映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

①家のなかのモンスター

映画『ハロウィン(1978)』ネタバレなしの感想。殺人鬼にひたすら追い掛け回されるマスクキラー物の元祖

投稿日:9月 8, 2019 更新日:

■評価:★★★☆☆3.5

「サイコパスの兄貴が殺人鬼」

【映画】ハロウィン(1978)のネタバレなしのレビュー、批評、評価

「やたらシリーズ作品が多いなあ」なんてことをあなたも思ったことはないだろうか。
ハロウィンは全9作も制作されているホラー映画だが、本作は公開後のホラー業界に多大な影響を与えている。
スプラッター映画の代表とされており、『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』と並べられることも多いが、これらのシリーズの始祖的な位置づけにある。
(スプラッター映画:命を奪う際に生々しい描写を特徴とする)

マスクを被った殺人鬼、いわゆる仮面キラーの元祖とも言われており、ジェイソンのホッケーマスクはハロウィンから着想を得ている。

私は古典作品はどうも苦手だ。
テンポが遅く、ストーリーもぬるいものが多い印象があってそんなに得意ではない。
本作は大きな期待を持たずに観たのだが、古典だからといってあなどるなかれ。興味深い演出や設定の連続で、思いの外楽しく観れた。

アメリカの田舎町ハドンフィールド。ハロウィンの日の夜、突如として6歳のマイケルは姉を包丁で刺して命を奪い、その後は精神病院に入れられる。15年後、大人になったマイケルは病院を脱走する。妹であるローリーの命を奪うため、彼は金物店で白いハロウィンマスクと包丁を盗んで彼女を探すことに。

とにかくスリラー演出が絶妙だ。

スリラー演出は、緊張感を与える手法のこと。
例えばレストランに座っている2人がいて、テーブルの下には時限爆弾が刻々と時を刻んでいる。
こんなシーンを観た観客は「いつ爆発するんだろう」「この二人は助かるのか」といった緊張感や不安を抱く。これがスリラー演出だ。
音で驚きを与えるような演出とは真逆である。

本作はいつ殺人鬼ブギーマン(マイケル)に襲われるかわからないような緊張感が漂っている。
例えばブギーマンは、本命である妹ローリーではなく、まずは彼女の友だちから手を下していくのだ。
それによって観客は「いつローリーが襲われるのか」といった不安を抱えながら物語を追うこととなる。

監督のジョンカー・ペンターはやたらスリラー演出が上手いので、あとで調べたらヒッチコックの影響を受けているとのこと。
映画に関心がない人でも一度くらいは耳にしたことがあるであろう、ヒッチコックとは1939年からアメリカで活躍した映画監督である。
彼は卓越したスリラー演出によって成功をおさめ、そのジャンルの第一人者となっている。

ヒッチコックは「レストランにいる2人とテーブルの下の爆弾が、突然爆発すれば驚く。予期せぬショックが数秒続いて終わり。しかし時限装置の爆弾を見せることで緊張感が発生する。爆発まで15分あっても。15分のスリルは数秒の驚きに勝る」と言っている。

『ジョーズ』や『E.T』の監督であるスティーブン・スピルバーグも彼の影響をもろに受けているし、『セブン』『ゴーン・ガール』のデビッド・フィンチャーもそう。
私も何作か観ているが、特に『裏窓』が好みだ。

話を映画に戻すが、序盤で病院を抜け出したマイケルは、見つけたローリーを遠くから凝視する。このシーンが違和感を覚えるほどに長い。彼の狂った精神性を描いているようにも思える。

そのあともローリーが学校で授業を受けていると、窓越しにマイケルが彼女をじっと眺めている。
白昼堂々不気味すぎる。
誰か通報してほしいものだ。昼間からマスク被って女子高生を眺めるなんて、ただの変態だ。

それと、ワンカット長回しが定期的に挿入されるのも見所。
これによって臨場感と併せて緊張感も増すし、物語に没入しやすくなる。

更に面白いのが、焦点外も演出している点。
カメラがローリーに焦点が当たっていたとしたら、彼女の周りでも何かが起こってるのだ。映画的ですごく良かった。

主にマイケルの追跡が見られる。
ローリーが友達と普通に話しながら歩いていると、後ろにマイケルが運転している車が画面に端にチラっと映ったりするのだ。

更に序盤で、ローリーが女友達と別れた直後、彼女の親?っぽい人がローリーを背伸びして見つめている姿がチラっと映り、物凄く気になった。
このシーンはかなり不気味だったのだが、とくに伏線として回収されなかったので意味不明だ。
何なんだろうか、あれは。
調べても結局分からず、レンタルしたブルーレイにオーディオコメンタリーがあって確認したんだが、特に触れられてはいなかった。謎が深まるばかり。

それと、マイケルは序盤からかなりの頻度で姿を現す。
あまりに出てくるので緊張感に欠けるのでは?と思ったんだが、神出鬼没な上にいつ犯行に至るのか分からないので、結果的にはドキドキしながら画面に釘付けとなった。

とにかくマイケルのキャラ設定が面白くて、動機が不明がところが怖い。
彼の内面が深ぼられる描写がほとんどなく、あるとしても彼の担当医が「あいつは怪物だ」と言うくらいだ。

何が原因で、何故、家族の命を奪うことに執着するのか、といったことは明かされないのでひたすらブキミである。
更に武器が包丁っていうのもいい。
日常でどこにでもある道具なので、親近感が恐さにつながる。

チェーンソーも確かに怖いんだけど、日常で目にすることがないし、ちょっと非現実的。
それに比べたら、包丁というのは妙な生々しさがあるのだ。

古典作品だからといってずっと敬遠してたが、今観ても十分に楽しめるスリラーの良作である。
真の名作はいつ観ても楽しめることを今作は証明してくれた 。

かなり丁寧に作られた映画だったので、監督のジョン・カーペンターにハマってしまいそう。
次は遊星からの物体X、ゼイリブ、ニューヨーク1997辺りを鑑賞したい。

余談だが、ストーリーはあってないようなものなので期待しない方がいい。
正直、怖さもそれほどではない。
卓越したスリラー演出に浸る目的で観ると楽しめる。

ハロウィン(1978)の作品情報

■監督:ジョン・カーペンター
■出演者:ドナルド・プレザンス ジェイミー・リー・カーティス
■Wikipedia:ハロウィン(1978)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):96%
AUDIENCE SCORE(観客):89%

ハロウィン(1978)を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年9月現在

ハロウィン(1978)と関連性の高いおすすめ映画

ハロウィン(1978)の裏ジャンルである【家のなかのモンスター】に分類される映画。

『アポカリプト』★★★☆☆3.5
中央アメリカの密林地帯の奥深くに集落を作り、集団生活をする狩猟部族がいた。ある日、武装した他部族の傭兵の奇襲に遭い、集落は占領されてしまう。部族の優秀なハンターであるジャガーらは捕虜として連行されることに。連れていかれたその先には、未だかつて見たことがない先進的な文明を築くマヤ族の都が姿を現した。

『パッション』『ハクソー・リッジ』などを監督したメル・ギブソンによるスリラーアクション。
崩壊寸前のマヤ文明が舞台とされており、全編に渡ってマヤ語が使われている。
ハリウッド映画ながら、本国でも字幕で上映された稀有な作品である。

ストーリーはシンプルで、ひたすら残忍なマヤ族から逃げる内容だ。
バイオレンス描写が激しくR15指定なので要注意。
世界観・設定は完成度が高く、一度見たら忘れられない強烈なインパクトを持つ映画となっている。

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:-
Netflix: ○(見放題)
※2019年9月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。