映画の海

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⑤人生の節目

映画『台風家族』ネタバレなしの感想。銀行強盗犯の両親に人生を狂わされた子供たちによるドタバタコメディ

投稿日:9月 11, 2019 更新日:

■評価:★★★☆☆3

「最悪な親が与えてくれたもの」

【映画】台風家族のネタバレなしのレビュー、批評、評価

本作は2019年2月1日、強制性交の容疑で逮捕された新井浩文が出演していたことがあって、同年6月に公開予定だったが無期限延期となってしまった。
今回、9月6日(金)から26日(木)まで3週間限定で劇場公開されることになったので、さっそく鑑賞してきた。
期間限定なせいか、平日の朝から観に行ったのにもかかわらず、半分近くは席が埋まっていた。熱心な元Hey! Say! JUMPの草彅剛ファンが駆けつけたのだろう。(ウソです冗談です)
果たして本作は、公開されるに値する価値のある作品だったのか。

ある日、鈴木一鉄と妻光子は銀行から2000万円を強盗し、霊柩車で逃亡して行方をくらました。事件から10年後、いまだに所在不明な両親の仮想葬儀を行って財産分与をするため、バラバラになっていた鈴木家の子どもたちが実家に集まる。

結論から言ってしまうと、ストーリーは面白いのだが、監督がその良さを潰してしまっている印象を受けた。
ようはTVドラマのような安直な演出が非常に多く、役者陣が下手に見えるのだ。

例えば、家の中で誰かが話し出すと、座ってたみんなが急に立ち上がる。
観客に話しているキャラに注目してもらいたいのか何なのか良くわからないが、普通誰かが話しだしたところで、聞いている連中はいちいち立ち上がったりしないだろう。
この謎の立ち上がり演出が何度も見られて違和感を覚えた。

もっと細かいことを言うと、オープニングで親が強盗したことで集まった大量の報道陣が主人公・小鉄にインタビューを求めるシーン。
当然小鉄は振り払って家に向かうのだが、その後一人のメガネをかけた記者に呼び止められたとき、なぜか小鉄はビタ止めする。

あんだけ振り払っていたのに、何でメガネの呼びかけのみ反応するのか?と思っていると、「メガネ!パパをいじめるな」と奥から小鉄の娘・ユズキが糾弾する。
つまり、このシーンを撮るためのご都合主義である。
確かにコメディ作品ではあるのだが、映画なのでもっと自然で、まるでキャラクターが現実のどこかで生きているようなリアリティーが欲しい。

クライマックスで家族が発見するアレもそう。
ネタバレになるので詳細は省くが、あれはギャグなのか本気なのか不明すぎる。これに関しては安直の度を越えて正直呆れてしまった。
さすがに手を抜きすぎだろう。
制作陣は誰も何も言わなかったのだろうか?感性が台風でクルクルパーになってしまったのだろうか。

ここまで辛辣な意見を並べたが、ストーリーは良く出来ており、意外にも楽しめてしまった。
基本は実家の中のみで展開されるワンシチュエーションとなっている。
そのためか、脚本はかなり練られている印象を受けて面白かった。

ワンシチュエーションは制限が厳しいので、脚本のごまかしが効かない。
映像も家の中に限られるので、会話劇や展開で中だるみさせない工夫が必要になってくる。

遺産分配のために集まった兄弟は、密に連絡を取っている感じでもないため、若干の距離感がある。
父が銀行強盗を犯したお陰で、鈴木家は世間からの評判が地に落ち、被害を被った者もいる。
主人公・小鉄に至っては完全に金の亡者となっていて笑ってしまった。結婚して子どもまでいるにも関わらず、自販機の小銭を漁ったりしているのでただのルンペンである。

だが、こうだと思っていたキャラには実はこんな裏の顔があった、といった形で物語が展開していくさまは素晴らしい。
その内容は完全に想定を超えており、思わずスクリーンに食い入って観てしまったほど。
それによって浮き彫りとなったテーマにも心を打たれるものがある。

そういった意味でも、あっという間の二時間だった。
テンポも良くて、ユニークな展開も次々と起きるので飽きることはない。むしろキャラクターはみんな魅力的なので、物語の行く末には強い興味を持って観ることができた。

脚本が良いからこそ、演出面がこうなってしまったのは非常に残念で仕方ない
是枝監督だったらどう撮るのか観てみたいなあと思わず考えてしまった。
彼も家族の繋がりをテーマにした映画をよく撮っているので、きっとこの脚本も国際映画祭で評価されるレベルの物に作り上げられただろう。

新井浩文は好演していたので、役者の世界から姿を消えないでもらいたいものだ。
MEGUMIも凄く良かった。次は遠慮なく脱いで欲しい。
良いところも多いだけにもったいない映画である。

台風家族の作品情報

■監督:市井 昌秀
■出演者:草彅剛 新井浩文 MEGUMI 中村倫也 尾野真千子 甲田まひる 藤竜也
■Wikipedia:台風家族

台風家族を見れる配信サイト

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Netflix:-
※2019年9月現在

台風家族と関連性の高いおすすめ映画

台風家族の裏ジャンルである【人生の節目】に分類される映画。

『トト・ザ・ヒーロー』★★★☆☆3.5
8歳のトマは向かいに住む、裕福なカント家のアルフレッドと取り違えられたと信じていた。だが、大好きな姉のアリスをはじめとする仲睦ましい家族に包まれており、トマは幸せな日々を過ごしていた。ある日、カントの依頼で飛行士だった父は雷雨の夜に飛び立ち、二度と戻ってくることはなかった。トマはアリスとともに、カントへの復讐を決意する。

ユニークなシナリオで、どこか現実劇とは思えない雰囲気が漂っている。
とくに印象に残るのが姉のアリスだ。
トマにとっての絶対的な味方であり、こんな姉がいたらいいなあと思わずにはいられない。

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(DVD)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年9月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。