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⑥バディとの友情

映画『今日も嫌がらせ弁当』ネタバレなしの感想。母が反抗期で口も聞かない娘にキャラ弁を作って逆襲する

投稿日:12月 30, 2019 更新日:

■評価:★★★☆☆3.5

「親の子離れ」

【映画】今日も嫌がらせ弁当のネタバレなしのレビュー、批評、評価

「TVゲームは頭を悪くする」「TVゲームは犯罪を助長する」
なんてことを有識者が発言してちょっとした論争になることがたびたびある。

これに関していろんな考え方を持っている人が多いが、私はゲームの本質はコミュニケーションツールだと思っている。
小さいころからゲームをしていたが、その先には必ず友達や兄妹がいた。
マリオカートなどのレースゲームでは友達や妹と対戦したり、一人用のドラクエのようなゲームでも攻略法などを話し合って友達との会話を楽しんだ。

大人になり、一人用のゲームを一切しなくなった時期がある。
社会に出ると周りにゲームをしている人が減るので、一人用のゲームをしても共有できる相手がいない。結果的にやらなくなってしまった。
ただし二人以上で対戦系や協力できるゲームは、変わらず誰かと良く一緒にプレイしていた。現在進行形で。
ゲームがコミュニケーションツールとして機能することを実証した一本の映画も今年公開された。

会話がなくなった父と息子がFFを通じてコミュニケーションを取る内容で、史実に基づいている。
余談だが、今年元モーニング娘。の 後藤真希が不倫でニュースになったが、彼女が相手と知り合ったきっかけもこのゲームだそう。

とにかくコミュニケーションツールは人をつなげる重要な役割を担っている。
「会話しろ!」なんていう人もいるかしれないが、上記の映画のように会話しづらい環境下にあるケースだってある。
そんなときにお互いの間をつないでくれるツールの存在はありがたい。

本作はゲームではなく、弁当をコミュニケーションツールとして活用した母の奮闘劇。
Amebaブログ【デイリー総合ランキング】1位となった「kaori(ttkk)の嫌がらせのためだけのお弁当ブログ」を原作とした史実の物語となっている。

シングルマザーのかおりは自然豊かな八丈島で、次女の双葉と二人暮らし。昔は可愛かった双葉だが、高校生となり反抗期に突入して話しかけても返事すらしなくなる。かおりは可愛いものが苦手な双葉にキャラ弁を作り続けて逆襲を試みる。次第にそのお弁当は母から娘へのメッセージへと変わっていく。嫌がる双葉だが、「ウザい」と言いながらも残すことなく完食し続ける。

母かおりの愛情とユーモアが素晴らしい。
反抗期の娘に逆襲するっていうのはいいが、その方法が娘が嫌いな可愛い装飾をほどこしたキャラ弁を作ることとは。
この発想がユニークだし、何がすごいって、キャラ弁のクオリティが凄まじい。

一つの弁当に何時間かけるんだってくらいに、凝ったものを母は毎日作る。
娘が卒業するまでの3年間は作り続けると決め、どんなに忙しい日でも絶対に作る。
かおりは片親で、ダブルワークしつつ、内職までするほどに経済的に余裕がないのに、弁当作りにもフルコミットする。
しかもいちいち弁当のおかずでユーモアを添えてくるので、本当に凄いと思う。

先日、池袋を歩いていたら芸人が声をかけてきた。
「すみません、お笑い芸人なんですけど500円でお笑いライブをやってます」と申し訳なさそうに言ってきた。

この言葉にものすごく違和感を覚えた。
なぜ、こいつは声掛けの時点でこちらを笑わせに来ないのだろうか。
何なら一番の見せ場ではないか。
ここで一発面白いことをして笑わせてきたら、「何、こいつ面白い」となってお笑いライブに関心を持っていたかもしれない。
なのに欲望丸出しで、お願いするようにつまらない声掛けをする彼が信じられない。
彼にはこの母を見習って意識改革してほしいもの。
母はどんなに辛い状況であろうとユーモアを忘れないのだから。

とにかく、こんなに愛情深い母には心を打たれてしまった。こんな素晴らしい母が存在するのかと。
この物語が深いと思ったのは、この母の愛情に関すること。

何やかんやあって、娘は自分の将来に関して母にある提案をする。
母からしたら嬉しい言葉であるはずなのに、想定外の切り返しをする。
これにはビックリさせられた。

これぞ真の愛情である。
ネタバレに触れてしまうので細かくは言えないのだが、娘が本当の意味で大人になるため、母は自分の気持ちを押し殺してあのような言葉を放ったはず。
このシーンにはがっつり心を捕まれてしまった。本作屈指の名シーンである。

そして待ちに待った最後のキャラ弁。
これはもう直接観て確かめてくれとしか言いようがない。

一つだけ違和感を覚えたのが佐藤隆太が父に扮した岡野の息子の行動。
岡野もシングルファザーで、かおりのブログを参考にしたり、かおりと直接やり取りをしてアドバイスを貰ってキャラ弁を作るようになる。
しかし物語後半で息子がちょっとぶっ飛んだ行動を取っていた事実が判明する。
これはどうなんだろうか。
確かにキャラ弁の本質的な意味の対比としての行動なんだろうが、ちょっとやり過ぎ感を覚えた。
しかもこの親子、あんまりメインストーリーに絡んでこないので、ばっさり削っても良かったように思える。

とはいえ、ファミリードラマとしては良くできた佳作。
子育ての大変さとともに、家族というものの素晴らしさが伝わってきた良い映画だった。

今日も嫌がらせ弁当の作品情報

■監督:塚本連平
■出演者:篠原涼子 芳根京子 松井玲奈
■Wikipedia:今日も嫌がらせ弁当

今日も嫌がらせ弁当を見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2019年12月現在

-⑥バディとの友情

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名前:柴田
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小説家志望。
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