映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『若おかみは小学生!』ネタバレなしの感想。両親をなくした少女が旅館の若おかみになる

投稿日:

■評価:★★★★☆4

「人をもてなすことで何が生まれるのか」

【映画】若おかみは小学生!のネタバレなしのレビュー、批評、評価

人をもてなす・楽しませる、というのは大変なこと。
ただ、こういった行為はすべての人に推奨していきたい。
人に尽くすことは自身の療養にもつながる。
尽くすことで相手は喜び、そういった姿を見て自分も幸せな気持ちになれる。

以前、千原ジュニアが「芸人はクスリに走る人は少ない」とTVで言っていた。
「舞台で大勢の人を笑かす快感はクスリにも勝るから」といった理由に物凄く納得してしまった。(田代ま●しを除く)

とはいえ、自分の精神が傾いているときに人に尽くすというのは辛いものがある。
私も経験はあるし、今でもたまにそういった状況に追いやられる。
この時ほど辛いものはない。 思わず「誰かに助けてもらいたい」と強く願ってしまう。

でも、人に求めても思い通りにならないことが多い。結果的にイライラしてしまい、精神状態は悪化する。
こういうときこそ踏んばって人に与え続けなければいけない。いつか見てくれる人がいるから。そんな人に出会ったらすべてが報われた気持ちになれるから、そう感じれるその時まで与え続ける。

本作の主人公・おっこは小学生の女の子。
この年齢の子にとって生命線である両親が天に召されるという絶体絶命の状況下で、彼女は人をもてなすために奮闘する。

梅の香神社で行われた神楽を見物した帰り、おっこ一家は帰りの高速道路で交通事故に遭ってしまう。小学生の女の子・おっこは無傷で済んだが、両親は帰らぬ人となってしまう。母方の祖母・みねこが経営する春の屋旅館に引っ越してきたおっこは、ウリ坊と名乗る同じ年くらいの少年の幽霊が見えるようになり、仲良くなる。彼の提案で、おっこは旅館の若おかみになることを決意する。

思った以上にアニメーションが美麗でびっくりさせられる。
テレビアニメの劇場版なので、その程度のクオリティの延長くらいかと思っていたらかなりの高品質。
調べたら監督の高坂希太郎は宮崎駿の一番弟子とも言われていて、ジブリ作品の多くの原画や作画監督を担当していたとのこと。

早めに伝えておくがテレビアニメとの繋がりはなく、一作完結の独立した映画なので本作から観ても問題ない。

序盤から主人公・おっこに強烈な試練が訪れる。
美しい映像に主人公は小学生の女の子、といったポップな要素からは想像だにできない絶望。
この映画の対象層である小学生は、彼女が両親を失うというピンチを目の当たりにしたとき何を思うのか。
直接インタビューして聞いてみたいくらいだ。

その後、おっこは祖母に引き取られ、彼女が営む旅館に引っ越してくる。
都会育ちのおっこは虫が苦手だし、ひょんなことからその旅館の若おかみとして働くことにもなる。
彼女にとっては劇的な環境の変化に対応するのは大変だろう。
だが両親のいなくなった今は、目の前のことをやるしかない。
同情や共感が入り交じって、観客は自然と彼女を応援してしまう。

ただ、違和感が付きまとう。
彼女は思った以上にケロっとしているのだ。
普通の小学生くらいの年齢だったら、最愛の両親がいなくなったら無気力になってもおかしくはない。
なのにおっこは普通に学校にも通うし、旅館仕事も失敗しながらも文句一つ言うことなく奮闘する。
なぜなのか。

その後もおっこはライバルの子にバカにされたり、やっかいな客に翻弄されたり、彼女は現実的な困難と向き合いながらも精一杯に生きる。
中盤はわりとシンプルなシナリオで目立った起伏もない。
「こんなものか」なんてことを思いながら迎える終盤。

この展開は正直予想できなかった。
ほんともう、おっこをいじめないであげてほしい。
まるで自分の子供を見ているようで切なくなる。
彼女のこんな姿を見せられたら目頭を熱くしない観客はいない。

でも、おっこが旅館のおかみ業を通じて成長していく姿には魅了されるし、観終わったあとの満足度は大きい。
やっぱりおっこが頑張らざるを得ない状況であるのが良い。

例え、理不尽な困難に襲われたショックで家に引きこもったとしても何も生まれない。
最初の数日はいいかもしれない。
でも、いつかは前を向いて動き出さなければいけない。動くことで何かが変わる。
子供を持つ親が見たら泣きすぎて干からびてしまのではないか。
そのくらい激しく感情を動かされる内容となっている。

やけに世間からの評判が高かったり、アメリカの映画批評サイト「rotten tomatoes」のスコアが良かったりしてずっと気になっていたのだが、見て納得だ。
子供よりも、むしろ大人が見るべき傑作ドラマとなっている。
というか世の中、おっこより出来ていない大人のが多いだろう。

若おかみは小学生!の作品情報

■監督:高坂希太郎
■出演者:小林星蘭(おっこ) 松田颯水(ウリ坊)
■Wikipedia:若おかみは小学生!
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):100%
AUDIENCE SCORE(観客):89%

若おかみは小学生!を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年11月現在

若おかみは小学生!と関連性の高いおすすめ映画

若おかみは小学生!の裏ジャンルである【人生の節目】に分類される映画。

『魔女の宅急便』★★★★☆4
のどかな田舎町に住むキキは、魔女の血を受け継ぐ13歳の女の子。『魔女は13歳の満月の夜に、魔女のいない町で定住して修行する』という掟に従って魔法のホウキに乗って旅立ち、家を離れて海の見える街・コリコに住むように。しかし魔女になじみのない都会である街の住人は、キキに戸惑いの目を向けていた。

有名すぎる映画なのでここで取り上げるつもりはなかったのだが、類似性に関心を抱いてしまった。
魔女の宅急便で一番の印象に残る展開といったら、キキの魔法が喪失するところ。
しかも理由が明かされず、唐突に使えなくなってしまう。

言わずもがな、自律神経が乱れたことに起因する。
上記のジャケットにもこう書かれている。

「おちこんだりもしたけれど、わたしはげんきです 。 」

初めて家を離れ、初めて恋愛というものに触れ、初めて宅急便の仕事をする。
初めての連続で上手くいかずに精神が崩れてしまった。

『若おかみは小学生!』とは構成に多少の違いは見られるも、かなり似通った物語となっている。
旅館で客をもてなすおかみ業と、宅急便。
これらの仕事は、二人が壁を乗り越える上で重要な要素となる。

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年11月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
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小説家志望。
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長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。