映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

②金の羊毛

映画『そして、ひと粒のひかり』ネタバレなしの感想。17歳の素人の少女が運び屋をすることに

投稿日:

■評価:★★★☆☆3

「自分が最も幸せになる生き方を選択するということ」

【映画】そして、ひと粒のひかりのネタバレなしのレビュー、批評、評価

タイトルにもなっている「ひと粒のひかり」。
これは、この映画の主人公マリアの道を照らす光を指す。
光は人それぞれ大きく異なる。
「ショーシャンクの空に」では、レッドにとって光となるのは主人公アンディ。
最近観た「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」では音楽が光となり、喋れない志乃ちゃんと音痴な加代ちゃんを繋げている。

特別なもの=光は人や物に捉われない。
音楽、スポーツ、勉強など何にだって光へと変わる可能性を秘め、その人の人生を美しく輝かせる。
私も祖父の頭がツルツルなので、まばゆい光という意味では将来有望なサラブレッドだが、この映画でマリアの光となるのものは何なのか。

コロンビアに住む17歳の少女マリアは家族を養うため、バラ農園で単調な仕事をしていた。ある日、彼女は大して好きでもないボーイフレンドの子を妊娠してしまう。さらに些細なトラブルがきっかけで仕事をクビになってしまったマリアは、知り合いから “mule” (ミュール)という仕事を誘われる。それは麻薬を密輸するというリスクの高い仕事だった。

そもそも17歳の女の子が家族を養うというのは切ない。
マリアの家族は貧困で祖母、母、姉、彼女の赤ちゃんのため、一生懸命働いて得た金を家に入れている。
親は自分の意志で子供を産めるが、子供は親を選ぶことはできない。彼女は生まれながらに絶望である。

マリアの仕事もいかにも貧困層が就きそうな劣悪な環境だ。
絆創膏まみれの手でバラのトゲを取り、昼飯はバナナとパンのみ。
たんぱく質すらないのでパワーもつかないだろう。

そんな生活を強いられてストレスが溜まっているのか、マリアには大して魅力的ではないし、好きでもないボーイフレンドがいる。
で、こいつの子どもを妊娠することが発覚してから、彼女の運命はより怪しい方向へ舵を切る。

仕事はちょっとしたトラブルでクビになる中、親から金を要求されるという窮地。逃げ場なんてない。
そんな時に麻薬の売人の仕事を紹介される。
報酬は700万ペソ。

この映画の舞台はコロンビアなのだが、公務員の給料は日本円で5~6万だそう。
700万ペソは約22万円となる。
約4か月分の給料がわずか数日の労働で手に入るので、彼女が誘惑に負けるのも無理はない。

だが、肝心の運び方が想像しただけで胃がざわつく。
麻薬を包んだフィルムを飲みこむのだが、サイズが結構大きい。
長さ五センチくらい、魚肉ソーセージくらいの太さのものを三十粒近く胃に入れる。

マリアは経験者の女性にやり方を教わったりするのだが、飲みやすくするように喉を広げるトレーニングのようなものをしているらしく、この辺りの描写はやけにリアルで良かった。
しっかりと取材したのだろう。

もちろん、胃の中でフィルムが破けたら命を落とすことになる。
胃酸を弱まらせる薬なんかも飲んだりするんだが、命を代償に22万という報酬はあまりに安すぎる。
でも彼女には、この仕事にありつくしか選択肢がないのだ。
なぜなら妊娠してしまったから。
子供を産むにはお金もかかる。

飛行機に乗ってニューヨークまで運ぶのだが、飛行時間は約2時間。
当然、機内では大便はできない。
緊張に弱い私はタマゴのようにポンポン産んでしまいそうである。

この映画の一番のポイントは、我々と同じ素人の少女が運び屋をやるというところにある。
この仕事に慣れていない彼女のぎこちない様子を見ているだけでやけにスリリングだ。
果たして彼女は無事、麻薬を運んで大金を手にすることができるのか。

見ていて結構気になる点も多かったのだが、運んでる時にちょっとしたトラブルがあり、それが起きた理由が不明でご都合主義となっているのが残念。
せめて何らかの伏線を入れて欲しい。何らかの行動を見られるなど。

中盤以降はとくにおざなりで、キャラの行動に理解できないものが多い。
マリアはなぜ、ある人物に隠しごとをするのか。
マリアの仲間でぽっちゃりした女・ブランカの行動も意図が分からず、意味不明である。
こうした説明のない謎の行動群が物語の展開のキーとなっているので、残念で仕方ない。

それとこの映画、世界三大国際映画祭の一つ、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を取っている。(他の二つはカンヌとベネチア)
銀熊賞=女優賞で、彼女の演技が評価されているということ。

が、どう見ても彼女の演技はいいとは思えなかった。
ある時から思ったのだが、マリアの表情の変化に乏しくてずっと真顔なのだ。
私が覚えている限りだと笑ったのは一度きり。もしかしたらこの瞬間のためにずっと真顔だったのかもしれないが。
だとしてもずっと同じ表情なので、ちょっと違和感を覚えてしまった。
微妙な変化でもいいので見せて欲しかったところ。
じゃないと生きてる感がしない。

中盤までは興味深く見れたのだが、それ以降はちょっと脚本の粗が目立ってしまって、若干冷めてしまった。詰めが甘い印象。
調べてみたらジョシュア・マーストン監督はこの映画で初監督とのことなので、仕方ないかもしれない。

ドラマとしては面白いし、タイトル「そして、ひと粒のひかり」に含まれたテーマは素晴らしいものなので、熟練した段階で撮ってほしかった。

そして、ひと粒のひかりの作品情報

■監督:ジョシュア・マーストン
■出演者:カタリーナ・サンディノ・モレノ ギリエド・ロペス イェニー・パオラ・ベガ
■Wikipedia:そして、ひと粒のひかり
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):97%
AUDIENCE SCORE(観客):87%

そして、ひと粒のひかりを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(DVD)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年9月現在

そして、ひと粒のひかりと関連性の高いおすすめ映画

そして、ひと粒のひかりの裏ジャンルである【金の羊毛】に分類される映画。

『藁の楯』★★★☆☆3.5
元・経団連会長、蜷川隆興の孫娘が、清丸国秀によって命を奪われた。快楽殺人者である清丸をこの世から消すため、隆興は新聞の全面広告やインターネットを通じて「清丸の命を奪った者に懸賞金10億円を出す」と発表。福岡に潜伏していた清丸は匿ってもらっていた知人に命を狙われそうになり、恐れをなして警察に出頭する。警察庁は清丸を福岡から東京へ護送するため、厳重な警護(SP)を配属させる。清丸の命を守りながら、無事東京へ連れていけるのか。

懸賞金10億円という莫大な金額のせいで、日本中から清丸を狙う人間が現れる。
金額上、警察の中にも反逆者が出てきてもおかしくないという、エンターテイメントとして中々の見応えのある良作。

U-NEXT:-
Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(見放題)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:○(見放題)
※2019年9月現在

-②金の羊毛

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。