映画の海

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②金の羊毛

映画『リンガー! 替え玉★選手権』ネタバレなしの感想。知的障害者になりきって金を稼ごうとする

投稿日:

■評価:★★★☆☆3

「友情」

【映画】リンガー! 替え玉★選手権のネタバレなしのレビュー、批評、評価

この映画で主人公が参加するスペシャルオリンピックスは、知的障害を持つ人たちが参加する競技会となる。
なんと調べたら日本でも開催しているとのこと。
本作で敵役となるジミーに扮したレナード・フラワーズは実際に知的障害を持つ有名アスリート。

気になってちょっと調べたんだが、この大会の発祥はなかなか恐ろしい。
1962年6月にジョン・F・ケネディの妹のユーニスが自宅の庭に、35人の知的障害者たちを招いてデイキャンプを行ったのがスペシャルオリンピックスの始まりとされている。
が、これはケネディ家が別の妹であるローズマリーにロボトミー手術を受けさせて失敗し、そのことに関してのマスコミからのバッシング逃れのために行ったそう。

昨年末(2019年)にTVで放送された『やりすぎ都市伝説』でも言及されたロボトミー手術とは、精神的に異常のある人間の前頭葉の一部を切除することで精神を安定させる精神外科の手術を指す。
もともとは帰還兵が患ったPTSDの治療のために実施されたものだが、副作用が酷く、手術を受けた多くの人間が感情を失って廃人となってしまった。
暴力的で自己主張の強かったローズマリーもこの手術を受けた途端、尿失禁の後遺症が残り、幼児的な性格へ戻ってしまった。話すことも支離滅裂で人格は破壊されてしまった。

そういった背景があって誕生したスペシャルオリンピックスを舞台にしたこの映画。
果たしてどんな物語なのか。

人のいいスティーヴは何の生産性もないデスクワークに甘んじていたが、ある日意を決して上司に昇進を願い出る。だが彼の昇進と引き換えに、長年管理人として働いてきたスタヴィがクビになってしまった。スタヴィに同情したスティーヴは自宅の庭の芝刈りの仕事を与えるが、彼は誤って作業中に指を切断してしまう。スタヴィの指をくっつけるには大金が必要であり、スティーヴはお調子者の叔父ゲイリーに相談する。ゲイリーはスティーヴに知的障害者のフリをしてスペシャルオリンピックスに出場してチャンピオンであるジミーを倒し、ジミーの敗北に賭けて大金を手にする悪巧みを提案する。

知的障がい者になりきって金稼ぎをしようとするというハチャメチャなプロット。
良くこんな企画を通したものだ。逆に感嘆してしまう。

こんなふざけた映画の主演を務めるのがジョニー・ノックスビル。
『ジャッカス』というコメディテレビシリーズの企画・出演したことで有名になった人物だ。
そのテレビの内容は頭のおかしいものばかり。

カラーボールで埋め尽くされたプールに巨大なアナコンダを投入してジョニーが流血したり、メンバーのスティーヴォーが入った簡易トイレごと逆バンジーさせて彼を汚物まみれにしたり、あるいはゴルフ場で一般客がボールを打つ瞬間にホーン音を鳴らして邪魔し続けた結果、逆襲に遭うといったモニタリング要素もある。

ジャッカスシリーズ最新作は映画『ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中』で、結構面白いので気になったらチェックして観るといい。
ジョニー扮するジジイが孫と共にアメリカ横断の旅に出るというストーリーだが、実際はただただ何も知らない一般人にイタズラを仕掛けるというもの。
ジジイに変装した理由は、ジョニーはジャッカスシリーズで顔を知られてしまったため。

ジョニーはまさにこの手のアホ映画には適任といった感じだが、彼が演じるスティーヴは悪意のない善人だし、人助けのために金を稼ぐという動機なので胸くそ感はない。
むしろ、障害者連中の方がふざけまくってる始末。
私は吹替で観たのだが、声がみんなバカっぽくて結構笑える。終始ニヤニヤしながら観賞することとなった。

恋愛要素もあり、スペシャルオリンピックのボランティアスタッフとして、彼らの面倒を観るヒロインのリンがすさまじく魅力的だ。
見た目から性格の良さが滲み出ていて尚且つ容姿端麗。
こんな完璧な女性見たことがない。

当然のことながら彼女には恋人がいるのだが、二人を別れさせようと障害を利用したいくつかの悪巧みが本作の一番の見所。かなり楽しませてもらった。
こんな感じでスティーヴの恋と、スペシャルオリンピックス優勝への道筋の2つの話が並行して描かれる。
リンは確かに障害者を演じて奇行を繰り返すスティーヴには優しいが、それはスタッフだからだ。
普通に考えて障害者と健常者であるリンがくっつくイメージが沸かない。

とはいえ障害がウソであることがバレたら、スティーヴの人格が疑われるだろう。
一体、彼の恋はどんな着地を見せるか。
もはやスペシャルオリンピックスよりも恋の結末の方に興味が惹かれてしまった。

コメディ映画として見所は多いが、最後の最後でやってはいけないことをする。
これは間接的に障害者軽視をしているようなものだろう。
いや、実際にそうなるのはわかるんだが、ここは暗黙の了解として伏せておいていいのでは。

あとこのようにぶっ飛んだ設定ではあるが、ストーリーの展開は意外に保守的で、想定の通りに進んでいく。
このキャストでこの設定だったら、もっとぶっ飛ばしても良かったように思える。
スペシャルオリンピックなんか途中で止めて、みんなで富裕層を痛めつけて金を強奪するとか。
そんな感じのハチャメチャな爆発力を見せて欲しかったところ。

ジミーも悪役としてはちょっと弱い。
ただ調子に乗ってる成金って印象なので、もっと分かりやすい悪玉然としたイヤな行動を取ってほしかった。
全体的にはちょっと物足りない映画。

リンガー! 替え玉★選手権の作品情報

■監督:バリー・W・ブラウスタイン
■出演者:ジョニー・ノックスヴィル ブライアン・コックス キャサリン・ハイグル
■Wikipedia:リンガー! 替え玉★選手権
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):40%
AUDIENCE SCORE(観客):68%

リンガー! 替え玉★選手権を見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2020年1月現在

-②金の羊毛

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。