映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『卒業白書』ネタバレなしの感想。トム・クルーズ少年がお姉さんにふりまわされる青春ドラマ

投稿日:

■評価:★★☆☆☆2.5

「マジメな男子高校生の両親が、旅行で家を空けた間に巻き起こす騒動を描く」

【映画】卒業白書のネタバレなしのレビュー、批評、評価

学生というものは未成年だからといった理由で、親からあらゆる制限を強いられがちだ。
私はゲーム大好き少年だったので、小学校の頃は1日1時程度しかやらせてもらえなかった。そのため早起きしたり、腹痛をねつ造して学校をズル休みしたりと、あらゆる手段を駆使してゲームのプレイ時間を作りだした。
他には門限、バイト、TVなどの娯楽類の制限を食らった人もいるだろう。今の時代では、スマホを禁止にされている子も多そうだ。

そんな好奇心旺盛な自分を干渉する両親が、旅行で数日間家を空けるとしたら。
本作はそんな楽園のような数日を手にした高校生の物語だ。

シカゴ郊外の中流家庭で育ったジョエルは名門大学を目指す高校生。「未来の企業家研究」の授業も受けているマジメな生徒だが、頭は性のことでいっぱい。ある日、両親が旅行に出たことがきっかけで、友人が出来心で売春婦を呼んでしまう。だがやってきたのは黒人のオカマ。代わりにジョエルの年代の男が好みだと言うラナという女性を紹介してもらう。最初は無関心を装いつつも、自ら彼女に連絡してしまい……。

この設定は既視感は強いが、ワクワク感を覚えてしまう。
『スイート17モンスター』という映画では主人公の女子高生にも、同様のシチュエーションが訪れる。彼女にとって最高であるはずの時間が、史上最悪の悲劇を迎えてしまうのだ。

しかし、私は本作にはあまりハマれなかった。
主人公のジョエルは親が家を空けたとき、高校生ながら娼婦を呼ぶことになるのだ。
これがいまいちピンと来ない。
確かに彼は性行為のことで頭がいっぱいな健全男子だが、いくらなんでも行動が飛躍しすぎている。
アメリカでは普通のことなのだろうか?

本来なら性行為を目指すのに踏むべきステップがあるだろう。
例えば、友達に女の子を紹介してもらうとか、あるいは女の子のいるような場に出向くなど。今作は夏が舞台なので、海やプールなどがぴったりだ。
この映画は80年代が舞台だが、現代劇にするなら出会いアプリを試す流れが一般的だ。
そういった小さなハードルを乗り越えようと試みるが、結果的に上手くいかなかったので娼婦を呼ぶ!って流れなら物凄く納得できる。

そんな感じで、高校生という子供の世界観の中で大人の世界の象徴である娼婦がすんなり入ってくるのは違和感を覚える。もう少しこの辺りは丁寧に流れを作ってほしかった。

少し時間軸をさかのぼるが、前夜祭の盛り上がりを描いても面白いと思う。
親が旅行で数日家を空ける、といったことは高校生にとって一大イベントだ。
この手のシチュエーションだと、一番盛り上がるのは前夜祭だろう。

友達と遊びの計画を立てたりする描写があったりすると、観客のテンションも上がるので嬉しい。
恐らく、ジョエルはマジメな高校生という設定なので描かなかったのだと思うが(劇中では友達が彼女とヤルためにジョエルの部屋を借りに来るのだが、彼はあえぎ声を聞きながらも勉強に専念しようとするシーンがある)
だとしたらテンションが上がる友達に仕方なく付き合わされるような葛藤を描写してもいいだろう。
それが前フリとなって、観客は「いつジョエルは快楽の道に傾くのか」といった期待を孕みながら物語に没入できる。

しかしジョエルに扮したトム・クルーズ少年を翻弄する娼婦・ラナのつかみどころのない魔性感はすごい。
妙に色っぽいし、何よりトラブルメーカーだ。
純朴な高校生がこんな女性と出会ってしまたら、喜んでコマのように振り回されるだろう。
ピュアなトム・クルーズもニヤニヤしっぱなし。

今ではビルとビルの間を飛び越えたり、離陸する飛行機にしがみついたりして、核を奪い合ってるような筋骨隆々なトム・クルーズが、一人の女に振り回されている姿は新鮮で可愛らしい。
彼女に対しては普段は強気なのに、ちょっと突き放されるとすぐにナヨナヨしてしまうのだ。
ちなみにトム・クルーズ少年は、劇中で惜しげもなくヌードを披露しているので、当時からもサービス精神旺盛である。

ストーリーは、後半の展開も思春期物との噛み合わせが悪い。
原題は『risky business(危険なビジネス)』とのことだが、仕事の内容が高校生のやることと乖離している。
後半では、完全に青春感は消え去ってしまった。

もっと思春期の節目らしい、胸がキリキリするようなエピソードが欲しい。
観客としては、少年の物語に期待する要素は【青臭ささ】だ。

その点、以前レビューした男子高校生が主人公の青春アホ映画『アメリカン・パイ』は、その年代らしい魅力的な展開をたくさん迎えてくれるので最高に楽しめた。
あなたが男性で、青春映画好きならならこの作品はぜひとも観てもらいたい。ぶっ刺さること間違いなしだ。

あなたが若き日のトム・クルーズに興味があれば、観ていいかもしれない。本作は彼の出世作となっている。
私は大味な展開についていけなかった。

卒業白書の作品情報

■監督:ポール・ブリックマン
■出演者:トム・クルーズ レベッカ・デモーネイ
■Wikipedia:卒業白書
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):96%
AUDIENCE SCORE(観客):72%

卒業白書を見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年9月現在

卒業白書と関連性の高いおすすめ映画

卒業白書の裏ジャンルである【人生の節目】に分類される映画。

『アメリカン・パイ』★★★★☆4
マスターベーションに耽る毎日を送る高校卒業を間近に控えたジムは、親友で同じく童貞のオズ、ケビン、フィンチとともに「プロムまでに童貞も卒業しよう」と誓い合うことに。

男の欲望を剥き出し青春コメディ。
もはや性欲を満たすためだけに犯罪にまで手を染めているだが、この年代ならそういうことをしたくなる気持ちは理解できないわけではない。
アメリカン・ビューティーでケヴィン・スペイシーを翻弄したミーナ・スヴァーリもちゃっかり出演しているのも見所。

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(DVD)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年9月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。