映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑩スーパーヒーロー

映画『バンビ』ネタバレなしの感想。子供向きアニメで競争を描く意味

投稿日:

■評価:★★☆☆☆2.5

「子鹿バンビが厳しい環境を生き抜くライオン・キングの元ネタ映画」

【映画】バンビのネタバレなしのレビュー、批評、評価

「ドラえもん」「ドラゴンボール」今だに人気の衰えない国民的な漫画群を生み出した漫画家たちに影響を及ぼした男といったら手塚治虫である。
彼の代表作は「鉄腕アトム」「火の鳥」「ブラック・ジャック」他多数。
何なら今の漫画業界は手塚治虫の影響下にあるといっても過言ではない。

大の負けず嫌いだった手塚治虫の睡眠時間は1日3~4時間、NHKの取材が来たときは3日間ぶっ通しで書き続けていた。
全盛期は10を超える連載を同時に抱えていた。
先輩のみならず、すぐれた作品を描いた後輩にまで嫉妬をして敵意をむき出しにしていた。

アニメーション制作にも携わっており、日本初となる30分アニメを制作したのも手塚治虫である。
あの宮崎駿ですら、ちょっとしたアイデアが浮かんでも「手塚治虫がやっていそうだから」と却下し、彼に負けないアイディアをひねりだして作品を作っていたのも有名だ。

晩年は胃ガンに苦しんだが、それでも病院のベッドで漫画を描き続けた。
「仕事をする。仕事をさせてくれ」と最期の言葉を残してこの世を去った。

そんな多くの逸話を持つ手塚治虫が魅了され、劇場で130回以上も鑑賞した映画がある。
それが『バンビ』だ。

第二次世界大戦下の1940年代。
そんな戦乱の中で今作はディズニーによって生み出された。

ある春の朝、森の王様の子どもとして雄の子鹿バンビは生まれる。大人しいバンビは子ウサギのタンパー(とんすけ)、スカンクのフラワー、牝の子鹿ファリーンと仲良しになった。すくすくと成長していくバンビだが、森にはたびたび人間が猟銃を持って狩りをしていた。

大仰な前置きから始めたが、本作は古典作品であり、今見たところでそれほど優れた内容ではない。
ストーリーはテンポが悪く、背景はほぼ一枚絵。影も描かれていないので立体感は乏しい。

本作の優れているところはキャラクターの描画だ。
70年前に作られたとは思えないほどに滑らかで美しく、思わず触れたくなるような質感まで再現している。このクオリティは凄い。
今の時代でもこのレベルの描画は充分にラグジュアリーなレベル。さすがはディズニーである。

ストーリー展開はかなり冗長だが、序盤のバンビの成長をみんなで見守る描写はハートフルでいい。
親は子供の教育に活用できそう。
子どもに自信を付けさせるためにも、愛情をたっぷり与えてあげて育てたいものだ。

中盤に差し掛かる辺りで人間が出てくる。
この映画のメインの対立軸となるのだが、ここは違和感を覚えた。本作での一番のマイナスポイントだ。

動物が喋るバンビの世界では、すべての登場キャラクターは動物である。
こういった寓話的世界で突如としてリアルである人間が出てくるのは、さすがに噛み合わせの悪さを感じる。
制作陣も理解しているのか、人間の姿は描かれてはいない。あくまでキャラクターの会話と銃声で、人間という存在を示している。
それでも違和感はぬぐえない。

バンビはライオン・キングの元ネタということで有名だが、なぜあの映画は人間ではなく、スカーというライオンを敵に仕立てたのか、今作を観て納得できた。

中盤以降では、バンビの身体的な成長や恋を描いているのだが、何より好感を持てたのが競争を描くシーンだ。
私は競争に対応できる教育を受けてこなかった。
しかし、大人になると競争は避けられない。
私は大人になってから競争力を身につけることとなったが、言うまでもなく、子供の頃から理解させ、身につけていった方がいいに決まっている。

厳しい現実を生き抜くには競争力が必要だ。
あえて冷徹な言い方をするが、スポーツでも仕事でも、競争力の強いやつほど価値がある。
競争力がないと、簡単に駆逐され、社会の食い物にされる。

そもそも動物は競争力の強さによって序列が決まる。食物連鎖だ。
生きる力=競争力である。

親は子供の将来を考えるのであれば、競争力を身につけさせてあげなければいけない。
それをわかっている製作陣は、子供のためを思って競争まで描いたのだろう。その想いはしっかりと伝わってきた。
そう思いながら観ていたらちょっと涙ぐんでしまった。
いい映画だ。
手塚治虫がなぜ魅了されたのか良く理解できる内容である。

あとバンビがやたら♀っぽく描かれていることに違和感を覚えたんだが、恐らく当時の価値観として弱者=女性的、といった価値観に基づいての描写に思える。
今では考えられないような古典ならではのキャラ描写だ。

バンビの作品情報

■監督:デイヴィッド・ハンド
■出演者:依田有滋(林勇) 奥田英太郎(稲葉祐貴) 加藤陵子(押谷芽衣)
■Wikipedia:バンビ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):90%
AUDIENCE SCORE(観客):73%

バンビを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)
ビデオパス:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年8月現在

バンビと関連性の高いおすすめ映画

バンビの裏ジャンルである【スーパーヒーロー】に分類される映画。

『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』★★★☆☆3.5
万博『20世紀博』を訪れていた野原一家。父のひろしは子どもの頃にハマっていた戦隊もののビデオ撮影に夢中になり、母のみさえも同じく子どもの頃に夢中になっていた「魔法少女みさりん」のビデオ撮影を楽しんでいた。ある日の夜、テレビで「20世紀博からの大事なお知らせ」が放送される。「明日の朝、お迎えにあがります」という短い内容だが、それを観たひろしとみさえは様子がおかしなってしまう。

設定が秀逸すぎる。
両親がノスタルジックな世界に魅了されて誘拐されてしまうのだ。
両親は子供にとって命の要。しんちゃんたちにとっては最大の危機である。

2000年代初頭、虎の門というテレビ朝日の深夜に放送されていた生放送のバラエティ番組があった。
その番組のコーナーの一つに「パッチギ」などで知られる井筒監督が自腹で映画を観て批評するコーナーがあった。

私は初めてこのコーナーを観て映画批評という存在を知り、「映画はここまで深く観るものなのか」と衝撃を受けた。
それ以降、映画にどっぷりハマって行くことになった。

その番組で女優の美保純がレンタルビデオを借りて映画を批評するコーナーもあり、私が本作を知るきっかけとなった。
番組内での本作の紹介VTRがあまりすばらしくて、死ぬほど泣いてしまった。
たかがアニメ映画の紹介VTRなのに、何度観ても涙が尋常じゃないくらい溢れ出てきたのだ。
そんな経験は後にも先にもない。

十代の頃に観ているせいか、当時はそこまで刺さらなかったのだが、それでも楽しめた。
大人になった今見たら評価が変わるかもしれないので、いずれは再視聴したいところ。

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(見放題)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年8月現在

-⑩スーパーヒーロー

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。