6月現在

クワイエット・プレイスと関連性の高いおすすめ映画

クワイエット・プレイスの裏ジャンルである【家のなかのモンスター】に分類される映画。

CULT_jk_sell

『カルト』★★★★☆4
タレントのあびる優、岩佐真悠子、入来茉里の3人は、心霊番組のレポーターとして心霊現象に苛まされている金田家を訪れることとなる。彼女らに同行した霊能力者の雲水が除霊を試みるが、思った以上に霊が強く、金田家の娘の美保が取り憑かれてしまうこととなり……。

白石晃士監督のフェイクドキュメンタリー映画。
3人のタレントが芸名そのままで出演しているところが面白い。
何よりもこの映画の見所は、「NEO」と名乗る、見た目はホスト風の異質な霊能力者である。
この男のためだけに観る価値があるレベル。

U-NEXT:
Hulu:-
Amazonビデオ:
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:
※2019年6月現在

-①家のなかのモンスター

執筆者:

名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。