映画の海

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③魔法のランプ

映画『アラジン(実写版)』ネタバレなしの感想。アニメ版との違いについて

投稿日:6月 12, 2019 更新日:

■評価:★★★★☆4

「ジャスミン姫の覚醒。強い女性に勇気を貰えるフェミニズム映画」

【映画】アラジン(実写版)のネタバレなしの感想、レビュー、批評、評価

砂漠の国の王女ジャスミンは、国王の父サルタンに結婚をせかされ、うんざりしていた。一方で彼女とは正反対の貧しいアラジンは盗んだものを売っては食糧を手に入れたりと、ギリギリの日々を過ごしていた。ある日、アラジンは王宮から抜け出し、トラブルに巻き込まれていたジャスミンを助ける。国を乗っ取ろうとしている国務大臣ジャファーがこの状況を悪用し、彼に王女誘拐という罪をねつ造して捕え、解放する代わりに魔法の洞窟にあるランプを取りに行くことを命じる。魔法のランプは3つの願いが叶えられるという噂があり……。

見終わった後、思わず拍手したくなってしまった。素晴らしい出来映えの実写リメイクで大満足である。
アニメ版と比べると大分大人っぽい作りとなっている印象だ。
アニメ版との大きな違いはこの3点。
①キャラの掘り下げ
②新キャラ追加
③ジャスミン姫の再定義

アニメ版では完結編で明かされるアラジンの親についての言及が、今作でなされている。
それと、悪役ジャファーの過去と動機。
ジャファーはアラジンと同じく盗人出身であり、そのために野心が強くなってしまった。さらに万年二番手で、決して一番にはなれないというコンプレックスもたびたび挟まれる。

実はこの悪役の葛藤を描くのは際どいやり方である。観客が感情移入してしまい、悪役ではなく一人のキャラクターとして観てしまうからだ。憎き悪役をぶっ倒すジャンル映画(エンタメ)ではなく、人間を描くヒューマンドラマ化してしまうということ。なので、そんな相手をやっつけると観客は違和感を覚えてしまうことになる。
今回に関しては葛藤描写は最低限で、悪役としての役割はきちんとまっとうしてはいたが、なくても良かったように思える。実写化ということもあって、キャラに深みを与えたかったのだろう。

2つ目は、ジャスミンの侍女としてダリアという女性が登場する。
アニメ版ではジャスミンの味方はペットのトラ、ラジャーしかおらず、男たちに振り回されるだけの哀れ運命にあった。
まるで親友のようなダリアを登場させ、ことあるごとに二人で協力して突破しよう試みる。
女性の立場向上のために投入された印象が強い。

今回のアラジンリメイクにおいて、一番力が入っていたのはジャスミンである。
アニメ版は素晴らしい出来映えだったが、不満点をあげるとしたら、ジャスミンが大人しいというところ。
「親に選ばれるのではなく、自分の愛した人と結婚したい」といった明確な目標提示しているにも関わらず、自ら動こうとしない。結果的に男たちに振り回され、ピンチに陥ってはアラジンに助けられてばかりだ。

しかし、今作では再定義されており、アニメと比較するとかなり存在感が強い。目的までも改変されているのだ。
「女性としての幸せは結婚だけじゃない」といったフェミニストとして描かれている。

特にワンカットの長回しで見せるジャスミンのソロ曲「スピーチレス」の歌唱シーンはただただ圧巻だ。
アナ雪のレットイットゴーを彷彿とさせるエモーショナルな曲で異次元のクオリティに到達しており、個人的にはそれと同等くらいに思っている。
私は映画を観終わったあと、YOUTUBEで散々聞き倒したあげく、サントラまで購入してしまった。もしあなたも欲しくなったら、「アラジン オリジナル・サウンドトラック デラックス盤」か「アラジン オリジナル・サウンドトラック 日本語盤」を購入することをおすすめする。US版は吹き替えキャストによる日本語の歌が入っていないので要注意。
後者の通常版はアラビアン・ナイト英語版など一部の楽曲が削られているが、こちらで充分のように思える。

日本語版「スピーチレス~心の声~/ 木下晴香 」
英語版「Speechless/Naomi Scott」

恐らく、シナリオを作った経験のある人しか気づかないであろう、その他の素晴らしい点は「ラジャー」に与えられた新たな役割である。
ラジャーはアニメ版にも登場したジャスミンのペットだ。
アニメ版ではお見合い相手の王子をただただ追っ払ったりと、目立った活躍は見せない。

実写版では序盤、へらへらしたマヌケそうな王子とお見合いさせられるジャスミン。彼女はうんざりしており、ラジャーも気に入らないのか、彼に襲いかかるのだ。
その後、アラジンがジャスミンに用があって王宮に忍び込み、彼女と再会した際にラジャーとも初対面を果たす。
ラジャーはなんと、無条件でアラジンになつくのだ。
動物に愛される=心がキレイ、といったアラジンのキャラ性の植え付けをさらっと行っている。

人のリアクションでキャラ付けをすることは良くあるのだが、動物のリアクションの対比で描くという見せ方は新鮮で素晴らしい。こういったディティールにこだわった脚本作品はまず外れはないので、このシーンを観て思わず嬉しくなってしまい「この映画は間違いない」と確信した瞬間でもあった。

動物が喋るのはデフォルメされたアニメの方がしっくりくるとか、吹き替えで観たのだが、やっぱり山ちゃんの虹色ボイスはアニメ向きだなあと再確認したりなど気になる点もあったが、いちいち挙げるのも野暮なくらい良く出来た映画だ。

あなたはアニメ版と実写版のどちらが好みだろうか。
正直それぞれに魅力があり、優劣をつける対象となっていないと思ったのが本音だ。素晴らしい映画体験をさせてもらった。

アラジン(実写版)のスタッフ、キャスト

■監督:ガイ・リッチー
■出演者:メナ・マスード ナオミ・スコット ウィル・スミス
■Wikipedia:アラジン(実写版)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):56%
AUDIENCE SCORE(観客):94%

アラジン(実写版)を見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年11月現在

アラジン(実写版)と関連性の高いおすすめ映画

アラジン(実写版)の裏ジャンルである【魔法のランプ】に分類される映画。

『もしも昨日が選べたら』★★★☆☆3.5
建築士のマイケルは妻と二人の子供を持っているが、家族をかえりみない仕事人間だった。ある日、ホームセンターで怪しげな従業員から万能リモコンを貰う。仕事が終わり帰宅すると、愛犬サンダースがけたたましい吠え声を発する。「音量を小さくしたい」と呟くと、犬の声のボリュームが小さくなったのだ。それ以外にも妻のマイケルに対する愚痴など、面倒なことはリモコンで早送りしてやり過ごせることに気づき……。

この映画に登場する魔法のランプは「万能リモコン」だ。
面倒なことは早送りしたりできるため、マイケルが欲望のままにリモコンを活用する。
怪しげな従業員からは「返品はきかない」といった条件で渡されており、それが後に大きな障害となる。

U-NEXT:
Hulu:-
Amazonビデオ:○(字幕)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:
Netflix:-
※2019年6月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。