映画の海

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④難題に直面した平凡な奴

映画『EXIT』ネタバレなしの感想。男と女が手を取り合い、毒ガスから逃げる姿に胸がキュンキュンする

投稿日:12月 4, 2019 更新日:

■評価:★★★★☆4

「街に毒ガスが発生し、元山岳部の男女がより高いビルを目指して逃げる」

【映画】EXITのネタバレなしのレビュー、批評、評価

本作はパニック物に属する映画となる。
パニック物は災害や大惨事などの突然の異常事態に対応していく人間を描く内容で、人間以外のモンスターやゾンビ、エイリアンなど人外に襲われるケースも含まれる。

このブログの記事にしたなかで、特に良かったパニック物はNETFLIX配信映画の『バード・ボックス』。

“それ”を見たら精神に異常をきたして自傷行為に走り、命を落としてしまうため、主人公らは目隠しをして逃避行をするストーリー。
この目隠し姿にインパクトがあり、バード・ボックス・チャレンジなるものが流行って社会現象にもなった。
今のところNETFLIXで最も再生されている動画がこれだそう。

パニック物は主人公らが対峙する何かに対しての対応策が見所の一つとなるが、本作『EXIT』では素晴らしいアイディアで楽しませてくれた。

韓国の都心部に原因不明の有毒ガスが蔓延する。道行く人たちは倒れ、街はパニックに陥ってしまう。そんな中、70歳になる母の古希のため、無職の青年ヨンナムは会場でお祝いをしていた。その会場には彼の山岳部の後輩ウィジュが勤務しており、再会に胸を躍らせていた。だが、そんな彼らにも毒ガスが迫っていた。

久しぶりに良質なパニックスリラーを見られて大満足だった。
パニック物はどうしてもB級感が強くなるし、まったくドキドキできない滑稽な映画が多いのに対して、本作は見所がすごく多い。

とある小説指南書で、困難に直面した際、キャラクターの特技を応用させて突破させると良い、なんてことが書かれていた。
その本では、弓を使う選手が銃を手にしたらすごい命中力を発揮する、といった例があげられていて思わず納得してしまった。しかし、こういう良質なアイディアはなかなか思いつくものではない。

本作は主人公らが元山岳部という設定になっており、ボルダリングの技術を応用して私たちにも馴染みのあるビルを昇って逃げる、というアイディアに昇華させたのが素晴らしい。
このコンセプトの時点でこの映画の勝利である。

あと主人公とヒロインが手を取り合って困難を突破するところも良かった。
本作で私が特に気に入った部分がここ。

ストーリーの中盤に差し掛かるあたりで、主人公ら二人だけがビルに取り残されることになる。
迫る毒ガスから逃げるために、二人は手を繋いでお互いを差さえ合ったり、ロープで二人を結んだりしてより高いビルを目指す。
そんな彼らを見て、私の胸がキュンキュンしてしまった。
私も心底可愛い女の子と手を取り合って毒ガスから逃げ回りたいと思った。

またこのヒロインが魅力的。
少女時代のセンター・ユナが演じており、見た目が良さはもちろん、自己犠牲の精神を持つ内面も素晴らしい女性である。
こんな女性と手を取り合って逃げられるのだから、もはや毒ガスはご褒美である。

終盤に差し掛かる辺りから、とある展開でスペクタクル感が増し、スケールが大きくなる。
最近の映画では割りとありがちで新鮮さはないが、面白さの勢いが加速して、ますます目が離せなくなる。
テンポもいいし、ずっと楽しい状態が続く。

とはいえ粗さも目立ったので、そこについても言及したい。
終盤、とあることがきっかけで主人公らの存在がある人物に確認される。
その段階でヘリを呼んで救出してもらえることもできたのでは? と思ってしまった。
最後、なかなかの決断をするのだが、どう考えてもヘリを呼ぶ方がリスクは低い。
この辺りはアイディアの枯渇が見えてしまって映画から意識が離れてしまった。

あと主人公は無職でうだつのあがらない設定ではあるが、彼の欠点をストーリーの中に盛り込んで欲しかった。
あんまりこの設定が生かされていないので、ダメ人間という印象が薄い。
むしろ序盤からすさまじいトレーニングを見せられるので、スーパーマンにしか見えない。

一方で、ヒロインはザコ臭がぷんぷんする上司に言い寄られ、立場上強く言えない様子。
あまり良い職場環境とは言えない。
しかもこの職業が自らを更なる困難へと追い込んでしまう。

というかこのようなもてなす仕事を選ぶ辺りが彼女の人間性が暗に伝わってくる。
つまり、彼女の方がキャラクターとして魅力的である。

なので劇中では主人公よりもヒロインの彼女の方をより強く応援してしまった。
もちろん男も魅力的に描いて欲しいが、やっぱり物語において女性キャラを魅力的に描くのは重要な要素の1つである。
というのも、人間は強者より弱者に味方し、思い入れする傾向にある。

余談だが、N国党の立花はこの真理をついてマツコを攻撃したとメンタリストDAIGOはYOUTUBEで語っていた。
マツコは巨大な見た目や性的マイノリティのおかげで弱者としてのポジションを取っている。
が、長年メディアで活躍しているので、強者の属性も少しずつ備わってきている。
よってN国党の立花の弱者代表のような人間に噛みつかれたら、マツコはどうしても後手に回ざるを得ないのだ。
この解説はおおいにうならされた。

映画に話を戻すが、まだ世間の認識として女性の方が立場的にも弱いし、力も当然男より劣る。
だからこそ、映画で女性が活躍すると観客としては嬉しくなってしまうし、応援にも熱が入る。
社会的にはどうなんだ?っていう疑問も浮かんでしまうが、映画からは話がズレてしまうのでひとまず置いておく。

とにかくシンプルに面白いし、万人受けする。
このクオリティなら普通にTOHOシネマズのようなシネコンで流してもいいと思う。スケール感も申し分ない。
ミニシアター扱いされているのはもったいない。

EXITの作品情報

■監督:イ・サングン
■出演者:ユナ チョ・ジョンソク
■Wikipedia:EXIT(英語)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):83%
AUDIENCE SCORE(観客):94%

EXITを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2019年12月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。