映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑩スーパーヒーロー

映画『ダークシティ』ネタバレなしの感想。記憶を失った男が漆黒に包まれた街で黒服集団に追い掛け回される

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■評価:★★★☆☆3.5

「当たり前を疑え」

【映画】ダークシティのネタバレなしのレビュー、批評、評価

この前置きスペースでは類似作品を挙げたりすることが多いのだが、本作は世界観の肝となる設定が中盤以降で初めて明かされるので、ネタバレ防止のためにあえて伏せておきたい。
本作はミステリー要素が散りばめられた巻き込まれ型のスリラー映画となる。

真夜中のホテルの一室。ペンダント照明が揺れる浴室でマードックが目覚める。しかし彼には記憶がない。着替えてリビングのクローゼットを開くと、中にあったトランクから「シェル・ビーチ」と書かれた絵葉書が見つかる。突然、シュレーバー博士と名乗る男から電話で追手から逃げるように指示されると、マードックはベッド脇で若い女性の遺体を見つける。動転して部屋を飛び出し、階下に下りると、入れ違いで黒いスーツを着た一団がフロアに入ってくる。彼は受付カウンターの前を通り過ぎようとすると、従業員の男に呼び掛けられ、3週間前からここに滞在しており、ダイナーで財布を落とした事をする。一方で家出したマードックを待っていた妻エマは、夫の主治医と名乗るシュレーバーに呼び出され、自身の浮気によって彼が精神を病み、治療を受けいたことを聞かされる。またバムステッド警部は娼婦の命が奪われた事件の容疑者としてマードックを追いかけていた。黒服集団に追い詰められたマードックは不思議な能力を発動し、敵を撃退する。「彼もチューンを使える」と驚愕した集団はシュレーバーに治療の継続を命じる。

これは面白い。
監督兼脚本を務めたアレックス・プロヤスの想像力が豊かさに触れられる。
観る者のクリエイティビティを刺激してくる価値ある一本だ。

途中までは敵となる黒スーツ軍団の動機が一切不明のまま、町の住民たちを眠らせたり、彼らにとある処置が施したり、街が再構築したりする。
それ以外にも謎解き要素が非常に多く、何度も睡魔に襲われてしまった。

黒いコートの一団は何者なのか?
黒いコートの一団はなぜ、人間を眠らせるのか?
黒いコートの一団は眠らせた人間に行うある処置の目的は何なのか?
黒いコートの一団は町の建物を再構築する理由は何なのか?
自称精神科医シュレーバー博士は敵なのか味方なのか。彼は何を知っているのか?
主人公はなぜ黒コート集団に追い掛け回されているのか。
主人公はなぜ記憶がないのか。
主人公はなぜ特殊能力が使えるのか。

ざっと思いついただけでも、これだけの謎が序盤から散りばめられる。
さすがにちょっと多すぎである。

せめて黒いコートの一団の動機面をミスリードしてほしかった。
観客が何らかを連想させるような行動なら求心力が沸いて物語を追うモチベーションに繋がるのだが、まったくもって意味不明なので結果的に集中力が何度も途切れてしまう。

「ちゃんとすべての疑問に答えてくれるのだろうか」といった不安に襲われてしまうが、そこは杞憂で終わるので安心していい。
中盤辺りで明かされる敵の動機。
さらに町の正体も判明するのだが、これまたスケールがでかくてワクワクさせてくれる。

正直細かい設定など把握できていないところも多いのだが、これは何回も繰り返し観て完璧に理解していきたい。
その価値があるし、強い作家性を感じさせる独創的な世界観はとても魅力的。リピートしたくなる。
ただ、設定やビジュアル等にクセが強いので人を選ぶ作品であることは間違いない。

良質なSFの面白さを再認識させられる。
シンプルなヒューマンドラマやラブストーリーも良いが、SFは人の想像力の可能性に気づかされるし、良い刺激を貰える。

あと、本作はテンポの早さにも好感が持てた。
確かに序盤は大した状況説明がなされないので困惑気味となってしまうが、テンポの良さで観やすさは担保されている。
上映時間100分はあっという間に終わってしまう印象。

ただまあできるなら、世界観だけでも早めに明かして欲しかった感は否めないが。
明かした世界観の中での展開を楽しませてくれた方が観客側からしたらエンタメとして受け止めやすい。
前置きで伏せた、類似作品の1つの最も有名な作品はまさにそういった作りとなっていてめちゃくちゃ面白かった。

ただその類似作品と比べると、ダークシティは主人公の最終到達点のスケール感が素晴らしい。
この終わり方はその類似作品よりも評価したい。

そしてこの映画のテーマとなる「当たり前を疑う」ということ。
ありふれた当たり前に疑問を持たず、思考停止のまま過ごすことの愚かさを警鐘する。
「当たり前を疑う」からこそ文明が洗練化され、発展していく。

さらに興味深いのが、黒いコートの一団の正体。
なぜ、彼らの「心」はこのような形なのだろうか。
この物語を本質を紐解く鍵はここにあると私は確信している。

ダークシティの作品情報

■監督:アレックス・プロヤス
■出演者:ルーファス・シーウェル ジェニファー・コネリー キーファー・サザーランド ウィリアム・ハート
■Wikipedia:ダークシティ
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):76%
AUDIENCE SCORE(観客):84%

ダークシティを見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年12月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。