映画の海

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⑤人生の節目

映画『私がクマにキレた理由』ネタバレなしの感想。コメディエンヌとしてのスカーレット・ヨハンソンの才能

投稿日:7月 15, 2019 更新日:

■評価:★★★☆☆3

「自分らしさを見失った経験を持つ人向けの、自分探しコメディ映画」

【映画】私がクマにキレた理由のネタバなしのレビュー、批評、評価

大学を卒業したアニーは、エリートになるために大手金融会社の面接を受ける。面接官に「アニー・ブラドックとはどういう人間か?」と聞かれて答えられず、落ちてしまう。将来について悩むアニー。そんな時、公園で一人の子どもを助けたことがきっかけで、その子の母からナニー(乳母、ベビーシッターのようなもの)を依頼される。マンハッタンのセレブな家に住み込みで働けることに期待感を覚え、ナニーとして働くことになるが……。

スカーレット・ヨハンソンの魅力にあふれた映画だ。
コメディエンヌとしてここまで才能があるとは思っていなかったので、彼女のファンであればより楽しめる。もちろん彼女を知らなくても問題はない。
スカーレット・ヨハンソンといったらロスト・イン・トランスレーションやプレステージ、ゴーストワールドといったオシャレでセンスの良い映画に多く出ている印象が強い。
(ロスト・イン・トランスレーション:CM撮影のため日本にやってきたハリウッド俳優ボブと、夫の仕事のために同じく日本にやってきたシャーロットが交流する話)
(プレステージ:過去の因縁によって競い合う2人のマジシャンの話)
(ゴーストワールド:田舎町で、高校を卒業してからも何の目的も持てないイーニドとレベッカを描く)

今作は、わがままな子供に振り回されるそんな彼女が新鮮で面白い。彼女の持つ華やかなイメージを上手く利用した戦略的演出だろう。
こんな映画あったのか、と思わずうなってしまった。

特に序盤のコメディシーンは、その後の展開に期待を抱かせてくれる。
ナニーとなった初日、グレイヤーを迎えに保育園に行くが、出てきた彼はアニーの言うことを何でも拒む。
やっとのことでマンションまで連れて帰れたのだが、暴れる彼はエレベーターの前で彼女のズボンを脱がす。彼女はパンツ丸出しで彼を追いかけ回すのだ。しかも可愛らしいピンクなのが滑稽で笑える。私たち男は大満足である。

更にナニーを依頼してくれたミセスXは出会った頃は優しく、性格のいいマダムに見えたのも束の間、実際に業務に入るとハードな規則を提示してくる。
この映画のルールブックということになるのだが、こんな感じだ。
①グレイヤーとその友達、及びナニーは主寝室に入ってはいけない
②グレイヤーに昼寝をさせたらダメ。夜眠れなくなるから
③壁紙を変えたばかりだからグレイヤーに触らせない
④稽古が休みのとき、以下の場所を見学させること。メトロポリタン美術館、モーガン図書館、フランス料理協会、ニューヨーク証券取引所
⑤病原菌が多いから地下鉄に乗らない
⑥大通りを渡るとき、グレイヤーをベビーカーに固定
⑦グレイヤーに有機大豆食を食べさせること
⑧グレイヤーと一緒に週三はフランスの勉強すること

なかなか面倒臭そうな内容である。
こんなに厳しい規則で縛ったら子供に反抗心が芽生えるのは至極当然だ。
つまり、わがままなのはグレイヤーだけでないということ。観客はアニーはもちろん、グレイヤーにも感情移入していく。
その一方で、グレイヤーにもっとアニーをむちゃくちゃにして困らせて欲しいといったイジワルな願望も芽生える。人間とは矛盾した生き物だ。

「真の幸せ」の追及もテーマの一つだ。
金持ちであるミセスXらは、何もかもを手に入れているのに夫婦仲は最悪。
妻は子育てをアニーにまかせっきりで買い物ばかり。仕事や浮気に夢中な夫も子育てに関心は強くない。
二人が顔を合わせたらケンカばかりだ。

そんな冷え切った夫婦を目の当たりにし、ニューヨーク暮らしに憧れを持っていた平凡な田舎の家庭に育ったアニーは違和感を覚えるのだ。「本当の幸せとは何なのか」と。

本作で気になったのは、わがままな子供グレイヤーとアニーの距離が縮まるのがあまりにも早いという点。
恐らく制作陣はテーマについて早く追及したかったのだろう。
だが、もっとアニーとグレイヤーのコミカルなやり取りを見たかった。私は決してパンツが見たいだけじゃない。
二人が反発し合う描写が思ったより少なかったせいか、後半でアニーがある主張をするシーンは説得力がそこまで感じられない。

更に序盤に提示されたルールも、それほど効果的に使えていないのが残念。
特に②のグレイヤーに昼寝させたらダメ、辺りは日頃グレイヤー振り回した反撃に使えるので面白くなりそうだが。

あなたはこの映画に関心が湧いただろうか。
スカーレット・ヨハンソンは実生活でもイタズラ好きでユーモアあふれる人柄なようなので、もっと多くのコメディ映画に出演してもらいたいところ。

私がクマにキレた理由の作品情報

■監督:シャリ・スプリンガー・バーマン&ロバート・プルチーニ
■出演者:スカーレット・ヨハンソン ローラ・リニー ポール・ジアマッティ
■Wikipedia:私がクマにキレた理由
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):34%
AUDIENCE SCORE(観客):51%

私がクマにキレた理由を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・見放題)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年7月現在

私がクマにキレた理由と関連性の高いおすすめ映画

私がクマにキレた理由の裏ジャンルである【人生の節目】に分類される映画。

『何者』★★★★☆4
劇団で脚本を書いた経験があり、人を分析するのが得意な拓人。人たらしで元バンドマンの光太郎。拓人が片想いをしている瑞月。意識高い系でありながら結果の出ない理香。就活は決められたルールに乗るだけ、と揶揄しながらも焦る孝良。彼ら学生5人は同じアパートに住んでいることが分かり、理香の部屋を「就活対策本部」として定期的に集まり、チームを組んで就活に挑むことに。

個人の戦いでありながら、チームを組んだときに生まれる「ナニカ」を描いている。もともと原作小説を読んでいて相当面白かったのだが、映画もかなり再現性が高くて楽めた。
評価ががっつり分かれている作品でもある。恐らくダメだった人は、個人競技でありながら、チームを組んで戦った経験がない人じゃないだろうか。
私は就活ではないが、そのようしな経験はあったので楽しめたし、非常に多くのキャラに共感できる最高の映画だった。

U-NEXT:○(有料)
Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(見放題)
ビデオパス:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:○(見放題)
※2019年7月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。