映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

②金の羊毛

映画『八仙飯店之人肉饅頭』ネタバレなしの感想。鑑賞厳禁

投稿日:12月 1, 2019 更新日:

■評価:★?

「現実の犯人は大した動機を持たない」

【映画】八仙飯店之人肉饅頭のネタバレなしのレビュー、批評、評価

『コンクリート』という映画を知っているだろうか。
映画ファンでも知っている人は少ないだろう。1988年(昭和63年)に発生した女子高生詰めコンクリート事件を映画化したもの。
ストーリーはなく、ただひたすら誘拐した女子高生をリンチするだけといった最悪の内容で、一体何のために映像化したのだろうかと疑問に思ってしまうほどの胸クソ映画。
ぶっちぎりで私のオールタイムワースト1位。

公開当時、上映予定だった銀座シネパトスへ上映中止の意見が多数届き、結果的に公開を取りやめている。
今でも普通にレンタルできるのだが、さっさとディスクを粉砕して処分するべき。
というか、このように話題にも取り上げたくないくらいコンセプトも中身もひどい出来栄えの映画だ。

『八仙飯店之人肉饅頭』はそれに匹敵するレベルの胸クソ映画だった。

マカオの海岸で切断された人の手足が発見された。警察は当初サメに襲われたものと考えていたが、手足が袋に包まれていたことから事件として捜査を開始することに。しかし腐敗がひどく、身元特定は困難を極めた。一方で、食堂・八仙飯店の店主ウォン・チーハンは、閉店後に仲間と麻雀をしている際にイカサマをし、大金を巻き上げていた。その様子をバイトの従業員に見られてしまい……。

バイオレンス描写は激しいが、正直そこは胸クソでも何でもない。
何なら『ミスミソウ』や『ホステル』の方が痛々しい描写が多く、観ていて目をふさぎたくなった。

というのも、この2作品は人体破壊描写をひとつのテーマとしているので、無駄にバリエーション豊富なのだ。
本作の何が胸クソなのかは後述する。 ネタバレにならないようあっさりめで。

本作は史実をモチーフとした事件の映画化となる。この辺りもコンクリートと通ずる。
犯人は劇中でかなりユニークな行動を取るのだが、観終わって調べると、ビックリするほどに史実に忠実であることに驚いた。
フィクションは人肉饅頭と、刑事がやたらアホに描かれているところくらい。

人肉饅頭は事件後にそういう噂が立っただけらしい。
ユニークな噂を立てるアホがいるもんだ。
だからこんな映画が作られてしまう。人肉饅頭なんてモチーフとしてキャッチーすぎるし、映画にしたくなる気持ちも分からなくもない。
が、実際に遺体の一部が見つかっていないらしく、人肉饅頭も100%噂とは言い切れないとのこと。

このように凄惨な内容ではあるが、実はかなり観やすい映画ではある。
犯人である八仙飯店の店主ウォンと刑事サイドの視点で描かれるのだが、後者がコメディーパートとなっており、ドラマなどで良くみられる無能刑事演出がちょっと笑える。

さらに犯人のウォンに扮したアンソニー・ウォンの怪演も素晴らしい。
あのギョロギョロとした目が印象的。
分かりやすい演技ではあるが、それでも不気味。
彼はこの映画で、香港のアカデミー賞である香港電影金像奨の主演男優賞を受賞している。
この役でブレイクしたのは納得。
しかしアンソニー・ウォン自身はこの作品は嫌いで、黒澤明の『夢』のような、静かな映画を好むという。

多くのミステリー・サスペンス映画の命を奪う犯人には、犯行に及ぶに見合う動機を持っている。
復讐とか、家族を守るためなど。

しかし、この映画を観ると実際の犯人って大した動機は持っていないんだなあと痛感させられる。
だからこそ胸クソなのだ。
犯行にいたる理由が金とか、そういった稚拙なことなのでドラマが生まれない。
これこそリアルである。

その胸クソについてちょっとだけ語るが、この映画の真の胸クソはタイトルにもなっている人肉饅頭ではない。
ここには意表を突かれた。
観る前はてっきり人肉饅頭の本作がピークなのかと思ったらそうではない。
その辺りの構成も上手く、とても映画的で脚本が良い。
何気に良く出来た映画である。

結果的にその箇所が倫理的に引っ掛かり、映倫の審査を通ることができずに日本では劇場公開されなかった経緯もある。
当然だ。
あんなシーンは巨大スクリーンで観る価値はない。

間違ってもこんな映画は観てはいけない。
私はすでに五回観たけど、絶対に観てはいけない。
今日辺り六回目を観ようか検討中だが、あなただけは絶対に観てはいけない。
GEOの宅配レンタルのみ借りて観ることができるけど、絶対に観てはいけない。
一応リンク貼っておくけど、観ないこと。こちら

猟奇的な描写が激しい作品はコチラ。

■オーディション

■ミスミソウ

八仙飯店之人肉饅頭の作品情報

■監督:ハーマン・ヤウ
■出演者:アンソニー・ウォン ダニー・リー
■Wikipedia:八仙飯店之人肉饅頭(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):-
AUDIENCE SCORE(観客):73%

八仙飯店之人肉饅頭を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(DVD)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年12月現在

-②金の羊毛

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。