映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑥バディとの友情

映画『きみがぼくを見つけた日』ネタバレなしの感想。タイムトラベルしてしまう体質の男とのラブストーリー

投稿日:

■評価:★★★☆☆3

「時間に振り回される男女」

【映画】きみがぼくを見つけた日のレビュー、批評、評価

私事だが、新人賞を突破するべく小説を書いている。
過去に独学で勉強して何度か作品を作り、新人賞に応募してきたのだが一次選考すら通らなかった。
一人では限界を感じて、今はとある小説家の方に添削してもらっている。

前回は原稿用紙5枚分くらい書いた段階で送って、返ってきた原稿には20か所くらいダメ出しが書かれていた。
あまりの数の多さに笑ってしまう。
先生からは添削してもらうたびに言われる言葉がある。
それが『ありきたりなのでNG』といった指摘だ。

展開やら設定やら、あらゆる場面で新しさを要求してくる。
先生曰く「他の人には思いつけないような物語を生み出せる人を発掘する」ということが新人賞の目的とのこと。
私のなかでは色々考えて作っているつもりでも、読者に鮮度が感じられなければ意味はない。
なので、この指摘はありがたい。
なぜなら、指摘されるたびに『新しさ』に対する感性が磨かれていくから。
感覚・感性は人からの指摘がないと学びづらい。

エヴァンゲリオンの監督、庵野秀明はアニメ映画『風の谷のナウシカ』で原画を担当しており、宮崎駿からは大きな影響を受けている。

「宮崎さんに教わったのは、作品づくりの姿勢ですね。こんなに一生懸命やるんだと。寝る間も惜しんで、机の上でクオリティを維持し続ける精神力と集中力がすごい。仕事をすればするほどクオリティは上がるし、逆に作業から離れた分はクオリティが下がるということを教えられました。今の自分もまさにそうですし、体力の限界までは常に頑張ります」

出典:庵野秀明「エヴァ」シリーズを語らぬ理由、そして宮崎駿から学んだ「仕事の流儀」とは?

話を戻すが、添削を受けるようになってからは、新規で観る映画には新しさを以前よりも強く求めるようになってしまった。
『きみがぼくを見つけた日』はタイムスリップを題材としたラブストーリー。
私がタイムスリップを題材にした作品を送ろうもんなら、5億%の確率で先生からは『ありきたりなのでNG』と言われであろう擦られまくった設定である。
果たしてどんな物語に仕上がっているのか。

雪の日、母が運転する車に乗っていた6歳のヘンリーはスリップ事故に遭遇する。車外に立ち尽くすヘンリーの目の前に一人の青年が現れ、「いずれ理解できるときが来るだろう」と告げて消えていった。ある日、大学で美術を専攻しているクレアは、資料探しのために図書館にやって来た。その図書館で働くヘンリーを見つけ、クレアは親しげに話しかける。クレアにとってヘンリーは運命の人だった。しかしヘンリーにはクレアの記憶がない。その日の夜、クレアはヘンリーを食事に誘う。そこでクレアは自分が6歳の頃から、ヘンリーを知っていることを伝える。ヘンリーは自分の意思とは関係なくタイムトラベルしてしまう体質の持ち主だった。クレアが子供の頃に会っていたヘンリーの年齢は中年男性で、クレアはずっと、リアルタイムに生きるヘンリーと出会うこの日を心待ちにしていたのだった。

若干設定が混み入ってるので分かりやすく説明しておく。
美大生のクレアと、過去や未来にタイムトラベルしてしまう男・ヘンリーの話となる。
ヘンリーのタイムトラベルは突然発生し、法則等は存在しないため、コントロールできない。
劇中には疾患のような扱いになってる。

ヘンリーには彼が生きるメインの時代があり、突如タイムトラベルしても一定時間経つとすぐにもとの時代に戻ってはくる。
なので、タイムトラベルした先に限り、同じ世界に自分が二人いる状態となる。

物語の冒頭で二十歳のクレアは、図書館でリアルの時代を生きる28才のヘンリーを見つける。
このとき、ヘンリーはクレアのことを知らない。
クレアは子供の頃から何度も、自分のもとにタイムトラベルしてきたおじさんヘンリーと会っており、そのときからヘンリーに恋していたのだ。
つまり、青年であるヘンリーは中年になると、子どもの頃のクレアにタイムトラベルするということ。
そんな二人のラブストーリーとなる。

タイムトラベルもののラブストーリーと言ったら、同じ日をループする『恋はデ・ジャブ』や子供の頃に書いた日記の日にタイムトラベルできる『バタフライ・エフェクト』があげられる。
この2作との違いは、本作はタイムトラベルをコントロールできないということ。(orタイミングを予測できない)

もう少し新しさを期待はしたんだが、そこまで驚きのあるような展開は見せない。
原作となる小説が2003年出版なので無理もないかもしれないが。

本作はタイムトラベルしたときに限って、行った先の時代には自分が二人存在することになる。
逆を言えばリアルタイムを生きているとき、たまに別の時代から自分がタイムトラベルしてくるときがあることを意味する。

中盤辺りで、自分の身に異変が起こった自分がタイムトラベルしてくるときがあり、それがミステリー要素となる。
これがこの物語のメインエンジンで、劇中で一番ワクワク感を与えてくれた展開だ。
しかし、終盤で明かされる肝心の謎の部分があまりに適当な内容で残念すぎる。
もう少し上手く物語と絡めることは出来なかったのだろうか。

過去のタイムスリップ作品と比べて、外に良かった点を挙げるならスケール感がある。
『バタフライ・エフェクト』は友人たちを幸せにするために繰り返し過去に戻るので、メインの時代の時間はそんなに進まない。
『恋はデ・ジャブ』至ってはわずか数日をひたすらループする。
対してこの映画は、二人の子供時代から中年になるまでを描いている。
いわば二人の大河ドラマ感があるので、このスケールには見応えを感じる。

とは言ってもタイムトラベルものは相当な数が量産されているし、私もたくさん触れて来てしまっているので、この程度の鮮度では満足度は低い。
この映画を楽しめる人と言ったら、まだこのジャンルに馴染みが薄い人くらいだろう。

トム・クルーズ主演で日本のラノベが原作の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』はギタイと呼ばれるエイリアンと戦って命を落として、再び戦う日の朝に目覚める兵士を描いた内容。
ループするたびに経験値を稼いで強くなっていくTVゲーム感が結構楽しめる映画だった。

あるいは去年公開された『ハッピー・デス・デイ』は謎の殺人鬼に命を奪われてはその日の朝に目覚める女子学生が主人公。
ループしながら犯人に迫っていくホラーミステリーで、魅力的なキャラクターも多く登場してかなり面白い。

こんな感じで明確に新しいアイディアで見せて欲しいところ。
余談だが、私が一番最初に接触したタイムスリップもので、今でも最も面白いと思っているタイムスリップものの名作は小林泰三著『玩具修理者』に収録されている中編小説・『酔歩する男』である。
これはもうおったまげである。

18歳の頃に読んだ小説だが、あまりの面白さに初めて1日で読み切った小説でもある。
これほど刺激的で、これほど魅力的な物語はなかなかない。

きみがぼくを見つけた日の作品情報

■監督:ロベルト・シュヴェンケ
■出演者:レイチェル・マクアダムス エリック・バナ
■Wikipedia:きみがぼくを見つけた日
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):39%
AUDIENCE SCORE(観客):59%

きみがぼくを見つけた日を見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2020年1月現在

-⑥バディとの友情

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。