映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑩スーパーヒーロー

映画『映画 賭ケグルイ』ネタバレなしの感想。驚愕のシナリオ

投稿日:

■評価:★★★★☆4

「ドラマ未見でも観るべき傑作エンターテイメント」

【映画】映画 賭ケグルイのネタバレなしのレビュー、批評、評価

観る価値のある映画の基準というのは人それぞれ持っているだろう。
「元気が出る映画」
「ハッピーエンドで幸せな気持ちにさせてくれる映画」
「美しい世界観で現実逃避させてくれるような映画」

私は上記のような映画も好きで価値を感じるのだが、この中に1つ追加したい種類のものがある。
それが「想像力を掻きたててくれる映画」

もしあなたが物作りが好きであれば共感できると思う。
クリエイティビティにあふれた映画に触れると、自分の想像力の限界を突破してくれるような感覚に陥る。
その瞬間がとても快感で、私にとって非常に価値を感じる。

『映画 賭ケグルイ』はまさにその種類の1つで、人の先入観を見事に裏切ってくれている。
最近観た映画でいうと『翔んで埼玉』もそう。
こんなストーリー良く思いついたものだ。思いついたとしても作品にしようと思わないのがふつうである。

他にも「search/サーチ」のような新しさを強く感じさせる映画も該当する。

映画以外でパッと浮かぶのが島田荘司著「斜め屋敷の犯罪」というタイトルの小説だ。
これは凄かった。
中身には触れないので、関心があったらぜひ読んでもらいたい。
すべてが明かされたときには、「ウソでしょ」と思わず声に出さずにはいられない大胆な仕掛けに茫然である。
人間の想像力の豊かさにビックリさせられた一作だ。

創立122年を迎える私立百花王学園は上級国民が数多く通っている名門校。だが、この学校は天性のギャンブルの才を持つ生徒会長・桃喰綺羅莉(ももばみきらり)のもと、生徒同士のギャンブルによる階級に支配されていた。ある日、そこに蛇喰夢子(じゃばみゆめこ)が転校してくる。おっとりとした少女に見える彼女は生粋のギャンブル狂・賭ケグルイの顔を持っており、桃喰綺羅莉との対決を心待ちにしていた。そこに現れた”非ギャンブル・生徒会への不服従”を掲げる白装束軍団・ヴィレッジが生徒会と対立する。組織を主宰する村雨天音は過去、桃喰綺羅莉とのギャンブルで勝利したことのある伝説の男だった。

この映画は、同名タイトルの漫画を原作としたシーズン1、2からなるドラマの続編となっている。
映画版は漫画原作者・河本ほむらが監修を務めるオリジナルストーリー。
私は原作とアニメを少しつまんだ程度でドラマは見ておらず、この映画でほぼ初見となる。それでもふつうに理解できるし楽しめた。
主人公である蛇喰夢子のキャラの説明はないが、凄そうなやつ感は漂っているのでこの辺りも問題なし。

物語は生徒会、生徒会に不服従を示すヴィレッジ、どこにも属さない主人公の蛇喰夢子含む生徒たちの三つ巴となる。
だが、序盤は早々に引っかかる。
賭ケグルイの舞台はギャンブルありきの学校で、生徒会は支配階級の頂点に君臨する絶対的存在だ。
なのにそのギャンブル、および生徒会を否定するヴィレッジは存在できないだろ、っていうツッコミが生まれる。
そんなにギャンブルしたくなかったら学校を辞めたらいい。
もしヴィレッジの存在を有効にするのであれば、孤島に学校が存在していて学校から逃げられないとか、世界観を根底から作り直す必要がある。

案の上、彼等は生徒会によって学校から追放されかかってしまい、仕方なくギャンブルイベントに参加させられるというお粗末な流れとなる。
もう少し設定を作り込んで欲しかったところ。

この手の漫画原作、およびぶっ飛んだ世界観の作品を観るとき、観客は自分のIQを下げて乗ってあげる必要がある。
なので、ちょっとのシナリオの穴はスルーしてやる必要があるのだが、それを踏まえてもヴィレッジの存在は滑稽に見えてしまった。

そんな先行きの不安を抱きながら、物語は本題のギャンブルへと突入する。
一戦目の【票争奪ジャンケン】のルールは以下の通り。
・3種類のジャンケンのカードを使って、勝てば相手のカードを手にできる
・10分で20枚のカードを集めたら抜け出せる

ほぼカイジの限定ジャンケンである。
正直見応えはなかったが、次に行われるギャンブルが実に興味深い。

デュアルクラッシュポーカーというゲームで場にいる4人全員に1~7、ジョーカーが配られる。
1ターンごとに1枚ずつカードを出して一斉に見せ、最も大きい数字を出したプレイヤーの勝利となる。
今回のギャンブルイベントはペアでの戦いなので、最終的に多く勝利したペアの勝ちとなる。

ルールはシンプルだが、ペア同士話し合いが出来ない。
さらにこのゲームの様子を観戦している生徒は、どちらが勝つか投票しないといけない。
プレイヤーはポーカーの勝利数と投票率をかけた数字がポイントとなる。

Aペア:ポーカー3勝×投票率63%→189ポイント
Bペア:ポーカー1勝×投票率37%→37ポイント

Aペアの勝利、といった感じ。
つまり、プレイヤーがコントロールできる要素が少ないので、勝負の行方が読めない。
いったい蛇喰夢子はどのように戦うのか。
思わず見入ってしまう展開だ。

蛇喰夢子に扮した浜辺美波の人を食ったような表情はすごく良かった。
彼女はあまりに見た目が整いすぎていて、外の登場人物と比べると無個性。
ある意味、女優としては残念なルックスだと思ってしまったが、それは間違いだった。
無個性ということは、逆を言えば何にでもなれるということ。

見事に彼女はいろんな面を見せてくれた。
個性的なキャラが結集するこの映画の主人公は彼女以外ありえないと思えるくらいに。

蛇喰夢子はつかみどころのないキャラで、時折意味深な行動を見せる。
さらにゲームの裏でもちょっとしたトラブルがあるので先の展開が予測不能。
ゲームが始まってからは、かなりのめり込んで観てしまった。

蛇喰夢子とペアを組む男・鈴井涼太には笑わさせられた。
彼はギャンブル狂が集まる戦いの中で、唯一ふつうの人間だ。彼のリアクションが面白くて何度も声を出して笑ってしまった。
果たしてどんな試合展開となり、どんな結末を迎えるのか。

タイトルにある【驚愕のシナリオ】については、今のところ触れていない。
本当はなぜすごいのか理由等を語りたいんだが、少しでも触れてしまうと面白さが削がれてしまうので何も言うつもりはない。
あなたの目で確かめてもらいたい。

ヴィレッジの存在に引っかかりを覚えた序盤を、中盤以降で見事に覆してくれた。
ストーリー的にはドラマの続編という形だが、未見でも観るべき傑作となっている。
見逃すにはあまりに機会損失な一本。

というかこれ、賭ケグルイでやらない方が良かった気がする。
オリジナル脚本による映画として作って売りだした方が賭ケグルイファン以外の普通の層にアプローチしやすくなるので、興行的に良かった可能性すら感じさせられる。

ある意味ドラマの続編にはふさわしくない良く出来すぎたシナリオだ。

映画 賭ケグルイの作品情報

■監督:英勉
■出演者:浜辺美波 高杉真宙 宮沢氷魚 福原遥 池田エライザ 森川葵
■Wikipedia:賭ケグルイ

映画 賭ケグルイを見れる配信サイト

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TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年11月現在

映画 賭ケグルイと関連性の高いおすすめ映画

映画 賭ケグルイの裏ジャンルである【スーパーヒーロー】に分類される映画。

『カイジ 動物世界』★★★★☆4
定職に就かず、自堕落な日々を過ごしていたカイジはある日、友人に騙されて多額の借金を背負ってしまう。負債者に「借金一括返済のチャンスを与えてやる」と言われ、ギャンブル船『デスティニー号』への搭乗を決意する。そこでは【限定ジャンケン】と呼ばれる12枚のカードを使ったゲームが行われ、勝てば大金を獲得できるが、負けたら命の保障はない。ゲームが始まると、カイジに一人の男が近寄ってきて、ある提案をされるが……。

『映画 賭ケグルイ』に出てきてた【票争奪ジャンケン】の本家とも言える【限定ジャンケン】の面白さが堪能できる一本。
謎のピエロが出てきたり、動物世界という謎のサブタイトルに困惑されながらも、カイジの本質であるギャンブルの面白さはしっかり描かれているので、安心して観ていい。
日本でもカイジは藤原竜也主演で複数本映画化されており、1作目で限定ジャンケンを扱っている。
残念ながら面白さは『カイジ 動物世界』に軍配が上がる。それも圧倒的に。

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(DVD)
TSUTAYA TV:-
Netflix:○(見放題)
※2019年11月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。