映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

③魔法のランプ

映画『リトル・マーメイド』ネタバレなしの感想。残酷な結末

投稿日:

■評価:★★★☆☆3

「人魚姫が人間の王子様に恋をしてしまう」

【映画】リトル・マーメイドのネタバレなしのレビュー、批評、評価

いわゆる異種婚姻譚で、人間と人外が恋愛する物語だ。
このコンセプトの物語は多く存在していて、有名どころで言うと『シェイプ・オブ・ウォーター』『美女と野獣』あたりが挙げられる。

だが、この映画の結末は強烈な違和感を残してくれた。
果たしてこんな終わり方で本当にいいのだろうか。

海底の世界・アトランティカに住む16歳の人魚姫・アリエルは地上世界に憧れていた。父王・トリトンは陸の世界や人間を良く思っておらず、人魚たちには地上に関わることを禁止していた。しかしアリエルは、沈没船から集めた宝物を秘密基地に集めてコレクションすることに夢中になっていた。ある日、彼女は航海していた船に乗っていた人間の王子・エリックに一目惚れしてしまう。

印象的だったのか、アリエルが王子エリックに近付くための手段の意外性だ。
あまりの大きなものを代償として彼と近づこうとしており、今のフェミニズムよろしくなご時世では考えられない選択となっている。一周回って新鮮味を覚えた。
今度実写化されるとのことだが、この辺りも改変なくそのまま行うのか注目したい。

最近では実写版『アラジン』で、プリンセスであるジャスミンは父王に反抗する動機がアニメ版から大胆に改変されている。
王女であるジャスミンは自分の意志に反して父に他国の王子とお見合いさせられたりと、自由をはく奪されていた。
しかし彼女は盗賊のアラジンに恋して、彼との結婚を望むようになる。
これがアニメ版だが、実写版では自由を望む動機が『結婚』から『王国を継いで王女になること』に変えられている。
女性の幸せ=結婚といった旧時代的な考えの排除、つまり昨今のフェミニズムに基づいたキャラとなっている。

もしかしたら実写版『リトル・マーメイド』は、アリエルの行動の動機は王子に近づくためではなく、地上で何かをするため、といったものに変更されるかもしれない。
結果的に王子と一緒になる、といった流れになりそうだ。

あと、ものすごく細かいことだが、触感というか柔かさを表現することに注力している印象を受ける。
これはディズニー映画を観ていて前から思っていたことでもある。

子供って角ばったものや尖ったものより丸いものを好む。
アンパンマンなどの子供に人気のキャラクターが丸っこいのはそういう理由から。
柔らかいものをより柔らかく見せて、潜在的に子供に安心感や親近感を与えているのだろう。
子供じゃない私ですら、柔かさを表現する描写の数々に心地いい気持ちになってしまった。

アニメーションの演出面はさすがといった感じで、特にミュージカルシーンは素晴らしかった。
アリエルはちょっといろいろあって、王子とキスしないといけない展開となっているのだが、なかなか手を出してこない王子をその気にするため、動物達が朗らかに歌い出すシーンがある。
様々な動物たちが雰囲気作りのために歌や演奏でBGMを奏でるのだ。王子よりも私が盛り上がってしまった。
特にオールにくっついたカエルたちはかわいい。
こういった演出はディズニーならではのクオリティの高さで、観ているだけでテンションが上がってしまう。
キスするチャンスがあるのになかなかしない王子にはやきもきさせられるが。

キャラクターの魅力には乏しいかなといった印象。
他のディズニーアニメにも言えるのだが、多面性がないのでキャラそのものに深みはない。
キャラのいろんな面を描いたところで子供の理解には及ばなかったり、複雑になって混乱させてしまう可能性を踏まえて、分かりやすいキャラ造形を意識していると思われる。

それとちょっと面白いエピソードがある。
『ズートピア』というディズニーアニメにはミステリー要素があり、最後に犯人が明かされる。

なんと、私の姪っ子(当時5歳)は犯人を知ったときにひどく怖がってしまって、しばらくこの映画を観られなくなったそう。
普通のキャラが実は悪人だった、ということがわかって、ちょっとビックリしてしまったのだろう。

正直、シナリオのぬるさも感じたが、あまりに刺激が強いと姪っ子のように子どもが拒否反応を示してしまう可能性があるので、感情を強く揺さぶるキャラクターや起伏の激しい展開は控えめにしているのだと思われる。
その分演出がずば抜けて魅力的なので、何となく見れてしまうもの。

ただし、最後まで観て思ったのだが、人魚であるということを呪いのように扱っているところは気になった。
黒人は白人にならないと幸せになれないのだろうか?
人魚をアイデンティティとして捉えていないことには違和感を覚えるし、子供が観たらこれって納得するのだろうか。
甚だ疑問を感じてしまう幕閉じとなった。

リトル・マーメイドの作品情報

■監督:ジョン・マスカー ロン・クレメンツ
■出演者:アリエル(すずきまゆみ) エリック(井上和彦) セバスチャン(上條恒彦)
■Wikipedia:リトル・マーメイド
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):93%
AUDIENCE SCORE(観客):88%

リトル・マーメイドを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年10月現在

リトル・マーメイドと関連性の高いおすすめ映画

リトル・マーメイドの裏ジャンルである【魔法のランプ】に分類される映画。

『第9地区』★★★☆☆3.5
1982年、南アフリカ共和国のヨハネスブルク上空に突如宇宙船が姿を現した。上空で静止している宇宙船に人類は侵入し、調査を行う。そこには宇宙船の故障により、難民となった大量のエイリアンがいた。人類はエイリアンたちを地上に移し、隔離地区である「第9地区」で管理しながら生活させることに。

凄まじくユニークなストーリーで、公開当時は映画ファンの中では話題沸騰となっていた。
しかもかなり違和感を残してくれる終わり方を見せるのが憎い。
続編の噂もあるので、ぜひとも続きを作ってもらいたいところ。

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:-
※2019年10月現在

-③魔法のランプ

執筆者:

名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。