映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑥バディとの友情

映画『愛を読むひと』ネタバレなしの感想。少年が恋した21歳年上の女性はナチスの戦犯

投稿日:

■評価:★★★☆☆3.5

「プライド」

【映画】愛を読むひとのネタバレなしのレビュー、批評、評価

人間に魅力を感じる瞬間の1つは、裏の顔が知れたとき。
裏の顔といっても悪い意味ではなく、その人のイメージとは違った一面が見えたときということ。
つまりギャップである。

人間は多面性を持つ生物なので、誰もがこのようなギャップを感じる面を持つもの。
生粋の女好きでコミュ力の達人の男が実は人を信用できずに孤独な日々に苛まされていたり、見た目のイカついヤンキー女が好きな人の前だといじらしい挙動を見せたり。

本作はラブストーリーとなっており、主人公マイケルが恋した年上女性ハンナも魅力的な裏の顔を持っている。

第二次世界大戦直後のドイツ。15歳のマイケルは、体調が優れずに苦しんでいると、通りすがりの21歳年上の女性ハンナに助けてもらう。回復後、彼女のアパートに毎日のように通うようになり、いつしか2人は男女の関係になる。ハンナはマイケルが本好きだと知ると、朗読をせがむ。彼は彼女のためにたくさんの本を朗読するようになった。ある日、ハンナは仕事が評価されて昇進することに。その日を境に、ハンナはマイケルの前から姿を消す。8年後、マイケルはハイデルベルク大学法学部に入学していた。ゼミ研究のためにナチスの戦犯の裁判を傍聴することになる。その被告席には、かつて男女の仲となったハンナの姿があった。

彼女が魅力的。
少年期の男にとって、大人の女性は蠱惑的な何かを感じてしまうもの。
そんな中で15歳のマイケルは彼女に導かれるように寝ることになる。
その流れもやけに生々しく、マイケルを心底ズルいと思って指を咥えて観るハメとなった。

ハンナの真の魅力は、この性的に活発なところに留まらない。
彼女は朗読してもらうことを好む。
彼の読む物語を口を大きく開けて笑ったり、時には涙を流すこともある。
普段の彼女は彼をリードする力強さがあるのに、朗読してもらうときは子供のように喜ぶ。
こんな彼女に観客は純粋さを感じる。朗読の時だけ彼女は少女になるのだ。

マイケルも彼女が本気で楽しんでくれているので、朗読に熱が入り、より感情を込めて読むようになる。
こんな2人の関係性が魅力的。二人がこのまま幸せになってくれることをついつい願ってしまう。

あと、やけにハンナがたくましく見えるのがちょっと笑える。
ハンナのワキ毛がボーボーだからということもあるんだが、顔つきが精悍でやけにたくましい。
もはやマイケルよりも雄感が強いという。

中盤以降はナチス戦犯の裁判となり、被告としてハンナは出廷することになる。
か弱い少年だったマイケルは8年経ち、タバコなんか吹かしちゃうようなたくましい男へと成長を遂げている。
一方で、ハンナは肉体的にも精神的にも衰えている。
この対比が哀愁を感じさせるし、何よりあれだけエネルギッシュだった彼女が弱くなってしまっている姿は観ていて辛いものがある。
強かった人間が弱くなってしまうのがどれほど悲しいことか。

そんな感じでこの映画、ラブストーリーとしてものすごくいい話。
設定もキャラクターも魅力的。
朗読好きというのも、ハンナのキャラ性を描くだけではなく、ちゃんとストーリー的にも意味があるところが個人的には好き。
しかし、中盤以降は恋愛要素が薄れ、裁判シーンが続くのでかなり地味である。

第2のヒロイン的立ち位置の女性もそんなに魅力的じゃない。
見た目もそうなんだが、内面も大して描かれないので、ちょっと彼女では役不足感を覚えてしまう。

さらに終盤の展開は好きになれない。
何でこんな感じになってしまったんだろうか。
ナチスという題材を扱ってしまっているからなのだろうか。
モヤモヤ感が残る観賞後感となってしまったのは残念。

ハンナが魅力的であることには変わりないので、満足度はそこそこ高い。
ラブストーリーの面白さは、ヒロインの魅力で8~9割決まるといっても過言ではない。
なので正直、ナチス要素を削った映画として観たかった。そっちのが映画として魅力的になったんじゃないかと思ってしまう。
その意味は観たら分かると思うので、ぜひ鑑賞して確かめてもらいたい。

愛を読むひとの作品情報

■監督:スティーブン・ダルドリー
■出演者:ケイト・ウィンスレット レイフ・ファインズ ダフィット・クロス
■Wikipedia:愛を読むひと(ネタバレ有)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):63%
AUDIENCE SCORE(観客):79%

愛を読むひとを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・見放題)
TSUTAYA TV:○(見放題)
Netflix:○(見放題)
※2019年12月現在

-⑥バディとの友情

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。