映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『“隠れビッチ”やってました。』ネタバレなしの感想。男に告白させることが趣味の女が本気の恋をしてしまう

投稿日:12月 8, 2019 更新日:

■評価:★★★★☆4

「愛とは何か、幸せとは何か」

【映画】“隠れビッチ”やってました。のネタバレなしのレビュー、批評、評価

本作は作者あらいぴろよの実話を元にした同名タイトルのコミックエッセイを原作とする映画となる。
wikipediaを見る限り、映画よりも実際に原作者が体験したことの方がハードであることにはビックリした。
映画では主人公のひろみは母にDVする父を観ながら育った設定だが、原作では彼女は父から性的虐待を受けている。

パッと見は男を振り回すことを生きがいとする悪い女かもしれないが、一番の被害者は彼女だ。
人を外側だけで決めつけていけない。(外側=ルックス、言動)
内面に目を向けることで、初めてその人の本質が見えてくる。
人の言動には理由がある。それが私たちの想像を遥かに凌駕することは珍しいことではない。

26歳の独身女ひろみの趣味は男に告白させること。計算つくされた服装や会話術で相手を翻弄し、「好きです」と言わせたら即フェイドアウト。そんなひろみに、ルームメイトのコジと彩は呆れて「最低の””隠れビッチ”」とたしなめるが彼女には一向に響かなかった。ある日、ひろみは仕事場のデパートで出会った安藤に本気の恋をしてしまう。

気楽に観られるコメディ映画のつもりで鑑賞したが、思っていた以上に感情を揺さぶられてしまった。
笑えるシーンも多いが、あまりに彼女が不憫で観ていて胸が締めつけられてしまう。

本作は、男に告白させることを生き甲斐とする隠れビッチのひろみが主人公。
彼女は承認欲求を強く持っていて、男に「好きです」と言われることが自信に繋がり、心が満たされている。
彼女にとってはそこがゴールで、告白されたら即振って、再び男漁りに走るのだ。
まさに隠れビッチである。

パッと見は性悪女だが、彼女の過去を深掘られていくにつれて彼女が悪人には見えなくなってくる。
承認欲求が満たされないときに見せる行動はなかなかムゴくて、観ていて辛くなってしまった。

こんなタイトルの映画だが、この映画がターゲットとしている観客層は子を持つ親である。
良くも悪くもいかに親が子供に与える影響の甚大さを描いており、親はそれを理解した上で子育てに取り組んでほしいし、本作はそれを考えるきっかけを与えてくれる。

もちろん男女問わずで、隠れビッチのような強い承認欲求を持ってしまった人にもいい処方箋となる。
愛とは何なのか。
どうすれば幸せになれるのか。
自分のすべてを受け入れられることが真の幸せなのか。
これらの問いを抱えている人にとって、この映画は回答のヒントを与えてくれる。

ひろみには協力者が多いのが救いとなっている。
もし強い承認欲求に苦しめられている人がいたら、何でも話せる味方を見つけるべき。
精神的に自分を追い込んでもきりがない。
心の安定を図るためなら人に迷惑をかけない限りは何をしてもいいと思う。

役者陣も素晴らしかった。
ひろみに扮した佐久間由衣はコメディエンヌとしての能力が高い。今後の活躍が期待できる魅力的な女優さんだ。
劇場からも頻繁に笑い声が聞こえてきていた。

何よりびっくりしたのが、彼女が公園で飲んだくれているシーン。
最初は笑えるのだが、観ているうちにどんどん切なくなってくる。
コミカルな演技で涙腺を刺激された経験がなかったので軽い衝撃を受けた。
この映画で特に印象に残ったシーンとなった。

言及せずにいられないのが彼女の職場の上司で、彼女の受けとなる森山未來。
なんなんですかね、この男は。
存在そのものがただ者じゃない感が漂っているというか。
彼の一言一言が感情を揺さぶってくる。
彼は彼女の本質を突いてくるのだ。
彼の発言に彼女はときに喜び、ときに苦しむ。その彼女の姿に観客は手汗握りながら見守ってしまう。

見守るといえば、彼女は正直、共感できるようなキャラクターじゃない。
男を振り回しまくるのが趣味の女なのて、観客に好かれるわけがない。

だが、終盤に突如入る回想シーンがなかなか強烈で、これまでまったく共感できなかった彼女の印象がひっくり返って同情してしまう。
このどんでん返しが素晴らしく、気づいたら彼女の応援せざるを得なくなっている。

それだけ彼女は心に深い傷を負っている。
男を振り回す彼女は悪い女のように見えるが、彼女の内面を見ようとしなかった男たちにも問題がある。
そこまで期待していなかった映画だが素晴らしい内容だった。大満足の1本。

“隠れビッチ”やってました。の作品情報

■監督:三木康一郎
■出演者:佐久間由衣 森山未來 村上虹郎 大後寿々花 小関裕太
■Wikipedia:“隠れビッチ”やってました。

“隠れビッチ”やってました。を見れる配信サイト

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Netflix:-
※2019年12月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。