映画の海

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②金の羊毛

映画『ファースト・マン』ネタバレなしの感想。史上初めて月面を歩いた宇宙飛行士ニール・アームストロングを描く

投稿日:

■評価:★★☆☆☆2.5

「ニール・アームストロングの真の葛藤とは何か」

【映画】ファースト・マンのネタバレなしのレビュー、批評、評価

1960年9月、ソ連は2匹の犬を乗せたスプートニク5号を宇宙に飛ばして帰還させることに成功する。
明けて1961年4月12日、ユーリイ・ガガーリンがボストーク1号に搭乗し、人類で初めて地球軌道を周回した宇宙飛行士となる。
彼が宇宙に行ったときに残した言葉が「地球は青かった」。

アメリカはソ連に対抗する形で多くの苦難を経て、月面に人間を着陸させるアポロ計画を成功させる。
1969年7月21日、人類で初めて月に降り立ったニール・アームストロングはその際に「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」といった言葉を残す。

本作は1957年から1975年にアメリカとソ連の間で行われていた宇宙開発競争を舞台とし、渦中の人物となるニール・アームストロングが月に行くまでを描いた伝記映画となっている。

ニール・アームストロングは新型機のテストパイロットをしていると、トラブルに巻き込まれ命からがら帰還する。空軍員に原因を尋ねられるが彼は無愛想に対応する。ニールには2歳になる娘のカレンがおり、彼女は脳腫瘍のため、精神的に不安定な状態だった。その後、ニールは治療法を探すが、努力は実らずに彼女は命を落としてしまう。このことがきっかけで彼はNASAの有人宇宙飛行計画「ジェミニ計画」に参加し、宇宙に行くことに執着するようになる。

ニール・アームストロングといったら日本人でも知らない人はいないくらいの有名人だ。
前置きにも書いた名言は英語の教材にも出てくるくらい。

一体どんな苦難を乗り越えて彼は月に行ったのか。
そういった興味を満たしてくれるだろうと思って、かなり期待して観た映画だが、結論から言うとそんなに面白くなかった。
一応人の生死には絡む物語なので、感情は多少はゆさぶられるのだが。
理由については後述する。

ニールは娘の命を失くしてしまったことで、半ばヤケクソな感じで危険な宇宙飛行士としての職務につく。
「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」
こういった言葉が先行しているので、てっきりもっと明るく、大いなる大義名分のもと月に行ったのかと思ったんだが、予想外の闇深い動機となっている。

劇中で何度も耳にすることになる「ジェミニ計画」と「アポロ計画」の違いについても解説したい。
この二つはNASAによる有人宇宙飛行計画の名称。

これまで月に行って帰ってくるためには宇宙船の機体が重いという問題があった。
そのため、まず宇宙に母船(司令・機械船)を飛ばし、付属の小型船(月着陸船)で月に行ったあとに戻って母船にドッキングして地球に帰還する、という計画を立てる。
宇宙空間で2機のドッキングを成功させるのが「ジェミニ計画」。
「アポロ計画」は周知の通り、月面着陸し、戻ってくることを指す。

話を映画に戻すが、ニールには新しい家族も増えたり、仲間が訓練の事故で亡くなったりするなかで、自分も搭乗する日が訪れる。
周りの人間が次々と命を落とすのは精神的に辛かっただろうな。
まるで映画『エイリアン』のようだ。
次々と人が命を奪われ、次はいつ自分の番が来るのか……といった恐怖に襲われる。

当然、ニールには妻もいるが、彼は彼女に心の内をあまり話すことはない。
この辺りの理由は不明。
もともと心を開くのが苦手な人間性の持ち主だと思われる。
結果的に奥さんの不満が爆発してしまう。
なぜ彼女もこんな男と結婚したのかは謎である。

果てしてここまでして月に行くことに何の意味があるのか?といった問題も投げかけられる。
結局のところ、宇宙開発の技術は軍事に転用できるのでソ連と競っていたわけだが、多くの宇宙飛行士の命や税金が失われているので、国民からしたらふざけんな、って話だ。
当時、アメリカは貧困だったので、世間の反発はかなり強かった様子。
1963年の頃のアポロ計画を支持したアメリカ人はわずか33%だったそう。

日本だって月に行くっていう理由で消費税20%になったらたまったものじゃない。
国民からしたら何のメリットもない。

月にいよいよ出発するってなったときにはアメリカのみならず世界中の関心を集めることになる。
NHKの調査では、日本では昼間となったアポロ11号の人類初の月面着陸のテレビ中継は視聴率、なんと91%に達したとのこと。(他局の中継含む)
むしろのこり9%は何してたんだって話だが。逆にここもまたドラマになりそう。

話を戻すが、この映画かなり退屈だった。
理由は明白で、ニール・アームストロングというキャラがあまりに平凡すぎる。
そもそも暗い男なので、人間的魅力に欠ける。

劇的なエピソードも当然あるわけじゃないので、鑑賞中は何度も集中力が途切れてしまった。
あくまでこの映画での話なので、実際のアームストロングがどうなのかはわからないが。
本格的に月に向かうのも終盤だし、せめてもっと尺を削って欲しかったところ。

何やかんや言ってみたが、月に降り立つシーンは圧巻に尽きる。
モノトーンの無機質な世界を360°ぐるっとカメラを回してくれるのは臨場感があって良かった。
映画のシナリオとしては微妙だが、この映像を観るためだけでもこの映画を観る価値はある。

ファースト・マンの作品情報

■監督:デイミアン・チャゼル
■出演者:ライアン・ゴズリング クレア・フォイ
■Wikipedia:ファースト・マン
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):87%
AUDIENCE SCORE(観客):67%

ファースト・マンを見れる配信サイト

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※2019年11月現在

ファースト・マンと関連性の高いおすすめ映画

ファースト・マンの裏ジャンルである【金の羊毛】に分類される映画。

『容疑者Xの献身』★★★★☆4
石神はかつては天才数学者として名を馳せていたが、家庭の事情で大学をやめ、高校教師となっていた。やりがいのない仕事にうんざりし、鬱屈した毎日を過ごしていた。そんな彼の住むアパートの隣に花岡母娘が引っ越してくる。毎朝元気よく挨拶をしてくれる彼女らに、彼は明日を生きる元気を貰っていた。弁当屋「美里」を営む花岡靖子は娘と二人暮らし。幸せな日々を送っていたが、ある日、彼女らのもとに元夫の富樫がやってきて尋金を無心する。口論の末、誤って靖子は彼の命を奪ってしまう。その一部始終を石神は見てしまっていた。

東野圭吾の同名タイトルの小説の映像化作品。
TVドラマのガリレオシリーズの劇場版だが、内容は独立しているのでこの作品から見ても問題はない。

石神というキャラクターがとてつもなく魅力的。
私が原作を読んだあとにこの映画を観たのだが、冒頭、堤真一に扮した石神が登場した瞬間に涙を流してしまった。
まぎれもなく東野圭吾最高傑作。
直木賞受賞も納得の一作。

原作もおすすめだし、かなり読みやすいので、小説に慣れていない人にも気楽に手に取ってもらいたい。こちら

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。