映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

②金の羊毛

映画『東京ゴッドファーザーズ』ネタバレなしの感想。ホームレスが捨てられた子供の親を探すサバイバルドラマ

投稿日:

■評価:★★★☆☆3.5

「繋がり」

【映画】東京ゴッドファーザーズのネタバレなしのレビュー、批評、評価

私事で恐縮だが、私は【奇跡】という言葉には無縁で、運が良いと思った出来事はあまり記憶にない。
と思ったら、最近1つだけあった。

東京にある、とあるカフェに私は良く通っている。
先月の仕事終わり、いつも通りそのカフェに行って小説のプロット作りをしていた。
コーヒーや水をたくさん飲んでいたらもよおしたのでトイレに行って用を足したあと、熱心に手を洗っていた。
そのカフェの男子トイレはドアの目の前が洗面台となっているのだが、私が手を洗っている最中に一人の客がトイレに入ろうとドアを開けた。
が、入らずにすぐに閉めたのだ。
ようは私が洗面台で手を洗っていたので、トイレに入るスペースがなかったのだろう。
自分のせいで用を足すことが先延ばしになってしまった人は恐らく外で待っていると思ったので、会釈だけでもしようと思い、私は外を出て、待っている男の顔を見たら、何と中村文則だった。

あなたは知ってるだろうか?
ノワール小説への貢献でアメリカでも評価され、日本でも多くの純文学の賞を受賞している文豪だ。
親友はピースの又吉直樹。
代表作は『教団X』『去年の冬、きみと別れ』『銃』など。

一緒に写真を撮りたかった。
本作はこんな奇跡の連続による物語だ。

自称元競輪選手のギン、元ドラァグ・クイーンのハナ、家出少女のミユキは真冬の新宿でホームレス生活を送っていた。クリスマスの夜、ハナがミユキへのクリスマスプレゼントを探しに行くため、ゴミ捨て場に行くと、捨てられた赤ちゃんを見つける。ずっと子供の欲しかったハナはクリスマスにちなんで「清子」と名付ける。二人は育てると言い張るハナを説得し、翌日、三人で清子の親を探すことに。

今敏監督3作目となる今作。
前作の『千年女優』が死ぬほどハマれなかったので、今作は正直そんなに期待していなかった。
が、思った以上に楽しめたので良かった。

物語はキャラクターの変化や成長を描くものだ。
それを踏まえて、ダメな奴が子供を拾ってしまうという設定が興味深い。
ホームレスという、社会的弱者で不衛生で食い物もろくに手に入れられない連中であろうとも、子供を手にしたら見殺しになんてできない。つまり、強制的に成長せざるを得ない流れだ。

更に3人は子供の親を探す流れになるのだが、赤ちゃんが持っていたカギでコインロッカーを開けると、なんと中から食い物やら酒やら服やらが出てくる。
この手のサバイバル感はめちゃくちゃそそられる。
舞台が真冬ということもあるので、妙に生存本能が刺激されてしまった。

この映画で最も印象的だったのが、奇跡(ご都合主義)のみで問題解決していくというもの。
映画文法に逆らった作りだが、これはこれで面白い。
本来フィクションの物語では、奇跡で問題が解決してしまったら、観客はリアリティを感じられずに白けてしまう。
例えば愛する人が難病で苦しんでいたら、何の脈絡もなく奇跡的に治ってしまったり、
貧乏で食い物に苦しむ男の元になぜか奇跡的に金が空から降ってきたりなど。
「君の名は。」こういった奇跡の展開の連続が多く、批判の対象となっていたりもした。

この映画は「奇跡のみで展開させていくからよろしく」と言わんばかりに奇跡のみで立ちはだかる壁を突破していくので、観客は「次はどんな奇跡が起こるんだ」と期待しながら見ることになる。
もちろん主人公らは能動的に動いているので、この流れを割と受け入れやすい工夫もされている。

映画文法に逆らっているのはこれだけではなく、3人組がホームレスといった華のなさもそう。
臭いがひどい描写もあり、そういった連中を主人公として設定するのもなかなか挑戦的である。
これによって物語に入り込みづらい人も多そう。が、それぞれキャラクターは立っており、見続けると愛着が湧いてくるので安心してもらいたい。
特にクールな少女・ミユキがピンチのときに見せる顔芸は笑わせられた。

今敏作品はこのブログでは三作レビューしており、彼は天の邪鬼というか、従来のものに逆らって映画作りを行う傾向にある。その結果、クセの強い映画が多い。
よって好みは別れるだろう。
三作品の中で万人ウケする作品は本作くらい。それでも曲者ではあるが。

『PERFECT BLUE』と『千年女優』の前二作は妄想と現実の境界線があいまいにしており、観客は混乱させられるような内容だ。
そういった意味でも本作はリアリズムドラマとなっていて非常に見やすい。
彼が生前手がけた最後の作品『パプリカ』だけはまだ観れていないので、いずれレビューしたいところ。

本作のテーマは「繋がり」。
この主人公ら3人は疑似家族のような体裁を取っており、3人共「家族」が琴線となっている。
子供の親を探す過程で、彼らは自身が持つ過去とどのように向き合っていくのかを観て楽しんでもらいたい。

東京ゴッドファーザーズの作品情報

■監督:今敏
■出演者:江守徹 梅垣義明 岡本綾
■Wikipedia:東京ゴッドファーザーズ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):90%
AUDIENCE SCORE(観客):91%

東京ゴッドファーザーズを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年10月現在

東京ゴッドファーザーズと関連性の高いおすすめ映画

東京ゴッドファーザーズの裏ジャンルである【金の羊毛】に分類される映画。

『101匹わんちゃん』★★★★☆4
ロンドンの郊外に住む作曲家・ロジャーの飼い犬ポンゴが本作の主人公。ある日、ポンゴは退屈凌ぎにロジャーの伴侶を探して窓から町を眺めていた。すると、パーディタというメス犬とその主人のアニータに一目惚れ。すぐにロジャーを散歩に連れ出して彼女らと接触し、無事二人は結婚することとなる。新居に引っ越すと同時に、パーディタは15匹の子どもを産む。そこにアニータの旧友にクルエラがやってきて、子犬を強引に購入しようとするが……。

絵画のような絵のタッチが美しいし、ワンワンたちも個性的で可愛い。
ディズニーアニメではトップクラスに魅力的。

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年10月現在

-②金の羊毛

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。