映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

①家のなかのモンスター

映画『ウトヤ島、7月22日』ネタバレなしの感想。死ぬほどつまらない理由

投稿日:10月 31, 2019 更新日:

■評価:★☆☆☆☆1.5

「ウトヤ島銃乱射事件を72分のワンカットで描く」

【映画】ウトヤ島、7月22日のネタバレなしのレビュー、批評、評価

本作は2011年7月22日にノルウェーの首都オスロ、およびウトヤ島で発生した連続テロ事件『ノルウェー連続テロ事件』をワンカットで描いている。
犯人は極右思想を持つ、キリスト教原理主義者のアンネシュ・ブレイビク(当時32歳)で、政府庁舎爆破事件で8人、ウトヤ島での銃乱射事件ではなんと69人の命を奪っており、単独犯行では今のところ世界最大規模とのこと。

イスラム教・移民・多文化主義・マルクス主義を憎悪しており、事件の2年前から移民受け入れを推進する労働党へのテロ計画を練っていた。
事件当時のウトヤ島ではノルウェー労働党青年部の集会が行われており、10代の連中が約700人集まっていたそう。

個人的に保守派は拘りが強いので恐い。
柔軟性に乏しく、何かと溜め込んで爆発するタイプが多い。

ちなみにノルウェーには死刑制度はなく、今現在も彼はオスロの刑務所で服役している。
彼は刑務所内で利用できるテレビゲーム機を「PlayStation 2からPlayStation 3へ変更し、面白いゲームソフトを与えよ」と待遇処置を求めている。何だそれ。お仕置きとしてファミリーコンピュータを与えてやったらいい。

裁判では禁錮最低10年、最高21年の判決が出ている。
あと10年ちょっとでシャバに出てくるということになるが、多くの遺族は彼の出所に何を思うのか。

政治に関心のある数百人の若者がウトヤ島のサマーキャンプに参加していた。仲間たちと楽しく語り合っていると、突如として銃声が鳴り響いた。何が起きているのかわからないまま、少女カヤは離ればなれになった妹エミリアを探し始める。

結論からいうとこの映画、ひどい出来栄えだ。
実在の事件を扱う重責を担っているにも関わらず、よくこのクオリティで劇場公開に踏み切ったと思う。

そもそも序盤の会話劇から退屈である。
ウトヤ島にいる連中の間では、本土での爆発事件についての話題で持ちきりとなっている。
最初に犯人が起こした政府庁舎爆破事件を指すのだが、この時点ではまだ情報が乏しく、ウトヤ島の連中には断片的なことしか伝わってない。

そのためテロだのイスラム国がやっただのと、想像のみで彼らは会話をしている。
これが地味に長くて不毛としか思えない。

何らかの情報源があるなら、それを探るといったストーリー展開が期待できる。
が、想像で会話されても何の展開も見込めないので、観ていてなかなか退屈。
タランティーノのようにユーモア混じりの無駄話ならいいが、そういうわけでもない。

そして物語は本題に入る。
突如として、主人公らの目の前をキャンプ参加者の何人かが悲鳴を上げて駆け抜ける。
彼らに追随して、みんな施設に逃げ込む。直後、外から銃声が鳴り響く。
何が起きているのかまったく理解できず、緊張が高まる。

この時点では先の展開を期待させてくれたのだが、その後はずっと退屈である。
あとはひたすら、主人公が銃声がとどろく中で妹を探す姿が映される。

ワンカットということで臨場感はあるんだけど、代償として間延びするシーンが多い。
そのため、想像以上に観るのがしんどい。
スリラー演出も見えない犯人が発砲する銃声と、逃げる人を見せる2パターンがほとんど。
早々に飽きてしまう。

そもそも撃てば人は減るし、みんな犯人から逃げるため、物理的に犯人が撃つ頻度は減ってくはず。
それなのに頻度が減ることなく銃声が聞こえてくるのは違和感でしかない。
後半は緊張感よりも睡魔との闘いである。

ワンカットで撮ることのデメリットが全部出てしまった悪い例といった感じ。
物語性もないし、キャラの深掘りもできてない。

監督は、一体何のためにこの映画を撮ったのだろうか。
いくらなんでも映画としてのクオリティが低すぎる。見所が何一つない。

舐められた感じである。
あなたがこの映画に関心があったのなら観てもいいと思うが、時間の無駄になることは伝えておく。
こんなのを見せられて観客に何を思えというのか。

ボーンシリーズのポール・グリーングラス監督が同じ題材を『7月22日』というタイトルで映画化しており、こちらの方が興味深い。
ノルウェー連続テロ事件の余波を描いたドラマ映画となっていて、いずれ視聴して感想記事をアップしたいところ。

ワンカットが優れた作品はコチラ。

■1917 命をかけた伝令

ウトヤ島、7月22日の作品情報

■監督:エリック・ ポッペ
■出演者:アンドレア・バーンツェン エリ・リアノン・ミュラー・オズボーン
■Wikipedia:ウトヤ島、7月22日
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):83%
AUDIENCE SCORE(観客):68%

ウトヤ島、7月22日を見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年11月現在

ウトヤ島、7月22日と関連性の高いおすすめ映画

ウトヤ島、7月22日の裏ジャンルである【家のなかのモンスター】に分類される映画。

『冷たい熱帯魚』★★★★☆4
社本信行は死別した前妻の娘と再婚した妻、折り合いの悪い二人に挟まれながら小さな熱帯魚店を経営していた。波風の立たないように静かに暮らすことを望む彼は、家族との確執から目を逸らし続けていた。ある日、娘が万引きをしてしまう。呼び出されて向かった先のスーパーの店長は懇意のある村田という謎の男の懇願によって、社本親子を許すことに。そんな出来事がきっかけで、社本一家と大型熱帯魚店を経営する村田夫婦との交流が始まるのだが……。

こちらも実際に起こった事件「埼玉愛犬家連続殺人事件」をモチーフとしたスリラー映画。
園子温は当たり外れの多い映画監督ではあるが、本作は当たりの部類となっている。
役者陣の演技もすばらしく、特に村田扮するでんでんの怪演はおみごととしか言いようがない。
あと村田の奥さんの行動原理が面白い。彼女は強者にしがみつく人間性を持っている。

R18+に指定されており、凄惨な描写が続くのでグロ耐性がない場合はスルーすることをおすすめする。

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(有料)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:○(見放題)
※2019年11月現在

-①家のなかのモンスター

執筆者:

名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。