映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『世界にひとつのプレイブック』ネタバレなしの感想。離婚で躁うつ病となった男の奇行が観るにたえられない

投稿日:

■評価:★★★☆☆3

「離婚したのにも関わらず、本気でヨリを戻せると勘違している男の物語」

【映画】世界にひとつのプレイブックのネタバレなしのレビュー、批評、評価

人生の節目に訪れる危機は誰もが逆らえない。
入学、卒業、新社会人、家族・恋人との別離、結婚、出産、引っ越し、これらに基づいた薬物やアルコール依存もその範疇に含まれる。
私も20代前半までは重度のコミュ障だったので、それを克服するのは苦労したものだ。不眠症の日々は続いたし、思い通りにいかずに自分を恨んだ。嫉妬心も強く、あまりのストレスで今では頭がツルツルだ。(ウソ)

誰にも人生のターニングポイントというものが訪れ、苦労し、乗り越えて人間的な成長を遂げる。
本作では、最愛の者を失った男女を描いた人生の節目映画だ。

高校の歴史教師だったパットは、精神病院を退院する。彼は自宅で妻ニッキーと同僚教師の浮気現場を目撃してしまい、浮気相手に暴行を加えたことから入院を命じられていたのだ。さらに裁判所からは妻ニッキーへの接近禁止を言い渡されていた。今では実家で両親と療養する日々を過ごしていたが、毎日のように感情的になって騒ぐ自分を正常だと信じ、妻はまだ自分を愛していると信じて、連絡を取ろうと試みていた。ある日、友人ロニー夫妻の食事会で、彼の妻の妹ティファニーと出会う。彼女もまた事故で夫を亡くし、性依存症に苦しんでいた。

結論から言うとこの映画にはそこまでハマれなかった。
それでも興味深いところは結構多い。

妻と離婚し、それでも妻との再婚を願うパットの奇行描写はかなり秀逸だった。
劇中でやたらと、妻の名前を口にするのだ。
誰と話すにしても、妻の名前が異様な数出てくる。三分に一度は妻の名前を口にしていただろう。もっと言ってたかもしれない。

そもそも別れたのに、本気で自分を愛してると信じている辺りも痛々しい。
他にも、ゴミ袋を着ながらランニングしたりと、彼の行動は常人とはどこかズレている。
それが両親や警官、近隣住民などでリアクションで丁寧に描かれる。
彼が真剣に行っている行動を目の当たりにした人間は、怯えたり、一歩引いたり、注意したりするのだ。

そんなパットが出会うのは、ティファニーという女性だ。
彼女もまた、元夫を事故で亡くしてしまっている。
彼女の場合、精神の喪失感と折り合いをつける手段は性だ。
性依存症となってしまった彼女は、職場の同僚全員(女性含む)と肉体関係を持ったことで仕事をクビになってしまう。
ようは精神疾患者同士の恋愛物語である。

ここでポイントなのが、ティファニーは当然、パットと出会ったときに彼を誘う。肉体関係を結んで自身の寂しさを拭うために。
しかし、彼は拒否する。
彼にとって妻が一番で、妻とやり直すことしか考えていないからだ。

劇中では描かれていないのだが、恐らくティファニーは誘った男とは全員寝ていたのだろう。
誰もティファニーの誘いに拒まず、喜んで彼女を抱いた。
しかし彼は拒んだため、彼を特別視するようになったと思われる。
このようにして二人の交流が始まる。

この二人の設定はかなり魅力的だ。
本作は脚本を20回以上描き直されており、主に二人のキャラ性を練ったのだろう。
お互いの持つ穴をお互いが補うような構図となっている。

褒めまくってはいるのだが、受け入れがたい箇所も多い。
そもそもパットは明らかに30代後半。
そんな年なのに、妻の浮気一つでこうもトチ狂ってしまうのはリアリティに欠ける。

さらに、フラれたにも関わらず、未練たらたらで未だに自分に好意を持っていると勘違いしている辺りは「童貞かよ」とつっこみたくなる。
せめて20代前半くらいまでだろう。
30代後半でこの痛々しい行動は、どう考えてもマイノリティだ。

そんな二人がディナーに行くのだが、ひたすらパットは自分の話をする。
空気を読めてないし、女からしたら「つまんねー男」認定されるのが普通だ。
この辺りも童貞臭がぷんぷんする。
こんな男に好意を持つ女性がいるとも思えないし、もう少しパットにはポジティブな側面を与えた方がいい。ようはティファニーが惹きつけられる要因になる側面だ。

後半の展開もまったく乗れなかった。
それは父の職業に関わる。
父はノミ屋をやっており、それが終盤に向けてのエピソードに絡んでくるのだが、噛み合わせが悪くて二人の恋愛物語の邪魔にしか感じない。
劇中では何だか盛り上がったりしていたが、冷ややかな目を向けるしかできなかった。

ストーリー自体は既視感がかなり強く、オープニングを観ただけで結末が想像できる。
だからこそ、キャラクターやエピソードの魅力を期待する。
キャラ造形は面白いにしても、そんなに心躍るような展開やエピソードもなく、物足りない結果となった。

世界にひとつのプレイブックの作品情報

■監督:デヴィッド・O・ラッセル
■出演者:ブラッドリー・クーパー ジェニファー・ローレンス ロバート・デ・ニーロ
■Wikipedia:世界にひとつのプレイブック
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):92%
AUDIENCE SCORE(観客):86%

世界にひとつのプレイブックを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(吹替・見放題)○(字幕・見放題)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix: ○(見放題)
※2019年8月現在

世界にひとつのプレイブックと関連性の高いおすすめ映画

世界にひとつのプレイブックの裏ジャンルである【人生の節目】に分類される映画。

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』★★★★☆4
アメリカの田舎町。チェコからの移民のセルマは息子ジーンと2人で幸せに暮らしていた。だが、セルマは先天性の病気で徐々に視力が弱まっていた。遺伝でジーンもその病を患っており、13歳で手術をしなければいずれ失明してしまうため、彼女は必死で手術費用を貯めていた。ある日、セルマは視力の悪化が原因で仕事でミスをしてしまい、働いていた工場をクビになってしまう。

本作は人生の節目映画ではあるんだが、かなり変則的な作り。
観れば分かる。最後は衝撃でしかない。
私は二十年以上前に一度観ただけだが、未だに脳裏にこびりつラストだ。

本来であれば、このような脚本は企画すら通らない内容だろう。
ラース・フォン・トリアー監督の目的は観客を不快にさせることを目的として映画製作を行っている。不快感を助長させるための演出が随所に施されている。それこそが彼にとってのエンターテイメントなのだ。
故に彼は散発的なうつ病に悩まされている。自業自得である。

ただ彼の場合、両親からは不思議な教育をされたみたいで、それがアクの強い映画群を生み出すきっかけになっていると思われる。

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
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Netflix: ○(見放題)
※2019年8月現在

-⑤人生の節目

執筆者:

名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。