映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

ドキュメンタリー

映画『ぼくと魔法の言葉たち』ネタバレなしの感想。自閉症を利用して、ディズニー賛美したいだけにしか見えない

投稿日:7月 22, 2019 更新日:

■評価:★☆☆☆☆1

「ディズニーアニメの凄さを知りたい人向けのドキュメンタリー」

【映画】ぼくと魔法の言葉たちのネタバレなしのレビュー、批評、評価

2歳の時、急に言葉を発さなくなった少年・オーウェンは医師から自閉症と診断される。そんな彼はディズニーを通じ、少しずつ言葉を取り戻す。彼は成長して学生生活を終え、独り暮らしをすることとなる。そんな青年となったオーウェンを追ったドキュメンタリー。

2016年アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート作品。
私はよく耳にする「自閉症」という病気を知りたいがためにこの映画を観たのだが、間違いだった。
この映画は自閉症を知るには適していない。あくまで「ディズニーアニメ映画の凄さ」を知りたい人に向けた映画だ。

オーウェンはディズニーがきっかけで声を取り戻す。だが自閉症が治ったわけではないため、生活にはいろいろと支障があることに変わりはない。この映画は、彼が言葉を失ったときや日々の生活の苦悩などを両親や兄がインタビューを通して明かしながら、今現在のオーウェンにも密着し、彼の日常を追いかける構成となっている。

そもそもこの映画、何も起こらなさすぎじゃないか?
両親や兄のインタビューは興味深いのだが、現状のオーウェンは現状はかなり幸せそう。そんな彼の生活が淡々と映される。
確かにちょっと発声がおかしかったり、言葉が遅かったりする症状はあるのだが、健常者とそこまで大きな相違があるように見えない。
サポート体制もばっちりといった感じで、多くの人が彼を助けている。

そんな彼が一人暮らしをするという挑戦こそ、この映画の肝となる。だが、後半三十分くらいでようやく一人暮らしを始める。遅すぎるだろう。いくらドキュメンタリーとは言え、何も起こらない以上は観ているこちらとしては退屈だ。

そもそもこの映画を観たところで自閉症がどんな病気なのか、良く分からない。
もっと日常生活の中で、この障害を患ったことによる健常者との違いを見せて欲しかった。
例えば学校や買い物での様子など、何でもいい。

彼に対して好意的な人ではなく、彼と接した普通の人のリアクションももっとたくさん見せて欲しい。
あまりに彼は周りに恵まれすぎている。彼自身から苦労というものが全くもって伝わってこない。

極めつけは、あの一人暮らしの家である。広すぎて笑える。どれだけ恵まれてるんだって観客は思うだろう。
この様子だと、ちょっと生まれた環境に恵まれていない健常者の方が苦労してる。

自閉症を描くのなら、もっといろんな自閉症を持つ人にもインタビューしたり、その人自身の苦悩を描くべきだ。
その中の一例として、オーウェンはこう言った形で良くなりました、といった見せ方をしたら観客は納得できる。

もはやこの映画、自閉症を利用してディズニーの凄さを伝えているだけだ。
オーウェンよりもっとひどい境遇の自閉症疾患者はいるし、そういう人の痛みを生々しく見せて欲しかった。ただまあ、あくまで「自閉症の人がディズニーアニメに救われた」がコンセプトの映画だから、こういった願望は不毛でしかないだろう。というかこのコンセプト自体クソだな。ある意味胸糞だ。

ラスト20分でようやく彼に困難が起きる。ディズニーアニメ好きというフリが効いていて、彼にとって最大のピンチだ。でもラスト20分は遅すぎる。開始20分でこのシーンを見せてほしかった。

正直、監督は作家としてこの映画を作れて満足したのだろうか?
ちょっとこの映画を観ていて気持ち悪いと思ってしまった。

しかしディズニーアニメはもっとたくさん見たくはなった。
作品や、アニメ・ディズニーを愛するアニメーターは悪ではないので。

ぼくと魔法の言葉たちの作品情報

■監督:ロジャー・ロス・ウィリアムズ
■出演者:オーウェン・サスカインド ロン・サスカインド コーネリア・サスカインド
■Wikipedia:ぼくと魔法の言葉たち(英語。翻訳して見てね)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):93%
AUDIENCE SCORE(観客):81%

ぼくと魔法の言葉たちを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・見放題)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年7月現在

ぼくと魔法の言葉たちと関連性の高いおすすめ映画

ぼくと魔法の言葉たちと同じ、ドキュメンタリー映画のおすすめ。

『FAKE』★★★★☆4
聴覚障害をもちながら『交響曲第1番《HIROSHIMA》』などを作曲し、現代のベートーヴェンとも称された音楽家の佐村河内守。ある日、彼は週刊文春に掲載された記事により「本当は作曲してない」「本当は耳が聴こえる」などといったゴーストライター問題を告発される。 佐村河内守の代わりに作曲したと名乗り出た新垣隆は一躍時の人となり、佐村河内守はマスコミから糾弾され、表舞台から姿を消す。そんな彼に密着したドキュメンタリー。

やはり報道というのは、平等に報じるべきだなあと思った一作。
当時、世間は新垣さん側の主張しか耳にしていなかったはず。
今作では、佐村河内守側の主張を映している。非常に興味深かった内容だし、ラストに向けてなかなか面白い展開となっている。

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:○(見放題)
※2019年7月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。