■評価:★★★★☆4
「おもちゃたちの冒険譚」

【映画】トイ・ストーリー2のネタバレなしのレビュー、批評、評価
この映画を観て、シナリオの水準がかなり高いことにビックリさせられた。
調べてみたのだが、ピクサーは脚本を12人で分業しており、さらに脚本を練り込むことで有名で、平均映画1本につき2~3年をかけるという。とんでもないプロ根性である。
さらに本作はパート2ということもあり、ディズニーの慣習にならってオリジナルビデオ作品として制作が進められていた。
しかし、出来の良さから劇場公開作品に昇格した逸話を持っている。
それもそのはず、本作はテーマが素晴らしい。
人間が見てないときにだけ自由に動き回ったり、喋ったりすることの出来るおもちゃたち。前回の冒険で共に危機を突破し「アンディのお気に入りのおもちゃ」として固い友情で結ばれたウディとバズ・ライトイヤー。彼らはいつものように持ち主である少年アンディに楽しく遊んでもらっていた。ある日、ウッディの右肩の糸がほつれてしまい、アンディは落胆してウッディをカウボーイ・キャンプに連れていくことを断念してしまう。ウッディはひどく落ち込む。あげく、自分がアンディに捨てられる悪夢まで観てしまう。そんな矢先にガレージセールで不用品を売ることになったアンディの母は、アンディの部屋の棚の上に置かれていたホコリを被ったペンギン人形ウィージーが売りに出そうと手に取る。おもちゃ仲間を救出するため、ウッディは救出作戦を決行する。
序盤から、ホコリをかぶったペンギン人形ウィージーがまるでドナドナのようにガレージセールで売られていくのは切ない。
このシーンこそ、本作のテーマを示している。
「おもちゃはいつか子供に飽きられる」
人間にはない、おもちゃならではの世界観。
そして誰もがおもちゃに飽きて遊ばなくなった経験があるだろうから、彼らに感情移入せずにいられない。
ウッディはアンディにキャンプに連れていってもらえなかったことで自分が捨てられる夢を見る。
だからこそ、売られていくウィージーの気持ちを理解し、助けようとする。
さらにこの後もトラブルに巻き込まれ、ウッディはある場所に連れて行かれてしまう。
そこで出会ったおてんばカウガール人形ジェシーは告白する。
自分の持ち主が成長して大人になり、ベッドの下に忘れ去られ、ガレージセールで売られたおもちゃであることことを。
この現実に直面し、苦悩するウッディを見ていると辛くなる。
いつか大好きなアンディに捨てられる未来が来ることを教えられてしまうのだ。
人間はおもちゃと違って成長する。
別離は避けられない。
ウッディは迷いながらも、ひとつの答えを出す。
その答えに思わず心を揺さぶられた。
そしてこのウッディの決断は、おもちゃだけではなく人も見習うべきものである。
おもちゃの世界観でこのテーマを見事に描ききったのは素晴らしい。
もはや実写顔負けの完成度を誇るシナリオ。
もちろんテーマ以外にも楽しかったところはたくさんある。
クライマックスで、とある荷物が運ばれるレーンでのシーンは何だかワクワクしてしまった。
中はあんなスペクタクル感満載な仕様になっていたとは。
ここでの攻防戦も一体どんな展開になるのか予想できなかったので、思わず画面に食い入るように見入ってしまった。
あとはリトル・グリーンメンが可愛すぎるところも見所のひとつ。
ストーリーにまったく絡んでないのにこの存在感はすごい。
つがいフェチの私にはたまらない。
彼らが口にする「命の恩人、感謝永遠に。」は最高の名言。
どんどんトーンが強くなっていくのがすごく好き。
エンドロールも観ている子供を楽しませようという精神が素晴らしい。
あの演出によって本当におもちゃは話したり、動いたりするって信じる子供もいるだろう。
最後まで世界観を守ろうとする心遣いはちょっと感動してしまった。
個人的には1よりも好き。
前作は、ウッディとバズがアンディのお気に入りの座を奪い合う。
本作はアンディにいつか飽きられるという事実に対して、ウッディは自身の内面と向き合い、存在意義を問う。
このテーマにリアルさを感じてしまい、すっかりウッディに感情移入してしまった。
人間誰しも一度は自分の人生の意味を考える。
その結果、自分にしかできない使命を見つけてフルコミットできたならすごく幸せなことだ。
トイ・ストーリー2の作品情報
■監督:ジョン・ラセター
■出演者:ウッディ(トム・ハンクス、唐沢寿明) バズ・ライトイヤー(、ティム・アレン、所ジョージ)
■Wikipedia:トイ・ストーリー2
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):100%
AUDIENCE SCORE(観客):86%
トイ・ストーリー2を見れる配信サイト
U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)、○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年12月現在