映画の海

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⑤人生の節目

映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』ネタバレなしの感想。非モテ女子中学生によるリアルな青春ドラマ

投稿日:10月 2, 2019 更新日:

■評価:★★★☆☆3.5

「理想になれない13歳の女の子の葛藤と、娘を守護する父を描く」

【映画】エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へのネタバレなしのレビュー、批評、評価

青春映画に欠かせない要素といえば恋愛、友情などいろいろあるが、その中の1つに親がある。(あるいは親に相当するもの)
肉体的にも精神的にも未成熟である彼らの奮闘を一番心配して見守っている第三者こそ親だ。
小さい頃から成長を見届けているからこそ、親は悩んでいる自分の子供を助けたい。苦しみから解放させてあげたい。そんな風に願っているものだ。

8年生でケイラ・デイはミドルスクールの生徒として最後の1週間を迎えていた。彼女は友達もおらず、YOUTUBERとして毎日人生を明るく生きるための指南動画をアップしているが、視聴されることはほとんどなかった。ある日、学校で「学年で最も無口な子」に選ばれてしまう。そんなとき、ケイラはクラスの人気者女子からプール・パーティに誘われ、自分を変えるために意を決して参加するも……。

タイトルのエイスグレードは、アメリカでは8年生を指す。日本の中学2年生に相当する。
アメリカで州にもよるがは高校は4年制であることが多く、中2はミドルスクール(中学)の最終学年となっている。

本作のストーリーラインはスイート17モンスターと通ずるものがある。

嫌いな兄貴と、唯一の親友が付き合ってしまって孤立してしまう女子高生を描いた話だ。
個人的には、スイート17モンスターの方が主人公を始めとするキャラクター群の魅力がズバ抜けているので、評価としてはこちらに軍配が上がる。
が、エイス・グレードの主人公ケイラは見た目からガチの非モテだし、行動の痛々しさも相俟って漆黒の闇を抱えており、こちらの方が物語としてはリアルだ。

ケイラはリア充に誘われて、勇気を振り絞ってプールパーティに出向く。
その際に彼女が着る水着にしめつけられて浮き出ている背中の肉から、非モテ感がにじみ出ていて微笑ましい。
顔もにきびだらけだし、良くこういうタイプの子を主役に抜擢したと思う。
若手人気女優やアイドルには出せない生々しさがこの映画には漂っている。

ケイラはノートに「なりたい自分と、理想の女性になる方法」を書いたりする発展途上の子だが、そんな彼女がYouTubeに生き方の指南動画を作ってアップしているのも、何だか共感してしまった。
私も精神的に未成熟だったころ(今もだけど)、似たようなことをしていたので目が痛くなる描写だった。

意識が内に向いている自意識過剰な人間は視野が狭い。
自分から生み出される考えがすべて正しいと思い込んでおり、外部からの助言(価値観)はシャットアウトしがちだ。
だからこそ、彼女は父の話をまともに聞こうとせず、強く当たったりする。

が、本当に自分が変わるためには、自分以外の価値観を受け入れなければいけない。
新しい価値観を取り入れない限り世界は広がらないのだ。
つまりそれは、自分自身の今までの生き方を否定することにつながる。

しかし彼女はそれができない。
自分を否定したら、精神が傷ついて自分が壊れてしまうと思っている。
だから、生き方の指南動画をアップして自己顕示欲を満たそうとする。
自分を認めて欲しい。自分は素晴らしい人間だと誰かに言ってもらいたい。

他人もバカじゃないので、そんな未熟な人間の指南に耳を傾けるわけがない。
だから、YouTubeの再生回数も増えないので、結果的に彼女の自己顕示欲は満たされない。
そんな彼女が変わるのは指南動画のアップをやめる決意をしたときだ。果たしてやめることはできるのか。

彼女の父も父なりにもがいている。
自分の感情よりも娘に意識を向け、彼女を理解しようと奮闘する。
それでもたまに感情が先立ってしまうときもあるのが微笑ましく、彼もまだ父親13年生で成長過程にある。(娘が13歳なので)
私も人生36年生でいまだ卒業できる見込みなし。

このようにケイラの成長過程で父の内面を描いているのは良かった。
だからこそ終盤で、ケイラが父の前であるモノを焼いてしまうシーンは辛いものがある。
目の前でこんなものを見てしまったら、父は何を思うのか。

ケイラが一目惚れしている男・エイデンとのエピソードが明らかに足りないのは気になってしまった。
正直、私の中ではこの映画はまだ終わってない。

確かにエイデンとはちょっとしたイヤな出来事はあった。
が、彼は自分に対して良くしてくれた面も見せている。
ケイラがラストにあのような行動を見せる前に、彼との決着をつけてほしかったところ。

YouTube関連でも、もう少しエピソードを膨らませる余地はあったと思う。
誰かに動画をバカにされたりとか、何でもいいので。

動画の中身が良いか悪いかは別にして、今の彼女にとって大切なものであるYOUTUBE。
それをバカにする者、そして父のように受け入れる者。そんな風な描きわけがあったら尚良い。
ただYouTubeに動画をアップしてるだけで終わってるのは、ちょっと違和感を覚えてしまった。
もし思春期に自分が大切にしているものを粗雑に扱う人間が現れたら、あなたは何を思う?

父親に対する愛情が強い人は、心を動かされること必至の映画だ。

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私への作品情報

■監督:ボー・バーナム
■出演者:エルシー・フィッシャー ジョシュ・ハミルトン
■公式サイト:こちら
■Wikipedia:エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):99%
AUDIENCE SCORE(観客):83%

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-
ビデオパス:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年10月現在

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へと関連性の高いおすすめ映画

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私への裏ジャンルである【人生の節目】に分類される映画。

『スウィート17モンスター』★★★★☆4
高校2年生のネイディーンは妄想狂で自己嫌悪中毒のこじらせ女子。彼女は、人気者で何事につけても勝ち組の兄・ダリアンを日頃から憎んでいた。ある日、いじめられっ子だった小学生時代に知り合い、当時から心の支えとなってくれていた親友クリスタが、天敵である兄と恋人同士となってしまい……。

本作は女性脚本ということもあって、女性らしい描写が随所に観られる。
例えば女友達の前では下ネタ連発で下品に振る舞うが、好きな男の前だとしおらしくなってしまうなど。
対してエイス・グレードは男性脚本となっており、女性固有の挙動や葛藤は見られない。

とはいえ見所はそれぞれ異なるので、あなたが青春物が好きであれば両方観てみることをおすすめする。

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
ビデオパス:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:○(見放題)
※2019年10月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。