映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑨組織のなかで

映画『縞模様のパジャマの少年』ネタバレなしの感想。衝撃としか言いようのない結末

投稿日:7月 14, 2019 更新日:

■評価:★?

「キャラクター描写が秀逸な事実に基づいたヒューマンドラマ」

【映画】縞模様のパジャマの少年のネタバレなしのレビュー、批評、評価

少年ブルーノは、軍に勤める父の仕事の都合でベルリンから遠く離れた田舎に引っ越すこととなる。友達とも別れ、遊び相手がいなくなった彼は退屈な日々を過ごしていた。ある日、両親には「近づくな」と言われていた家から少し離れたところにある農場にこっそりと行ってしまう。彼はそこで縞模様のパジャマを着た少年シュムエルと出会った。

鈍器で頭をぶんなぐられたような衝撃に襲われた。そのくらい想定外の結末だ。
劇場では、エンドロールが流れても席を立てない観客が多かったことが予想される。

本編はミステリー形式で展開される。
説明が極端に少なく、観客は映像から状況やキャラクターの心情を読み取っていくこととなる。確かにこの映画、こういった演出の方が効果的だ。
何でもかんでも説明してしまうと内容は観客に伝わるが、物語が薄っぺらくなってしまう。薄くしていい類のそれではない。観客の想像力に委ね、考えさせることが大事である。
なぜメイドはやたらと床を拭いているのか。煙突から出る黒い煙はなんなのか。理解の積み重ねが少しずつ真実に近づいていく。
そして迎えるラスト。

もはや点数を付けるのも憚れる内容だ。
だが、冷静に考えたらこの結末以外あり得ない。
何も知らない子供だからこそ迎えるあの結末。
子供だからこそ、衝撃度が強くなる。

途中の母の精神の崩れっぷりは切なかった。
観客が感情移入できるか唯一のキャラクターであるし、この母のリアクションもクライマックスにおいて重要となってくる。

ブルーノ一家は序盤で田舎に移住するのだが、近くに学校もないような土地だ。そのため姉とブルーノは家庭教師から学ぶこととなる。
授業では歴史を学ぶのだが、その過程でお姉ちゃんが異常なくらい、あるものに傾倒していく。
なぜお姉ちゃんは傾倒するのか。
彼女の年齢は小学校高学年くらいだが、大人の男性に恋するような精神年齢の高い女性だからだ。自分で考え、行動する精神性を持っている。傾倒するものが良い、悪いはこの際関係ない。
では主人公ブルーノはどうなのか?
この対比が、ブルーノのキャラ性を際立たせる。

あなたはこの映画を観たことがあるだろうか。
この映画は結末が重要であるため、これ以上語ることは控えたい。ちょっと語りすぎたくらいだ。
95分という短い時間で、きっちり焦点を絞って描いている。優れたシナリオだ。ムダが一切ない。誰もが観るべき内容である。

余談だが、私はこの映画についてある重要なワードを隠している。
アマゾンのあらすじ欄にすら書かれているが、そこすらも隠した方が楽しめると思ったからである。優しい男である。
もしあなたがこの映画についてまったく知識がないのなら、この記事以外の情報を仕入れない状態で観るといい。パッケージの文字すらも目を通さないことをおすすめする。本当に優しい男である。

縞模様のパジャマの少年の作品情報

■監督:マーク・ハーマン
■出演者:エイサ・バターフィールド ジャック・スキャンロン アンバー・ビーティー
■Wikipedia:縞模様のパジャマの少年
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):63%
AUDIENCE SCORE(観客):85%

縞模様のパジャマの少年を見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年7月現在

縞模様のパジャマの少年と関連性の高いおすすめ映画

縞模様のパジャマの少年の裏ジャンルである【組織のなかで】に分類される映画。

『バトル・ロワイアル』★★★★★5
新世紀初め、一つの国が壊れた。経済的危機により、失業率15%、失業者1000万人を超える。少年犯罪は増加し、不登校生徒は80万人。校内暴力による教師の殉職者は1200人を突破。自信をなくした大人たちは子どもを恐れ、ある法案を可決する。新世紀教育改革法、通称「BR法」だ。誰もが恐れる「死」を利用し、年に一度、ランダムに選ばれた中学3年生の1クラスを脱出不可能の島に強制送還し、最後の一人になるまで命の奪い合いをさせるというもの。そして今回、城岩学園中学3年B組が選ばれることとなった。

個人的な話で恐縮だがこの作品、私にとって非常な重要な一作となっている。
私の両親はボキャブラリーに欠けており、面白い味がまるでない退屈な人間だった。私が子どもの頃、彼らが与えてきた映画や本は実に普遍的なものばかりだ。
高校生となった私はある日、こんな新聞記事が取り上げられている朝のニュースを目撃する。
『中学生42人が孤島で命を奪い合う衝撃の小説が実写映画化』と。
この見出しがあまりに衝撃で、すぐにその日の学校帰りに原作小説買って読むことになる。
衝撃だった。こんな面白く、刺激的な小説がこの世に存在したのかと。

それまで何が面白いんだが良くわからない有名な本ばかり与えられていたが、全く面白くなく、本嫌いとなってしまった。
そんな私が『バトル・ロワイアル』をきっかけに小説好きとなった。
それまで数十ページも読むことが苦痛だった小説だが、700ページほどもある大長編をたった4日で読み切ってしまったのだ。もしあなたが小説が苦手なら、『バトル・ロワイアル』の原作小説をおすすめする。読みやすく、内容も刺激的だ。寝食を忘れて没頭するだろう。

映画もそうだ。今までタイタニックやETなどしか観てこなかったが、こんなにバイオレンスな映画が作られることに驚いた。しかも邦画がここまでやるのかと。
私にとってこの作品は初期衝動となった重要なものだ。バトル・ロワイアルと出会わなかったら今ほど小説や映画に夢中になることはなかっただろう。
続編は信じられないほどのクソだが。
クエンティン・タランティーノを筆頭に多くのクリエイターに影響を与え、デスゲーム映画を乱立させるきっかけとなった映画でもある。

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(有料)
ビデオパス:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:○(見放題)
※2019年7月現在

-⑨組織のなかで

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。