映画の海

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⑩スーパーヒーロー

映画『スキャナーズ』ネタバレなしの感想。超能力による人体爆破演出の祖となる古典的カルト

投稿日:7月 19, 2019 更新日:

■評価:★★★☆☆3.5

「陰湿な世界観が好きな人向けのSFホラー映画」

【映画】スキャナーズのネタバレなしのレビュー、批評、評価

ホームレスのベイルは、ショッピングモールのフードコートにあった客の食べ残しを食べていた。それを見た婦人客が心の声でバカにするが、ベイルにはその声が聞こえており、その女性を睨みつける。みるみるうちに彼女に苦しみ出し、倒れる。ベイルはその場から離れると、麻酔銃を持った男たちに撃たれて捕えられてしまう。目を覚ますと、そこは警備保障会社コンセック社が設立した超能力者(スキャナー)の研究所だった。研究者のルース博士に、ベイル自身がスキャナーであることを伝えられる。さらにスキャナー達を裏で集め、世界征服を企てている強力な力を持つスキャナー・レボックの始末を依頼される。

いかにも熱狂的なフォロワーを産みそうなジメジメした世界観。
私自身、かなり好みだった。思わずデヴィッド・クローネンバーグ監督の過去作を深掘りしたくなる個性的な作風が良い。
全編を通して空は曇っており、陰湿な雰囲気が漂っている。記事をアップする今日が公開日である「天気の子」の能力で晴れにしてあげたいところ。

物語は、ホームレスの男がどこにでもあるようなモールの飲食街で、超能力を使うところから始まる。
超自然が出てくる映画は序盤でソレを見せ、客に違和感なく世界観を刷りこんでいく必要がある。
今作は誰もが利用したことのあるかつ、リラックスできるモールの飲食街で超能力を繰り出しており、自然でありながら対比の効いた演出で好感が持てる。

「クロニクル」という2012年に公開された映画では、フェイクドキュメンタリー形式で超能力を使う高校生を描いており、臨場感のある素晴らしい映像が楽しめる。当時は超能力をドキュメンタリックに描く演出は斬新で、あなたがもしスキャナーズにハマったのなら観てもらいたい良作だ。いわば超能力ものの後継作品。
スキャナーズは超能力を持ったことで世界制服を目論む男を退治する勧善懲悪のエンタメ映画に対し、思春期の葛藤を超能力を用いて描いているのがクロニクルだ。

話を戻すが、おどろおどろしいBGMやSEも雰囲気作りに貢献している。低予算で特殊メイクも安っぽくはあるんだが、退廃的な世界観を構築しているようにも見えて、マイナスに感じることはない。
それと、説明が少ないのも映画的で良い。

中盤以降、テンポの遅さが目立つのは難点。
古典作品なのでしかたないのだが、特に目を見張るような展開もなく、眠気に襲われる。
最近のテレビやYOUTUBEなどのカット割りの激しい映像はテンポが良いので、これらに慣れている現代人にとっては少し退屈に感じてしまう。

終盤に差し掛かるあたりで未来への壮大な危機を予感させるような、文字通り斜め上の展開を見せる。
その後、明かされるベイル及びスキャナー誕生の秘密。
終わり方もユニークで、この監督は本当に普通というものが好きじゃないんだろうなと思わさせられる。

キャラクターについても言及したい。
物語というものはキャラクターの変化を描くものだ。
変化といっても様々で、精神的成長や人との距離などが挙げられる。後者は恋愛映画やバディ物がそれに当たる。出会った当初に仲が悪いのは変化を描くためである。
この映画では、能力を変化させる点が見所の一つとなっている。

このように主人公ベイルの変化を描いてはいるのだが、彼のキャラクターに魅力はない。
彼には取ってつけたような動機しか存在せず、宿敵レボックの始末も依頼されて仕方なくやっているようなもの。(超能力を使うと頭が痛くなるから、その薬をもらうため)
超能力を持った人間のリアクションの差異を描いている映画とも言えるのだが、いかんせんベイルの内面に関わる描写が少なく感情移入はできない。ここは不満点の1つである。

余談だが、デヴィッド・クローネンバーグは人体の変容をテーマにすることが多いとのこと。
ある映像を見ることで現実が変容して見えてくるようになる『ヴィデオドローム』、『ザ・フライ』ではハエと融合し、徐々にハエに浸食されていく人間を描く。
彼はなぜこのようなテーマに拘るようになったのか調べてみたが、答えは得られなかった。特に理由はなく、シンプルに面白いと思っているからのようにも思える。クリエイターとして想像力の凝らしがいがあるのだろう。
『ザ・フライ』は関心が強いのでいずれ観てレビュー記事を挙げたいところ。

スキャナーズの楽しむポイントは、この湿度の高いクセのある世界観だ。あと超能力といった設定。
もし序盤で空気が合わないと感じたのであれば、その先は無理して観ても楽しめない可能性がある。かなり人を選ぶ内容だ。
というかデヴィッド・クローネンバーグ監督は変な映画ばかり撮っているみたいなので、彼の作品群が肌に合うかどうかはスキャナーズを観れば判断できるだろう。

他に特記すべきは超能力による人体爆破。
人の記憶に残るインパクトのある演出で、様々な媒体で観られる人体爆破の祖となっている。

ジャケット画像のインパクトも良い。
正直、このシーンはジャケットほどのインパクトはないのだが、やはり第一印象で人の目を惹くっていうのは大事だ。

あなたはこの映画、関心がわいただろうか。
カルト映画と呼ばれるようなものが好きなら間違いなくハマるだろう。暗いトーンの映画ではあるが、こういう雰囲気にもたまには浸りたくなるもの。
直後にTHE パリピ映画「ヘアスプレー」を見たのだが、超絶怒涛の明るさで体が戸惑っていた。しばらく観ていたら思わず歌って踊りだしてしまい隣人からクレームが来た。(ウソ)

スキャナーズの作品情報

■監督:デヴィッド・クローネンバーグ
■出演者:スティーヴン・ラック ジェニファー・オニール マイケル・アイアンサイド
■Wikipedia:スキャナーズ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):78%
AUDIENCE SCORE(観客):64%

スキャナーズを見れる配信サイト

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※2019年7月現在

スキャナーズと関連性の高いおすすめ映画

スキャナーズの裏ジャンルである【スーパーヒーロー】に分類される映画。

『ダークナイト』★★★★☆4
マスクを被った集団がゴッサムシティ銀行を襲うが、彼らは裏切り合うことに。生き残った男・ジョーカーは銀行に預けられていたマフィアの金を奪って逃走する。一方でブルース・ウェインことバットマンは地方検事のハービー・デント、ゴッサム市警のジム・ゴードンとともに、犯罪組織を壊滅するために活動を行っていた。ブルースはハービーこそが真のヒーローだと考えており、バットマンの引退を考えていた。

ダークナイトといったら、悪役・ジョーカーの魅力に尽きる。
いかにしてバットマンの行動を制限するかを考え、狡猾に立ち回る破滅的なキャラクターだ。
ルックスも言動も何もかもが突き抜けた魅力を持っており、アクション映画において、悪役がいかに重要であるかを思い知らされる偉大なる一本。

U-NEXT:○(有料)
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※2019年7月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。