映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑥バディとの友情

映画『ブラインド』ネタバレなしの感想。盲目設定を活かした演出アイディアが秀逸

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■評価:★★★★☆4

「姉弟映画」

【映画】ブラインドのネタバレなしのレビュー、批評、評価

奇抜な設定というのは、キャッチーであるがために観客の興味を引きやすいメリットがあるが、当然デメリットも存在する。
設定を上手く生かしたシナリオを作らないと、観客の満足度を得られないという点だ。

例えば「バタフライ・エフェクト」という過去にタイムスリップできる能力を得た主人公の映画がある。
自ら命を絶ってしまった幼なじみの女性を生き返らせるため、過去にタイムスリップして過去を改変するストーリーとなっている。全編に渡って能力を生かした展開がされるため、この映画は異様な高評価を獲得している。
だが、タイムスリップを利用しないで、別の女の子との恋愛に夢中になっていたとしたら。
結果は語るまでもない。「期待を裏切りやがってバカヤロー!」である。

今作では盲目の女性が轢き逃げ事件の目撃者、というかなり特殊な設定を用いた映画だ。
だが、安心してほしい。劇中ではこの設定を活かしたとんでもない演出を炸裂させている。
詳細は伏せるので、あなたの目で確かめて楽しんでもらいたい。

警察学校に通う女性・スアは、ダンスクラブに夢中になっている弟同然のトンヒョンを心配して連れ戻している途中、事故に遭ってしまう。彼は亡くなり、彼女自身は視覚障害となってしまった。ある日、スアはタクシーに乗ると、何かにぶつかったと感じる。「犬を轢いてしまった」と弁解する運転手だったが、聴覚の優れていた彼女は犬ではなく人を轢いたと確信していた。彼女はすぐに警察に通報するが、彼女が視覚障害であることを理由に疑いをもたれる。だが、彼女の証言を聞いたチョ刑事は、世間をにぎわしている女子大生失踪事件との関連性に気づき、彼女と密に接するようになる。

この映画は魅力的なところがかなり多い。
盲目設定ならではの要素の1つでもあるのだが、観客が真っ先に食いつくのが盲導犬である。

なぜこのワンワンがいいって、主人公・スアがあまりに不遇すぎるからだ。
彼女は自分が弟の命を奪ってしまったと思い、事故以降はずっと自分を責めている。
さらに、盲目であるがために、日常生活を送る中で人に迷惑をかけてしまい、文句を言われたりする。
横断歩道を上手く渡れずに車にクラクション鳴らされたりなど。
こんな不憫な彼女を観ていると、観客は一気に感情移入してしまうのだ。

だからこそ、盲導犬のワンワンが強烈なまでに癒しとなっており、彼女に感情移入している観客はワンワンを観ているだけで心が安らぐ。
彼女にとってワンワンだけが味方なのだ。

しかもこのワンワン、ただ画面に映っているだけに留まっていない。
随所にみられるワンワンの演技には注目である。
ワンワン嫌いをも取り込んでしまうくらいの愛くるしさを見せてくれている。

本作は今月20日に公開される映画、吉岡里帆主演『見えない目撃者』のリメイク元だ。
猫ブーム到来中のペット業界だが、この映画の影響でワンワンブームが来ると私は踏んでいる。
そろそろワンワンワンワンうるさいと思われる頃だろうが、それほどまでに今作ではワンワンの存在感が強いのだ。ワンワンワンワンワンワンワンワン

このようなハートウォーミングな演出がありながらも、本作はかなり凄惨なシーンもあるので、あなたが苦手であれば気をつけた方がいい。
韓国映画はヴァイオレンス描写が激しい傾向にあり、本作も例外なく、かなりの量の血液が噴出している。

当然ワンワン以外にも魅力的なキャラが登場する。
彼女を信じるチェ刑事もいいのだが、重要なキャラとなる青年・ギソプだ。

実はこのギソプも彼女が乗っていたタクシーを目撃しているのだが、彼女とは違った証言をするのだ。
それによって二人は対立する。

しかし、対立し合っているのにスアは彼のことが気になるようになる。
なぜ彼から目が離せなくなるのか。
それこそが本作最大のテーマだ。
スアに足りないものは何なのか、スアは何をすることで葛藤から解放されるのか。
直接観て確かめてもらいたい。

そして訪れる中盤の電車内でのとある演出。
盲目設定ならではのアイディアなのだが、非常によく出来ている。
このシーンを見るだけでもこの映画を見る価値のあるレベルの優秀な演出だ。

もし仮にあなたがこのアイディアにハマれなかったとしても、斬新なものであることに変わりはないので、観て損はない。
新作映画は新しさがなければ作る意味がない。
物語全般に言えることで、小説、漫画でもそうだ。
その点を踏まえても、この映画は十分に新しい価値を提供してくれている。

最後の車のシーンは良かった。
このシーンがあるからこそ、ラストカットに繋がる。
注目すべきいいシーンだ。

あなたは本作に関心が湧いただろうか。
何より素晴らしいのが、本作はスリラー映画なのにドラマ部分を全力で描いているということ。
これほどまでにドラマに力を入れたスリラー映画は珍しい。

あと本作は謎解き要素は若干あるのだが、スリラー演出とドラマに重きが置かれて作られているので、ミステリー映画として観ないように。

ブラインドの作品情報

■監督:アン・サンフン
■出演者:キム・ハヌル ユ・スンホ チョ・ヒボン
■Wikipedia:ブラインド
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア

ブラインドを見れる配信サイト

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Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
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Netflix:-
※2019年9月現在

ブラインドと関連性の高いおすすめ映画

ブラインドの裏ジャンルである【バディとの友情】に分類される映画。

愛しのアイリーン』★★★★☆4
舞台は福井県鹿之谷村。42歳の岩男は毎夜、自慰にふける寂しい男である。そんな彼を心配する母ツルは彼にお見合い相手を紹介しようとするが、岩男は関心を持てずにいた。ある日、同僚のシングルマザー吉岡愛子から誕生日プレゼントにゴリラの人形を貰ったことで好意を寄せるようになるが、想いは空回りして失恋する。半ばヤケになって、フィリピンにお見合いツアーに行き、やたらと自分に懐いてくるアイリーンをノリで嫁にして村に戻ってくるのだが……。

感情感情感情、感情のぶつかり合いが激しくてエネルギーの集合体のような映画である。
仕事とかに失敗して無気力になったときに観たい一本。

余談だが、過去にレビューしており、記事のリンクを貼ってはおくが、レビューの描き方がまとまっていない時期に書いたので個人的には質が微妙。(物語前半を詳細に書きすぎてしまった。核心部分のネタバレはしていない)
いずれリライトする予定なので、無理して読まないでも良いです。

U-NEXT:○(有料)
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※2019年9月現在

-⑥バディとの友情

執筆者:

名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。