映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑩スーパーヒーロー

映画『トム・ヤム・クン!』ネタバレなしの感想。肉弾アクションにおける最高到達点の一つ

投稿日:9月 30, 2019 更新日:

■評価:★★★★☆4

「タイ人から象さんを盗んだらとんでもないことになる教訓映画」

【映画】トム・ヤム・クン!のネタバレなしのレビュー、批評、評価

プラッチャヤー・ピンゲーオ監督作品で真っ先に浮かぶのが『チョコレート・ファイター』だ。
発達障害の少女が病気の母の治療費を稼ぐため、かつて母が金を貸していた連中に取り立てに行く話で、彼女は一度見た体術を瞬時にコピーする能力を持っており、抵抗して襲いかかる大人たちをパワフルになぎ倒す。
可愛らしいルックスの女の子がノーCG、ノーワイヤー、ノースタントのとんでもアクションを連発しており、見応え抜群だ。

ガチアクションの系譜に連なる本作だが、チョコレート・ファイターと大きく異なるのは大人の男ならではの迫力ある肉弾戦である。

タイ人青年・カームの愛する象がベトナム人のジョニーに盗まれてしまう。彼は象を追ってシドニーへやってくる。だが、ジョニーが店主を務めるタイ料理店「トム・ヤム・クン」の背後には、中国人マダム・ローズが率いる悪の密輸組織があり……。

凄まじい肉弾アクションの連続だ。
映像だけでこんなに楽しませてくれる映画も珍しい。
つまり、CGやスタントが使われていないガチアクションなので、CGまみれのハリウッド映画とは段違いの迫力となっている。

一言で言えば突き抜けてる。
交通事故クラスの危険アクションが何度もあり、息つぐ暇もない。
というか、こんな映画を撮り続けてたらいつか死人が出るだろう。見ているこちらとしてはスリリングで面白いのだが。

この映画の良いところは、主人公のトニー・ジャー扮するカームの前に立ちはだかる敵のバリエーションが豊かさだ。
普通の格闘家のみならず、レスラーだったり、バイクなどの乗り物で襲ってきたりなど。
船でのチェイスアクションもあり、スピード感が凄まじくて見応え抜群。
こんな感じで手を変え品を変え、あらゆるアクションを見せてくれるので飽きる暇なんて1秒も与えてくれない。サービス精神はディズニーランド並である。

中でも螺旋階段の長回しのアクションパートは画面に釘付けとなった。
ただアクションを延々と垂れ流しているだけでなく、映像的にぐるぐる回りながら華麗に敵をなぎ倒し続ける演出が素晴らしいのだ。アイディアとしてお見事である。

トニー・ジャーの動きももはや人間のそれを越えていて笑える。どんな訓練したらこんな肉体を手にできるのだろうか。
強すぎて、シンプルにカッコいい。
こんなの子供の頃に見てしまったらアクションスターを目指してしまいそう。

悪者に盗まれた象さんを取り返す、というストーリーもかわいい。
たかが象、と言ったらその瞬間に跳び蹴りを食らいそうだが、動物一匹のためにここまでやってしまう辺りはジョンウィックを彷彿とさせるハートウォーミングストーリーである。
命がけの凄まじいスタント終わりに「これって小象一匹のためなんだよなあ」とたまに冷静になって考えてしまうのはご愛嬌。

タイの文化は知らないが、みんなで象さんに乗ったり、川の水をぶっかけて洗ってやったりしていてビックリである。
こんなにも家族のように共存するし、懐くものだったとは。
調べてみると、タイでは象は仏教との関わりが強く、中でも白い象はブッダの化身とも言われていて、発見次第、王に献上する法律まである。
実際的なものとしては、観光客を象の背中に乗せたり、あるいはサーカスだったりと、ビジネス面でも活躍している。
トニー・ジャーも実家で2匹の象を飼っているとのこと。

映画に話を戻すが、たまに見られる荒い編集や演出も味がある。
船でのチェイスパートで爆発するシーンがあるんだが、余韻を楽しむもなく画面が切り替わったりするのはちょっと笑える。
もっと爆発している様子を見させてくれと、思わずつっこみたくなる。
他にも手錠を壁で擦って一秒くらいで切ったりと、ストーリーが凄くシンプルなのと相俟って、いい感じにB級感が漂っていて良い。

正直最初の方はストーリーの稚拙さが気になってしまったが、最後の最後までアクションが素晴らしいので、どうでも良くなってしまった。
肉弾アクションでは、今まで見てきた中でベスト級かもしれない。
男だったら全員が観るべき傑作。

トム・ヤム・クン!の作品情報

■監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
■出演者:トニー・ジャー ペットターイ・ウォンカムラオ ボンコット・コンマライ
■Wikipedia:トム・ヤム・クン!
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):53%
AUDIENCE SCORE(観客):76%

トム・ヤム・クン!を見れる配信サイト

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Amazonプライムビデオ:○(DVD)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年9月現在

トム・ヤム・クン!と関連性の高いおすすめ映画

トム・ヤム・クン!の裏ジャンルである【スーパーヒーロー】に分類される映画。

『軍鶏 Shamo』★★★★☆4
名門高校に通う少年・成嶋亮はある日、両親を刃物で命を奪う。少年院に送られた亮はそこで壮絶なイジメに遭うが、院内で出会った黒川の元で苛酷な訓練を重ね、空手を習得する。出所した亮は総合格闘技大会「リーサル・ファイト」に目を付ける。

香港映画だが、原作は日本の同名漫画。
軍鶏の魅力と言ったらエネルギーだ。
この映画は原作ファンからの評判は良くないが、原作に備わるエネルギーのぶつかり合いは本作も健在である。
テーマは「反骨心」。
対組織映画の要素が強く、成嶋亮の敵は常に自分より権力のある人間なのがポイント。
親から始まり、少年院の先輩、そして地位や名誉をすべて手にしている最強の武道家・菅原直人が最後に立ちはだかる。
エンディングに流れるLM.Cの『METALLY』も異様なカッコよさ。

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(DVD)
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年9月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。