映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

①家のなかのモンスター

映画『フライトナイト(1985)』ネタバレなしの感想。ヴァンパイアホラーの古典的カルト作

投稿日:

■評価:★★☆☆☆2.5

「ポンコツによるグダグダ退治劇が楽しめる人向け」

【映画】フライトナイト(1985)のネタバレなしのレビュー、批評、評価

隣人にやばいやつが住んでいる、といった設定のホラー・スリラーは古典的な手法で、私が鑑賞したことのある最も古い作品は1954年にヒッチ・コックが監督した『裏窓』だ。
(裏窓:事故で足を骨折した男が自宅療養中、暇になって望遠レンズで向かいのアパートを覗き見することに。いつも口げんかをしていた中年夫婦の妻が突如姿を消してしまい、恋人に自分の代わりに捜査してもらう)
私がよくこのブログで言及している「ディスタービア」もそうだし、先日レビューをアップした「サマー・オブ・84」もまさにこの設定をリバイバルしている。

特に田舎であれば隣人との接点がありながらもパーソナルな部分は不明瞭……といった日常を上手く恐怖に転換させたすぐれた設定だ。私も田舎育ちのイモボーイなので、この手の設定はハーゲンダッツ(バニラ味)よりも大好物である。
今作はそんな設定を用いた古典的ホラーだ。

平凡な17歳の男子高生・チャーリーはガールフレンドのエイミーといちゃいちゃする夜を楽しんでいた。ふと窓の外に目をやると、隣の家に2人の男が棺桶のようなものを運んでいる姿を目撃する。その日以降、近所で殺人事件が発生するようになり……。

この映画で好感が持てたのは音で脅かさないところだ。
町では連続殺人事件のニュースがにぎわしている中、チャーリーは例の棺桶を運んでいた隣家で、男がブロンド娘に鋭利な牙をむいている姿を目撃してしまう。
その男をヴァンパイアだと思い、警察に通報するが信じてもらえない。
そんなチャーリーにヴァンパイアの魔の手が徐々に迫ってきており……。
このようにジワジワと迫るようなストーリーと演出で怖がらせてくれるのは嬉しい。エモーションをかき立てられると映画にのめり込んでしまうのだ。

ただ、今作は個人的にはあまりハマれなかった。
その一番の理由が、ヴァンパイア退治に当たる二人があまりにポンコツすぎるからだ。

自分では力不足だと感じたチャーリーは、とある男の協力を仰ぐ。
しかしこの男もチャーリーの無能さに毛が生えた程度の能力しかなく、二人とヴァンパイアとの戦いのシーンは目もあてられないほどにグダグダ。
ヴァンパイアには明確な弱点がある。
太陽光・十字架などに弱いといったものだが、もっとこれらの設定を効果的に用いて、戦略的な戦いを展開させてほしかった。

そして、退治する展開のシナリオであれば、強いキャラクターを配置してもらいたい。
もちろんすぐに退治してしまったら映画はすぐに終わってしまうので、現場にかけつけるのに時間がかかったり、あるいはワケあって能力が発揮できないといった制約をかける。
後に訪れる、力が発揮できる条件がそろったときのカタルシスはたまらない。

あるいはチャーリーは実はめちゃくちゃ数学や科学が得意で、ヴァンパイアと対峙している最中に弱点を見つけて、上手くワナを仕掛ける、といったホームアローン的な展開でもいい。

しかし、この映画を観てると霊幻道士を思い出す。
死者が蘇り、人間を襲うキョンシーというバケモノが出てくる映画だが、ヴァンパイアから着想を得て作られており、『夜しか活動できない』『噛まれたらキョンシーになる』といった踏襲されている特徴も多い。

霊幻道士はアクションやコメディ演出など、見所が多く、何よりキョンシー退治に当たるキャラクターがべらぼうに強いのだ。
あのブルース・リーの右腕として映画の武術指導などを行っていたラム・チェンイン主演であり、突出したカンフーの技術を持っていて、キョンシーなんて目じゃない。
しかし、ポンコツの弟子に振り回されたり、お化けに恋しちゃった弟子の対処に追われたりして忙しく、なかなかキョンシー退治に駆り出せないのだ。さながら孫悟空である。
フライトナイトと比べると見所が圧倒的に多い。

話を戻すが、彼女の危機を描くシーンも説得力がない。
彼女はなんとヴァンパイアに惹かれてしまうのだ。
確かにヴァンパイアはチャーリーと比べると、大人の男性で魅力かもしれないし、(前フリもある)
彼はヴァンパイアのことで頭がいっぱい、自分の相手をしてくれない。
だからといって、彼女はすでにその男がヴァンパイアだってわかってるし、やはり貞操観念の高い生娘である以上、ちょっと無理がある。(序盤で生娘のためチャーリーのモーションを拒絶するシーンがある)
ホラーコメディなので、細かいところにけち付けるのは野暮かもしれないが、気なってしまったところ。

あくまで、古典的カルト作といったところで、今初めて見たところで新鮮さもない。
ただ、CGを使っていないだけあって、ヴァンパイアの特殊メイクはB級感はあるが生々しい。
CGには出せない確かにそこにある質感は良い。
ある意味こういった古典作品を観ると、CGの臨界点が浮き彫りとなる。

個人的にCGは、実写の隙間を縫うようにさりげなく使うやり方が最も効果的だと思ってる。
要は実写のように見せかける使い方だ。
リメイク版ライオン・キングのようなCGを用いた実写と名乗る映画があってもいいし、私も観に行く予定だが、ニセモノである事実は覆せない。

フライトナイト(1985)の作品情報

■監督:トム・ホランド
■出演者:ウィリアム・ラグズデール アマンダ・ビアース ロディ・マクドウォール クリス・サランドン
■Wikipedia:フライトナイト(1985)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):91%
AUDIENCE SCORE(観客):76%

フライトナイト(1985)を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:○(見放題)
※2019年8月現在

フライトナイト(1985)と関連性の高いおすすめ映画

フライトナイト(1985)の裏ジャンルである【家のなかのモンスター】に分類される映画。

『ホステル』★★★★☆4
アメリカ人大学生のパクストンとジョシュはバックパッカーをしながらヨーロッパ各地を旅行していた。道中で知り合ったアイスランド人のオリーも加わり、3人は毎晩夜遊びにふけっていた。ある日、スロバキアの首都ブラチスラヴァの近郊の田舎町で、いい女とやりまくれるホステルがあるという情報を聞きつけ、3人は意気揚々と足を運ぶ。

R18指定の残虐描写は類を観ないほどに痛々しいので、閲覧注意。
というか、こんな映画観ずに人生を過ごせるならそれに越したことはない。
後半のカタルシスは格別だが。

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※2019年8月現在

-①家のなかのモンスター

執筆者:

名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。