映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『凪待ち』ネタバレなしの感想。香取慎吾の未成年以来の代表作

投稿日:7月 3, 2019 更新日:

■評価:★★★☆☆3

「最愛の女性に救われた経験のある人に向けた、ダメ男の破滅と再生の物語」

【映画】凪待ちのネタバレなしの感想、レビュー、批評、評価

川崎に住む木野本郁男は日々、ギャンブルに明け暮れるダメ男。ある日、同棲している亜弓と彼女の娘・美波ともに彼女の故郷である岩手県石巻市に移り住むことに。亜弓の実家には、末期ガンでありながら入院を拒否して漁師を続ける父・勝美がいた。郁男はこれを機にギャンブルから足を洗う決意していたが、新しい職場の同僚が競輪をやっていることを知り、一緒にノミ屋に出向いてしまう。さらに美波は当初から引っ越しを反対しており、些細なことがきっかけで亜弓とケンカして家に帰ってこなくなってしまう。郁男は異常に娘を心配する亜弓と言い合いになり、思わず彼女を突き放してしまう。翌日、亜弓は何者かに命を奪われ、川辺で遺体として発見されてしまう。

興味深く観れたのだが、違和感を覚えるところも目立つ結果となった。
序盤でなかなかショッキングな事件が起きるが、この映画は謎解きがメインではなく、郁男の人生の節目の描いたヒューマンドラマだ。それを踏まえて観ると楽しみやすい。

ダメ男である郁男の陰鬱とした雰囲気は良かったし、香取慎吾は体格がいいので存在感も際立っている。彼にしか出来なかったと思わせる説得力のあるキャラだ。
そんなダメ男の郁男は亜弓と付き合って6年、同棲して5年といった関係性だが、籍は入れていない。
娘の美波からも「結婚したら」と提案される。しかし郁男は「自分はろくでなしだから出来ない」と漏らす。
郁男は確かに競輪バカで酒も大好きなダメ男だが、根はいい奴だ。友だち思いで、自分より相手のことばかり考えるタイプ。そんな人の良さに亜弓は惹かれている。恐らくほっとけないのだろう。

人物相関図はかなり魅力的だ。
序盤で亜弓が天に召されてしまい、ダメ男の郁男と、恋人の娘が残る。籍を入れていなかったので、この二人は亜弓がいないとただの他人である。
さらに家には、亜弓の父・勝美がいる。彼は寡黙で末期ガンなのに漁にばかり出ている男だ。
この3人がどうやってこの先を生きていくのか、実に興味深く観れる。

生前の亜弓は勝美が漁に出るのを止めていたが、郁男は自由にしたらいいというスタンスだ。
距離間が近くないからそういう対応を取るのではなく、郁男自身、勝美に憧憬を抱いているようにも見える。郁男と勝美の関係性は、この映画において一番のポイントとなるので注目してもらいたい。

このような不思議な人物相関図は面白いのだが、看過できない点も非常に多い。
第一に2時間の上映時間が長く感じる。
これには理由がある。主人公・郁男の目標提示が存在しないため。
彼は何をしたいのか良くわからないので、観客が郁男を応援しづらいのだ。
もちろん再生はしてもらいたいのだが、郁男自身がそれを望んでいる描写もないので、観客の観る方向性が定まらない。

そしてこの郁男、何もしてない。助けてもらっているだけだ。
ギャンブルは良くしているのだが、解決のための行動ではなく逃げでしかない。そのため動いてる感は薄い。
一応終盤に動くシーンはあるだが、カタルシスは覚えない。
上記で説明したとおり、目的がないからだ。
もし目標提示をしてくれたならば、それに向けてようやく動き出したとき、観客は喜んで応援する。心だって揺さぶられる。
つまりこのキャラ、印象的ではあるのだが魅力があるとは言い難い。

亜弓の事件を無理やり終結させているのも気になる。
あまりに中途半端すぎるので削るべきシーンだ。
終結させることで、郁男に何らかの影響を与えているのなら良いのだが、特にそのような描写も見当たらない。

最後に、たまに娘が郁男に感情をぶつけてくるシーンがあるのだが、違和感を覚える。
郁男と娘との関係性を描いたシーンが圧倒的に少ないため。

終盤、郁男に一本の電話がかかってくる。
このシーンは素晴らしかった。こういう見せ方は想像出来なかったし、郁男の多面性を秀逸に描いている。

あなたはこの映画に興味を持っただろうか。
男は女に生かされている生き物ということだ。
男は女性がいなければ何もできないポンコツである。好きな女の為にがむしゃらに生きろ!というメッセージが込められた映画だ。

凪待ちの作品情報

■監督:白石和彌
■出演者:香取慎吾 恒松祐里 西田尚美
■Wikipedia:凪待ち

凪待ちを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年3月現在

凪待ちと関連性の高いおすすめ映画

凪待ちの裏ジャンルである【人生の節目】に分類される映画。

『葛城事件』★★★★☆4
葛城清は妻・伸子、長男・保、次男・稔の4人と平凡に暮らしていた。金物店を営んでいる清は昔かたぎな性格で、傲慢で威圧的な態度を取る一面もあった。長男の保はそんな父の期待に応えるため、大学を出てちゃんとした会社に勤めていた。彼に対して次男の稔は飽きっぽい性格で引きこもりがち。伸子は弱気な性格のため、高圧的な清に意見を述べることもできずにいた。順調だと思っていた保はある日、従業員削減のため、会社をクビになってしまい……。

キャラクター主義の映画。
最初にキャラクターを徹底的に作り込み、保のリストラというエピソードを与えることで、あとは勝手に動き出したキャラたちをありのままに描いたといった印象。
不器用な生き方はしたくないと痛感させられる。自分本位に生きた代償として、最悪な末路を迎えた家族の一例である。

U-NEXT:
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:
Netflix:
※2019年7月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。