映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

④難題に直面した平凡な奴

映画『盲目のメロディ~インド式殺人狂騒曲~』ネタバレなしの感想。演奏技術の追及のために盲目を装ったピアニストが殺人現場を目撃してしまう

投稿日:11月 20, 2019 更新日:

■評価:★★★☆☆3

「踊りのないインド式スリラー映画」

【映画】盲目のメロディ~インド式殺人狂騒曲~のネタバレなしのレビュー、批評、評価

本作は、本当は目が見えるのに周囲にウソをついて盲目生活をするピアニストの話となっている。
つまり、ウソをテーマの一つとしており、同じテーマを扱う著名な映画がある。
それはアラジンだ。

アニメ版アラジンではオープニングで業者が魔法のランプの存在を説明するのだが、その際に観客を欺こうとウソをつく。
その目的は「この映画はウソで展開される物語ですよ」ということの示唆である。
実際に序盤からアラジンはジニーの魔法により、架空の国の国王と偽ってジャスミンに接している。

本作はどのようなウソが炸裂するのだろうか。

盲目のピアノスト・アーカーシュには誰にも言えない秘密がある。それは目が見えるということ。演奏技術の追及のために盲目を装った彼は、ひょんなことからソフィという女性と出会って恋に落ちる。ある日、アーカーシュの演奏を気に入った往年のスター・プラモードの依頼で彼の豪邸で妻のために演奏することに。当日、プラモード邸で彼の妻・シミーと彼女の浮気相手が彼の命を奪う現場を目撃してしまう。しかし盲目設定で日常生活を過ごしているアーカーシュは見てないフリをして演奏を続ける。

まさにハイコンセプトといった感じ。
盲目を偽る男が殺人現場を目撃してしまうといったストーリーはあまりに魅力的だし「一体どんなドタバタ展開を見せてくれるのか」と予告の段階で期待して劇場に足を運ぶことになった。

が、正直期待ハズレな内容である。
あまりにぶっ飛んだ設定なのでてっきりコメディ映画と思いきや、笑い演出がほとんどなく、マジメに展開されている。
オーバーな演技でちょいちょい笑いを狙ったようなシーンもあるんだが、ことごとくスベっていた。
劇場は半分くらい客が入っていたが、笑いは一切なし。
この設定で笑い声が一度も聞こえてこないのは逆にビックリである。(公式でもコメディ押し)

序盤から主人公がウソをついていることもあって、ウソによるどんでん返しの展開も期待させられる。
が、逆にウソによる騙し騙されの展開があまりに多すぎて中弛みを起こしてしまい、結果的に上映時間がかなり長く感じてしまった。
さすがにあの連続っぷりは一辺倒すぎる。もう少しバラエティに富んだ展開を見せて欲しかったところ。

とはいえ、読めない展開も多く、ところどころ楽しめるポイントはある。
主人公の近所に住む悪ガキがおり、やたらと彼にイタズラを仕掛けて来るので「いつかトラブルを運んでくるんじゃないか」っていうスリルがあるのは良い。
序盤の殺人現場を目撃してしまった際の立ち回りもそうだが、こういったスリリングな展開は面白く、ドキドキ感を覚えた箇所は結構多かった。
他にもこのような展開のフックとなる伏線が随所に張られているので「どのような形で回収されるのか」と想像しながら観客は先の展開を期待することとなる。

笑いのない140分という長尺は辛いものがあり、つまらない映画ではないがかなり物足りない。
この設定であればいくらでも面白おかしく作れるので、ハリウッドでも日本どこでもいいからリメイクしてもらいたい。
コメディ路線に振り切ったら絶対に面白くなる。

公式サイトに書かれていたのだが、主演のアーユシュマーンはなんとピアノの代役を使っていないらしく、1日4~6時間の練習を毎日こなしたとのこと。
劇中でのなかなか迫力のある演奏を披露していたので驚きである。
ちなみに本作の役者陣は演技は素晴らしく、ヒロインを演じた二人の女優さんもお見事だった。

盲目のメロディ~インド式殺人狂騒曲~の作品情報

■監督:シュリラーム・ラガヴァン
■出演者:アーユシュマーン・クラーナー タブー ラーディカー・アープテー
■Wikipedia:盲目のメロディ~インド式殺人狂騒曲~
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):100%
AUDIENCE SCORE(観客):92%

盲目のメロディ~インド式殺人狂騒曲~を見れる配信サイト

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Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年11月現在

盲目のメロディ~インド式殺人狂騒曲~と関連性の高いおすすめ映画

盲目のメロディ~インド式殺人狂騒曲~の裏ジャンルである【難題に直面した平凡な奴】に分類される映画。

『ブラインドネス』★★★☆☆3.5
ある日、運転中の日本人男性の目が突然見えなくなる。翌日、彼は眼科に行って診察してもらうが、医師にも原因を突き止めることができなかった。さらに翌日の朝、眼科医も失明してしまう。その後もつぎつぎと同じ症状が広がっていき、たった一人、眼科医の妻だけはなぜか失明を免れていた。政府は深刻な感染症と判断し、失明している人間を隔離する。眼科医の妻も失明を装って夫とともに収容所に入ることに。

本作も盲目を偽る物語で、ノーベル文学賞受賞作家・ジョゼ・サラマーゴによる原作小説『白の闇』の映画版。
『盲目のメロディ』と違って、人間誰しもが持つ悪意をあぶり出すような深刻なテーマを扱っている。
彼の他の著名な作品といったら、『複製された男』でこちらも映画化されており、記事にもしているので良かったら確認してもらいたい。なかなか見ごたえのあるミステリードラマとなっている。

U-NEXT:○(見放題)
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Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
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※2019年11月現在

-④難題に直面した平凡な奴

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。