映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑨組織のなかで

映画『ボーダー 二つの世界』ネタバレなしの感想。北欧ならではの神秘的なストーリーに魅了される

投稿日:10月 16, 2019 更新日:

■評価:★★★☆☆3.5

「マイノリティとしての生き方が問われる」

【映画】ボーダー 二つの世界のネタバレなしのレビュー、批評、評価

この映画を語る上で欠かせないのが『ぼくのエリ 200歳の少女』。
タイトルを観て察するだろうが、主人公の少年が恋する少女はふつうの人間ではない。
豊かなアイディアから作られたストーリーは、一度観たら忘れられない個性的なもので、世間の評価もかなり高い。(福山雅治も好きらしい)
2008年公開でわりと最近の映画だが、なぜか2010年でハリウッドでもリメイクされているので、こちらも一度は観てみたいところ。

日本では内容よりも修正に関しての話題を集めている気がする。
この映画、ポルノじゃない芸術作品に関わらず、ある場面でモザイクがかかっている。
このモザイクがかかっているシーンこそ物語の核心部分を語っており、観た人から批判を集める結果となった。

児童ポルノとして見られることを避けるための措置なんだろう。
だが、あくまで映画だし、映画として鑑賞を楽しみにしている人の気持ちを無視されているのはやっぱり気になるところ。映倫とか、JASRACのような審査する側の人間の共感性のなさってどうなんだろうか。

一応、海外版のソフトの無修正キャプチャー画像をアップしているサイトはいくつかあるので、検索すれば簡単に確認することはできる。
本作は『ぼくのエリ』と同じスウェーデンの小説家ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストの原作『Border』の映像化作品となっている。

スウェーデンに住む異形な見た目のティーナは子どもの頃からイジメに遭い、孤独な人生を送っていた。そんな彼女は異常発達した嗅覚を持っており、税関職員として違法な物を持ち込む人間をかぎわけることで特技を生かして社会に順応していた。ある日、勤務中に自分と似た姿の旅行者・ヴォーレと出会う。本能的に何かを感じたティーナは彼を自宅に招く。ティーナは彼から自身の出生に関わる秘密を聞かされ、運命が動き出す。

ちょっと普通の人とは違う見た目を持つ女性が主人公。
異常発達をした嗅覚を生かして税関職員として働くあたりは何だかリアルでいい。特殊能力がうまく日常に溶け込んでいる。
何なら違法ポルノ動画が入ったSDカードまで匂いで分かってしまうのだから驚きである。
これに関してはちょっとした意味を含んでおり、ネタバレしたくないので伏せておく。

他にも彼女はやたらと動物が寄せつけたりするのだが、犬には威嚇されたりする。
なぜ犬にだけ嫌われるのか。
こういったティーナが持つ多くの特徴が序盤から提示され、「彼女は人間ではない動物か何かなのか?」などと観客は仮説立てしながら物語を追うことになる。

そんな中で満を持して登場するのが、自分と似たような見た目のヴォーレだ。
この男の掴みどころがない感じが良い。
ふてぶてしい感じではあるが、根っからの悪人には見えない。ティーナにもどちらかというと好意的だ。

ヴォーレが登場してからは、一気に物語に吸い込まれるように没入することなる。
中盤に差し掛かる辺りで、ティーナの出生の秘密が明かされることで多くの点が繋がって線となり、ヒューマンドラマへとシフトする。

この物語、結論としては割と普遍的なストーリーだ。若干の物足りなさもある。
テーマが最近でもよく見かける「マイノリティ」なので、いくつかある雛形の1つをなぞっているといった印象。
異世界系のゲーム等でもこの展開はよく見られ、私は昔っからRPGを良くやっているのだが、パッと思い返しただけで2~3タイトルが浮かぶ。
なので、ストーリーに既視感を覚える人は多いように思われる。
というか彼女の出生の謎が判明した段階で先の展開はおよそ検討がついてしまう。
心が激しく動かされることはなかったので、個人的にはもっと大胆なストーリーを見せて欲しかったところ。

あと、ティーナの見た目を嫌悪する人間の描写をもっと多くした方が良かった。
スーパーですれ違う客に凝視されたりなどといった軽いものしか見られなかったので、もう少し強めの迫害描写があった方が後半の展開に生かされる。

ただ日本で生まれることのないタイプのユニークな設定なので、そこは斬新で良い。
クリエイティビィティが刺激されることは間違いない。
観て損するタイプのものではないので、あなたが関心があれば劇場に足を運ぶといい。
謎解き要素が強いのでネタバレなしで語るとしたら、この辺りが限度だろう。

自然描写はすごく良かった。
グランドカバーだかコケだかが地面に敷き詰められた緑にあふれた森は観ていて心地いい。
映像からマイナスイオンを感じて都会に毒された心がキレイになった。

ボーダー 二つの世界の作品情報

■監督:アリ・アッバシ
■出演者:エヴァ・メランデル エーロ・ミロノフ
■公式サイト:こちら
■Wikipedia:ボーダー 二つの世界
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):97%
AUDIENCE SCORE(観客):76%

ボーダー 二つの世界を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年10月現在

ボーダー 二つの世界と関連性の高いおすすめ映画

ボーダー 二つの世界の裏ジャンルである【組織のなかで】に分類される映画。

『レッド・スパロー』★★★★☆4
才能と美貌を併せ持ったロシアのバレリーナ・ドミニカは、演技中にパートナーとの接触事故を起こしてケガをしてしまい、演技者としての道を閉ざされてしまう。退院後、失意の中でかつてのパートナーの裏切り行為を知ったドミニカは復讐に走る。そんな彼女の別の才能を見出したロシア政府に勤める叔父ワーニャは巧みに追い詰め、スパロー(女スパイ)としてスカウトする。病気がちの母を助けるため、金が必要だったドミニカは仕方なく引き受けることに。

細部が妙にリアルなんだが、これは原作者ジェイソン・マシューズがもともとCIAの職員で、ロシアのスパイ事情に詳しいことに起因している。
女スパイということで性描写がありつつも、むごい拷問シーンも見られるので、ハードな描写が苦手なら注意。
その分スリリングでめちゃくちゃ面白い。
ジェニファー・ローレンスの女優魂を見せつけるような体当たり演技の数々には見所抜群だ。

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年10月現在

-⑨組織のなかで

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。