映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『プールサイド・デイズ』ネタバレなしの感想。内気な少年が底なしに明るいオッサンと出会い、人生が変わる

投稿日:

■評価:★★★☆☆3.5

「人生とは何か」

【映画】プールサイド・デイズのネタバレなしのレビュー、批評、評価

人生が反転するほどの運命的な出会いを経験したことがあるだろうか。
ここで言う出会いは恋愛対象というより、人生観・価値観を変えてくれるような人物とのそれを指す。

私は一度ある。
今は36歳だが、ちょうど2年前の2017年12月にそれは訪れた。
そんな彼とは1年くらい会ってないし、今後も会うことはないだろう。でも感謝が尽きることはない。

恐らく誰しもが人生で一度は訪れるようなこの類の出会いは、早いに越したことない。
それ以降の人生がすごく豊かになるから。
まるで天から授かったギフトのようなものだ。
この映画の主人公ダンカンは14歳でそのギフトを手にする。

14歳の内気な少年、ダンカンは離婚した母と2人暮らし。しかし彼女の新しい恋人トレントはダンカンに必要以上に厳しく接するため、2人の間にはいつしか深い溝ができてしまっていた。母同様に離婚歴のあるトレントは、その年の夏はお互いの家族を連れて自身の別荘で過ごすことを提案し、ダンカンは嫌々ながらトレント一家と過ごすことに。彼のコミュニティに馴染めないダンカンは一人で町をさまよっていると、オーウェンという妙な中年男性と出会う。デタラメで自由で底なしに明るい彼に、ダンカンも少しずつ心を開き始めていた。オーウェンはウォーターパークというプール施設で監視員をしており、彼に誘われてダンカンはそこでバイトをすることになる。

前置きで言ったギフトとなる人物はもちろんオーウェンだ。
とにかく彼が魅力的で、彼が画面に出てくるだけでワクワクしてしまうほど。

母の新しい恋人トレントはとにかくダンカンに厳しい。
内気でコミュニケーションの苦手なダンカンに対して、彼は10点満点で3点なんて言う。人格否定も甚だしい。
何かあればすぐに命令したり、厳しく指摘したりと一緒にいるだけて息が詰めるような存在。

対して、カフェで出会ったオーウェンは、アホみたいにユーモアばかり言う。
カフェにあったパックマンのゲームはびっくりするほど下手くそで、子供であるダンカンにも隙を見せてくれる男。

オーウェンもまたダンカンの内気な言動を指摘する。
だがトレントとは違い、オーウェンはダンカンという人間を尊重している。つまり、オーウェンの指摘はダンカンを幸せに導くのだ。

そんなオーウェンの人間性に惹かれたダンカンはすぐに心を開く。
オーウェンが紹介してくれたプールのバイト。
にぎやかで、内気な自分にふさわしい場所とは思えない。
一瞬戸惑うが、近くにはオーウェンがいることもあって意を決して飛び込む。

すごく良かったのが、ダンサーが登場するシーン。
プールの敷地内で、ダンサー集団が大音量の音楽を流してダンスをし、野次馬を巻き込んでみんなで盛り上がっている。
ここでオーウェンがダンカンに「おい、あいつら注意してこい」と促す。

ここはちょっとポイントなのだが、オーウェンはダンカンにダンスを止めさせることが目的ではない。
ダンカンは仕方なく、パリピ軍団に突撃し、「音楽は迷惑なので止めてください」とお願いする。
この後の展開が素晴らしい。
ダンカンがあることを行い、パリピ軍団もオーウェン同様に彼を尊重する。
結果的に彼は『人生とは何か』を学ぶのだ。

たった一人との出会いが人生を変える。素晴らしい話。
こういう映画を観ると、自分一人で人生を切り開くのは難しいということを痛感させられる。
自分の価値観の中で悩んでいるので、自分一人で解決できるわけない。自分にはない価値観を持つ人間との出会いこそが、変わるキッカケとなる。

この後もダンカンは恋をしたり、新たな困難に直面したりする。
果たして彼はどんな一夏を過ごすのか。

もう少しストーリーに爆発力が欲しかった。
良い映画ではあるが、劇的に感情を揺さぶってくるシーンが特になかったので、ちょっと物足りない。

気になるのがラスト。
ダンカンはあることを行って成長を見せる下りがあるのだが、シンプルにこの展開は魅力的とは思えない。
もっと観客が共感して感情が高ぶってしまうようなエピソードを見せて欲しかった。
例えば告白できなかった女の子に告白するなど。

あと、成長するのがダンカン一人というのも気になる。
オーウェンにも何らかの葛藤があり、ダンカンとの出会いで彼もまた成長を見せる。
このように双方向で成長し合う流れを見せてくれたら、もっと魅力的なストーリーになっていた。
例えば、『恋は雨上がりのように』では、見事にお互いが影響を与え合っている。

監督がコメディアン出身らしく、笑い演出はどれも面白い。
オーウェンの言動には興味深く、いくらでも彼を見ていられる。
抑揚のあるストーリーではないが、キャラクターが魅力的なので何だかんだ最後まで楽しめる。

また男同士っていうのもいい。
最近の映画は中年男性×少女が多いなか、男同士の友情という形で描かれる成長譚は久しぶりに見た気がする。

本作はミニシアター映画館の新宿シネマカリテにて、「カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション2014」の中の一作として限定公開された。
劇場未公開に近い扱いを受けたとは思えない、よく出来た映画となっている。
魅力的なキャラクターが出てくる映画が好きな人には特におすすめしたい。

プールサイド・デイズの作品情報

■監督:ナット・ファクソン ジム・ラッシュ
■出演者:リアム・ジェームズ アナソフィア・ロブ サム・ロックウェル
■Wikipedia:プールサイド・デイズ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):83%
AUDIENCE SCORE(観客):84%

プールサイド・デイズを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年12月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。