映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『恋の渦』ネタバレなしの感想。面白いけど好きになれない奇妙なストーリー

投稿日:

■評価:★★★☆☆3.5

「人間の悪意に焦点をあてた青春ドラマ」

【映画】恋の渦のネタバレなしのレビュー、批評、評価

人間誰しも色んな面を持っている。
電車でおばあちゃんに席を譲る女性が、家では子供にDVしているかもしれない。
見た目のイカついヤンキーが、雨に濡れた子猫を助けているかもしれない。
髪型をビシっとオールバックに決めたエリートサラリーマンの趣味は、SMクラブでムチを打たれることかもしれない。
本作は、様々な人間の裏の顔を描いた映画だ。

冴えない友人オサムに女の子を紹介するため、同棲カップルのコウジとトモコは鍋パーティを開催する。だが、人気アイドルに似ていると紹介されたユウコのルックスに男子一同は愕然し、変な空気が漂ってしまう。そのままパーティは終わるが、その日の夜を境に、帰ったメンバーのそれぞれの部屋で、彼らの本音や下心が渦巻くこととなる。

警告というほどでもないのだが、あなたがもし人間関係にトラブルを抱えがちであれば見ないことをおすすめする。
人間嫌いに拍車がかかる人も出てくるかもしれない。
というのも、本作は人間の悪意に焦点を当てたような内容となっている。

本作は、すべて無名の俳優陣で固められている。
私は初めて知ったのだが、原作は演劇ユニット・ポツドールの演劇作品で、脚本・演出は「愛の渦」「何者」「娼年」の三浦大輔。
今回の映画化において監督したのは大根仁だ。
彼の代表作は「モテキ」「バクマン。」「SUNNY 強い気持ち・強い愛」など。
演劇の脚本といったこともあり、本作はほぼ家の中で展開される。

冴えない友人オサムに紹介するトモコの友達ユウコは元AKB48の篠田麻里子に似てるという。
今回の鍋パに参加しているタカシは「俺が狙っていいん?」と言って盛り上がったりなど、彼女のルックスへの期待を他方向から煽られる。
満を持してやってきたユウコのアクの強いルックスにドン引きし、微妙な空気が流れる。

この辺りから、伏線らしきものも随所に見られるようになる。
パーティ開始から全く話さない女や、ユウコの謎の視線など。
それらがどのように回収されていくのか、観客は先の展開を期待させられる。

この物語のメインは四時間後のお開きになってからだ。
それぞれのメンバーは家に帰って本日の鍋パを振り返るのだが、早々にとんでもない展開を見せる。

それぞれの男女がバラけることで、本音、恋心、下心が暴かれていくのだ。
確かに合コン前の会議や、合コン終わりの反省会などは、本音が飛び交う面白い場だ。三浦大輔もこの辺りから着想したのだろう。コンパやりまくったのがバレバレである。
人間は、誰と一緒にいるかで態度は変わるものだ。

少し前に「ラヂオの時間」という映画をレビューしたが、演劇でヒットしている脚本はクオリティが異常に高い。

そもそも演劇は、限られた空間を駆使して客を飽きさせないように物語を展開させる必要がある。
映画に比べて制約が厳しいので、イヤでも話のクオリティを高めなければならない。
本作は、彼らがどのような展開を迎えるのかは全く掴めないため、思わず画面にのめり込んでしまった。

特に私が好きなシーンは、あるキャラが携帯忘れて家に帰るところ。
劇場では間違いなく爆笑の渦が沸いていただろう。このシーンのためだけでも劇場で鑑賞したかった。

シナリオ自体は良く出来てるんだが、たまにキャラの行動に不自然さが観られたりする。
急にキレ出したりなど、いかにも場面展開させるためといった感じで違和感を覚えるシーンも多々あり。

あとキャラクターを誰一人好きになれないのも辛い。
行動の一部には共感出来るんだが、基本的に彼らが取る行動の多くは気持ちいいものではないので、もう一度観たいとは思えない。
やっぱり作品を好きになるかどうかは、キャラへの愛着度が大事だ。

クライマックスはびっくりするほど、盛り上がりがないのも気になる。
この手の群像劇は、最後に修羅場なり何なりの大団円が来るかと思ったのだが、そのような期待には応えてくれず、ちょっと肩透かしを食らう。

ただ、キャラ造形自体は素晴らしいし、みんなの演技も達者だ。
演じた彼ら自身がキャラクターの属性そのもののように見えてしまうくらいにリアル。

面白いけど好きになれない、という不思議な映画だ。
一度観て損はないし、新鮮味溢れる内容であることは間違いない。
こういった脚本が巧みな映画を観ると、演劇にも関心が沸いてしまう。評判のいい演劇があるなら観に行ってみたい。

恋の渦の作品情報

■監督:大根仁
■出演者:新倉健太 若井尚子 柴田千紘 後藤ユウミ 松澤匠 上田祐揮 澤村大輔 圓谷健太 國武綾
■Wikipedia:恋の渦

恋の渦を見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(見放題)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年8月現在

恋の渦と関連性の高いおすすめ映画

恋の渦の裏ジャンルである【人生の節目】に分類される映画。

『フローズン・タイム』★★★☆☆3.5
美大生のベンは初めての恋人であるスージーを振ってしまう。そのことをひどく後悔し、その日から不眠症に陥ってしまう。ベンは眠れなくなった8時間を有効に使おうと思い、スーパーマーケットの夜勤のバイトを始める。長時間勤務に憂鬱なシャロン、プライドの高い店長など個性あふれるメンバーに囲まれていた。別れて2週間経過してもベンはまだ眠れず、時間そのものを意識しなくなった。次第に時間を一時的に停止させる能力を手にするように。

精神的ダメージ=時間が止まる、という表現が面白い。
こういった新鮮味のある設定は映画好きであれば、一度は観てもらいたい。
当然、この「時間が止まる」には意味がある。ただ止まるわけではない。
非常にユニークなシナリオで、創作意欲をかき立ててくれる良質なヒューマンドラマである。

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:○(見放題)
※2019年8月現在

-⑤人生の節目

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。