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約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑧バカの勝利

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』ネタバレなしの感想。キチガイのごとく、ナプキン作りに執着するインド人男性を描く

投稿日:8月 9, 2019 更新日:

■評価:★★★★☆4

「ゲイっぽいオッサンの孤軍奮闘劇」

【映画】パッドマン 5億人の女性を救った男のネタバレなしのレビュー、批評、評価

インドに行くと人生観が変わる、なんて話を良く耳にする。
日本にない文化があまりに多すぎるからだ。
街中を牛を始めとするさまざまな動物が行き交っていたり、トイレットペーパーの代わりに左手で便を拭ったり。(トイレットペーパーがない所も多い)
スピリチュアルな歴史も深く、本作もヒンドゥー教に基づいた儀式がいくつか見られる。
インドに長く滞在すればするほど、たいがいの価値観を受け入れられる寛容な人間になれるだろう。

今作は、そんなインドの奇異な文化に端を発している。
「生理=ケガレ」といった認識に直面した男の史実の物語だ。

舞台は2001年の田舎の村。発明好きのラクシュミは、妻ガヤトリが生理処理の際、汚れた布を使っていることを知る。彼女の体を心配して薬局で生理用ナプキンを購入するも、高額だったため、彼女に返品するように言われる。村の医師に相談し、「不衛生な布を使用するせいで不妊や死に至ることもある」と聞いたラクシュミは、彼女を守るため、ナプキンを自作するようになる。しかしインドでは生理=ケガレといった認識があり、「これ以上自分の生理には関わらないでほしい」とガヤトリに警告される。それでもラクシュミは開発を強行するのだが……。

結論から言うと、めちゃくちゃ面白い。
140分と超尺だが、(インド映画では短編)
ストーリーはシンプルで、笑えるシーンも多いので、あっという間にエンディングを迎えていた。
開始10分弱で本題の月経について触れてくれているのもありがたい。

序盤、薬局で買ったナプキンが55ルピーという金額で、妻ガヤトリに高すぎると言われて使用してもらえないシーンがある。
2001年当時のインドでは、ソフトドリンクやコーヒーが1杯5ルピーとなっている。
1杯100円換算で考えると55ルピー=1100円ということになる。

私がこの映画で印象的に思ったのが、パッケージに映った主人公・ラクシュミの見た目だ。
やけに屈強だが、笑顔は爽やか。一度見たら記憶にこびりついて離れないような強烈な存在感を放っている。
実際に映画を観ていると、確かにこの男、見た目からとてつもない精神力を感じさせる。石を投げても笑顔で立ち向かってきそう。ある意味狂人だ。敵に回したくないタイプである。

そろそろ真面目に感想を書いていきたいのだが、この映画を観ての第一印象はインドの保守性だ。
以前Netflixでの「クリスチャン・アマンプール:世界の恋愛&セックス」というドキュメンタリーを見たのだが、インドは性にひどく神経質で、婚前交渉をNGとしている女性も未だに多いらしい。
そういった国民性が映画から伝わってくる。
生理=ケガレといった理解しがたい文化も納得できてしまう。

しかし、そんな文化を破壊する勢いで、ラクシュミはキチガイのごとく、ナプキン作りに執着する。仕事にも行かない。借金もする。
すべては妻のために。その先にいるすべての女性を守るため。

ラクシュミは試作品を作るのだが、なかなか妻は使ってくれない。
そこで彼は、大量のナプキンを持ってある場所に突撃して配りまくるのだが、傍から見たらただの変態である。
日本ですらやばい奴認定され、通報案件だろう。
あまりに彼の善行が報われないので、かわいそうを越えて笑えてくる。(ごめんネ)

でもやっぱり、妻にまで理解してもらえないのは辛い。
いくら文化とはいえ、ラクシュミの行動は本質的には女性の体を守るためである。
それなのに、妻ガヤトリにも見放されてしまうのは見ていて辛い。

とはいえ、アイヒマン実験等の心理実験で、人間は一定の条件下では残虐な行動を取ってしまうことは証明されている。
ガヤトリが悪いとは一概には言えない根深さが背景にあるのだ。
もちろんラクシュミは彼女が理解を示してくれないのは、彼女の悪意に基づいているものではないと理解しているのだ。
だからこそ彼は最後にある選択をする。
本当によく出来た男だ。

あなたはこの映画、観たことあるだろうか?
日本語吹き替えも存在しないマイナーな作品だが、こんなに観て良かったと思える映画も珍しい。
ナプキンという題材を扱っているが、男がみるべき傑作だ。

私は男だが、彼の献身性には心を掴まれるものがあった。
かつての恋人に対して、ここまで考えられたことができたであろうか。答えは否だ。
私もラクシュミを見習って生理用品を作って街中で配ろうと思う。

パッドマン 5億人の女性を救った男の作品情報

■監督:R・バールキ
■出演者:アクシャイ・クマール ソーナム・カプール ラーディカー・アープテー
■Wikipedia:パッドマン 5億人の女性を救った男
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):76%
AUDIENCE SCORE(観客):90%

パッドマン 5億人の女性を救った男を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(DVD)
TSUTAYA TV:-
Netflix:○(見放題)
※2019年10月現在

パッドマン 5億人の女性を救った男と関連性の高いおすすめ映画

パッドマン 5億人の女性の裏ジャンルである【バカの勝利】に分類される映画。

『フォレスト・ガンプ 一期一会』★★★☆☆3.5
普通の子供よりも知能指数の低い少年・フォレスト・ガンプ。背骨が歪んでいるため脚装具をつけないとまともに歩くこともできない。そんな彼の人生を描く。

この映画のユニークなところは、本物の重大な事件や著名人にフォレストも関わっている演出。
彼のような人間がさらっと関わってしまうギャップが笑えるし、純粋無垢な人間性も伝わってくる。
起伏の激しい物語ではないが、定期的に彼には触れたくなってしまう。動物に癒しを求めるのと似たような感覚だ。

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・見放題○(字幕・有料)
ビデオパス:○(見放題)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:○(見放題)
※2019年8月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。