映画の海

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⑤人生の節目

映画『トイ・ストーリー4』ネタバレなしの感想。完璧すぎる結末を迎えた3の続編

投稿日:

■評価:★★★☆☆3

「おもちゃとしての個を描く」

【映画】トイ・ストーリー4のネタバレなしのレビュー、批評、評価

前作の3で完璧すぎる結末を迎えて深い感動を覚えたため、逆にこの続編を作った意味が気になってしまい、不思議なワクワク感を持って鑑賞することになった。

1、2で監督を、3でプロデューサーを務めたジョン・ラセター曰く「続編を製作する意思は全く無かった」と言うが、このシリーズに関わってきた脚本家軍団が新しいアイディアを持ち込み「続編を考えられずにはいられなくなった」と語っている。
果たして本作はどんな展開を見せるのか。

9年前の雷雨のある夜、ラジコンカーRCが外に放置されていたため、ウッディとボー・ピープは救出に向かい、彼を救い出すことに成功する。家に戻った直後、ボーの電気スタンドが彼女ごと知人の男性に譲られてしまい、ウッディは彼女との別離に悲しみに暮れる。ウッディらがアンディの元から離れ、ボニーの元に渡って1年が経つ。バズを始めとするおもちゃたちは今まで通り、ボニーに遊ばれて楽しい日々を過ごしていたが、一方でウッディは遊んでもらう頻度が少なくなり、悲しんでいた。ある日、ボニーは新しい幼稚園に通うことになるが、人見知りの彼女は仲間の園児たちと馴染めずにいた。そんな彼女を見かねたウッディの助けもあって、ボニーは先割れスプーンなどを使用して手作りのおもちゃ・フォーキーを工作する。ボニーは明るくなり、フォーキーは彼女の一番のお気に入りのおもちゃになる。しかしフォーキーは自分は「おもちゃではなくゴミだ」といった自覚があり、隙をついてゴミ箱に入ろうとする。ウッディはボニーを幸せにするため、フォーキーにおもちゃとしての使命を教え込もうと試みる。

前置きの続きとなるが、ジョン・ラセターといえばトイ・ストーリーの生みの親でピクサーの顔となる人物だ。
2000年代前半に低迷していたディズニーアニメだが、2006年にディズニーはピクサーを買収する。
ラセターはディズニーアニメのチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任し、傾きかけていたディズニーのアニメーション部門の再建に成功する。
ラセターが制作指揮を務めたディズニーアニメ映画はことごとくヒットをし、アナ雪やズートピアが生まれたのは彼の功績が大きい。
ピクサーの慣習に倣い、彼が制作指揮を務めた映画の脚本は何度も書き直しさせ、クオリティアップを図ったとのこと。

本作に話を戻すが、2014年に4制作の公式発表以来はジョン・ラセターが監督をし、ウッディがボーを探す冒険というメインストーリーで制作が進んでいた。

その後、監督や脚本家が変更され、ラセターらが手がけたオリジナル脚本の約4分の3を変更されて制作が続行された。
ラセターは2017年11月に社内で起こしたセクハラ事件により、半年間の休業ののち、ディズニーを退社しており、その影響によるものだと思われる。

一体どのタイミングで、どの程度オリジナル脚本が変更されたかは分からない。
ジョン・ラセターがGOサインを出した脚本はどの程度生かされているのだろうか。
そう考えずにはいられない異質な結末を見せてくれた。

本作は、新しい持ち主となったボニーのお気に入りはジェシー(2から登場しているカウガール)となり、ウッディは遊んでもらえなくなるという悲しいシーンからスタートする。

そんなボニーは幼稚園に行くことになる。
人見知りで友達のできないボニーはゴミでおもちゃを作る。
それがフォーキーだ。
なかなかぶっとんだ見た目のおもちゃだが、彼の行動もまたぶっ飛んでいる。
「自分はゴミだ」ということで、ゴミ箱にダイブする。
まさに自傷行為だ。

このキャラクターにはなかなかの違和感を覚えてしまった。
見た目もそうだが、彼の奇行はいわば自己肯定感の低さから来るもので、子供向けのアニメからするとちょっと生々しい。

フォーキーがはじめてできた友達ってことで、ボニーのお気に入りのおもちゃになる。
しかしフォーキーはすぐにゴミ箱に入ろうとするので、ウッディは必死におもちゃとしてのアイデンティティを与えようと奮闘する。「お前はおもちゃだ。ボニーを楽しませてやれ」と。

上記の通り、ウッディはおもちゃとしてのアイデンティティは失われてしまっているので、自分の代わりをフォーキーに務めさせるような流れとなる。
ウッディが間接的にしか子どもを楽しませることができない構図は悲しい。

こんな感じでこの物語、終始悲しいし、序盤から異様な違和感が伝わってくる。
その理由ははっきりしている。
トイ・ストーリー4とトイ・ストーリー3以前の物語ではおもちゃの使命の方向性が変わってしまっている。

トイ・ストーリー3では、持ち主であるアンディが大人になり、ウッディらは彼に遊んでもらえずに箱に仕舞われた状態から物語が始まる。
いろいろあって、ウッディはボニーに拾われて遊ばれることになるのだが、彼はそこで喜びを味わう。
久しぶりに子どもと遊んだからだ。
ウッディはここでおもちゃとしての使命を再確認する。
他のおもちゃたちも「サニーサイド保育園」に運ばれるのだが、子どもたちと遊んでもらえるってことでみんな歓喜する。
つまりトイ・ストーリー3以前は「おもちゃの幸せ(使命)=子どもを楽しませる」だ。

子どもであれば誰だって構わない。
子ども全員幸せにしてやるぜ! そんな意気込みだ。(もちろん自分をひどい扱いをする子どもは嫌悪するし、それは当然の権利)
だからトイ・ストーリーは素晴らしい。だから3はとてつもない感動を与えてくれた。

しかし本作は、ウッディが大切にしていたおもちゃとしての使命が変わってしまった。
いや、もはや破棄しており、代わりに色濃く出たウッディの個(アイデンティティ)を追求する物語となる。
本作を受け入れられるかどうかはここで別れる。

私は正直、本作はそこまで面白いとは思えなかった。
これはおもちゃの物語ではなく、人間の物語だ。
生々しい。
この一言に尽きる。

個人的に残念だったのが、リトルグリーンメンが一度も活躍しないこと。
あれだけ2、3で突出した存在感を示していたのに、今回は脇役どころか喋ることすらしない。
ファンであっただけにちょっと寂しかった。

トイ・ストーリー4の作品情報

■監督:ジョシュ・クーリー
■出演者:ウッディ(トム・ハンクス、唐沢寿明) バズ・ライトイヤー(ティム・アレン、所ジョージ) ボー・ピープ(アニー・ポッツ、戸田恵子) フォーキー(トニー・ヘイル、竜星涼)
■Wikipedia:トイ・ストーリー4
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):97%
AUDIENCE SCORE(観客):94%

トイ・ストーリー4を見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV: ○(有料)
Netflix:-
※2019年12月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。