映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑨組織のなかで

映画『小さな恋のうた』ネタバレなしの感想。モンパチの曲をモチーフとした沖縄が舞台の傑作青春バンド映画

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■評価:★★★★☆4

「沖縄で人気絶頂の高校生バンドのメンバーに悲劇が起きる」

【映画】小さな恋のうたのネタバレなしのレビュー、批評、評価

DAMカラオケランキングにおいて、平成で最も歌われた男性曲として堂々1位を誇るMONGOL800(以下モンパチ)の『小さな恋のうた』。
モンパチが社会現象になっていたころの私の年齢は20歳前後。年齢が大して変わらない彼らの曲を私はもちろん周りのみんなも聞いていたし、カラオケに行ったらモンパチの曲が1曲も流れないなんてことはない、ってくらいに人気があった。

青春期とぶつかっているということは、その曲を聞くだけで恋やら友情やら、多くの淡い思い出が蘇ることを意味する。
この映画を観ている最中はずっと目頭を熱くさせてしまった。
そして私のような思いで映画を見守ったオッサン、オバサンは全国に何百万人もいるだろう。

沖縄の小さな町。ここは日本とアメリカがフェンスで隔てられた二つの国が存在する。その町ではある高校生バンドが熱狂的な支持を集め、東京のレーベルからもスカウトを受けてプロデビューが決まっていた。ある日、二人のバンドメンバーに一台の車が突っ込み、それがきっかけでバンドがバラバラになってしまう。そこに現れた一曲の歌詞のない曲とフェンスの先の米軍基地に住む少女。これらが再びバンドに命を灯す。

公開前はモンパチの代表曲である「小さな恋のうた」をモチーフとした物語の映画を作る、といったコンセプトを聞いて大したことないんだろうなあ、と思って舐めていた。
いざ公開されるとSNSでは絶賛の嵐でビックリしたもの。
劇場で観る機会を逃したので、レンタル開始されてからすぐに観たが、思った以上に最高だった。

劇中ではモンパチの有名楽曲の数々が随所で主人公らのバンドによって演奏される。
「小さな恋のうた」を始めとする、モンパチの曲を彼らが作曲したことになっている設定も思いの外悪くない。ラブソングやノリのいい曲は高校生の彼らとのシンクロ率もかなり良い感じ。

モンパチを聴いたことのない人がこの映画を観ても問題なく楽しめる。
モンパチの曲はメロディも歌詞も申し分のないクオリティなので、世代じゃない人でも受け入れやすい。
というか、劇中で頻繁に演奏される「あなたに」や「小さな恋のうた」はCMなどで定期的に使われているので、馴染みはあるはず。

モンパチがブレイクするきっかけとなった『MESSAGE』というアルバムは、インディーズという狭い規模ながらも約280万枚売り上げている。
社会現象にもなった米津玄師の「Lemon」が2019年9月23日の時点で300万ダウンロード突破しているので、当時モンパチがどれだけ世間をにぎわせていたのかはイメージしやすいだろう。

映画に話を戻すが、ストーリーも素晴らしい。
何より熱いのが国境に分断され、幽閉された恋心を音楽で取り返そうとする構図。

沖縄にはアメリカ米軍基地があるのだが、そこは治外法権となっている。
日本の法律が適用されず、日本にありながら日本人も自由に出入りすることができない。
つまり、沖縄県内には日本とアメリカの国境が存在することになる。

そんな2つの国が存在する町で、主人公のメンバーの一人は金網に隔てられた先にいるリサというアメリカ人に恋をしている。
だが、オスプレイなどの問題もあり、米軍基地に対する沖縄県民のデモ隊がヒートアップしていて分断が進んでいる。

でも、若い彼らにはそんなの関係ない。
大人が勝手に揉めてるだけで、若い彼らはただ、恋心という本能で惹かれあっているだけにすぎない。
それを大人に邪魔されているだけである。

そういった分断から、バンドメンバーとリサを繋ごうとするのが音楽。
もちろんそれがモンパチの素晴らしい楽曲の数々なのでたまらない。
ライブシーンでは常に目頭が熱くなってしまった。
ボーカルを担当した主人公の男が結構いい声をしていて聴き心地もよかった。
今回の映画用にアレンジされている曲も素晴らしくて、観終わったあとはすぐにレコチョクでダウンロードしてしまった。

物語序盤でちょっとしたトラブルに見舞われるのだが、あるものがモンパチと一緒になるのはちょっと熱くなってしまった。
さらにバンドは、モンパチと違ったアプローチをしているのも新鮮で良い。
これらはネタバレになるので観て確かめて貰いたい。

こんな最高な青春映画はなかなかない。
いくらなんでも最高すぎる。

小さな恋のうたバンド MV「小さな恋のうた」

MVは上記のネタバレも含んでいるので、映画鑑賞後に観ることをおすすめする。
映画用の曲のアレンジはすべてモンパチが担当しており、ベースボーカルの上江冽清作が劇中に演奏される曲「SAYONARA DOLL」も作詞作曲している。

この映画をきっかけにまたモンパチの曲を聴き出してしまった。
きっとこれからも色んな形でモンパチの曲は演奏され、この先何十年もずっと聴き継がれていくだろう。そう願いたい。

小さな恋のうたの作品情報

■監督:橋本光二郎
■出演者:佐野勇斗 森永悠希 山田杏奈 眞栄田郷敦 鈴木仁 トミコクレア
■Wikipedia:小さな恋のうた

小さな恋のうたを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年11月現在

小さな恋のうたと関連性の高いおすすめ映画

小さな恋のうたの裏ジャンルである【組織のなかで】に分類される映画。

『ミスミソウ』★★★★☆4
半年前、父の都合で東京から田舎町・大津馬村に越してきた野咲春花は中学校で壮絶なイジメに遭っていた。家族に心配をかけないように隠して卒業まで残り2カ月を耐え抜こうとするが、暴力がエスカレートしていき、家族に気づかれてしまう。心配した両親は春花に登校しないように勧めるが、イジメっ子たちはついに春花の家を放火してしまう。両親は命を落とし、妹の祥子は大火傷を負って意識不明の重体となってしまう。

他人が存在しない町、横の繋がりが強固な田舎町が舞台。
R-15指定がかかっており、人体破壊が連続して描かれるので観る際は注意が必要。
しかし、バイオレンスのみに留まることなく、先の読めないストーリーが面白い。
豪雪の映像も美しいし、実は見所てんこもりの映画となっている。

U-NEXT:-
Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(見放題)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:-
※2019年11月現在

-⑨組織のなかで

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。